2016年4月2日土曜日

福島原発事故が起きた翌年、2012年01月21日から01月25日の「阿智胡地亭の非日乗」の記事

2012年01月25日(水)

談合のツケ、課徴金96億円 歴史始まって以来最高額

電線談合3社に課徴金命令 

2012年1月19日21時10分 asahi.com

矢崎総業は過去最高96億円

 ワイヤハーネスと呼ばれる自動車の電気配線の販売をめぐり、電線メーカーが談合を繰り返したとして、公正取引委員会は19日、大手電線メーカー4社の独占禁止法違反(不当な取引制限)を認定し、うち3社に計約128億円の課徴金を納付するよう命じた。

 各社は欧米などでも受注調整していた疑いがあり、海外当局も調査している。

 違反を認定されたのは、矢崎総業(東京)、住友電気工業(大阪)、フジクラ(東京)、古河電気工業(同)。各社は車メーカーのトヨタや日産、ホンダ、富士重工業、ダイハツにワイヤハーネスをそれぞれ納入している。矢崎総業の課徴金は約96億円に上り、1社あたりとしては過去最高額という。古河電工は事前に違反行為を申告し、課徴金を免除された。

 公取委によると、車メーカーはモデルチェンジなどの際、安い価格の見積もりを出した会社に発注するコンペを実施。各社は2000年以降、同じ車種であれば、モデルチェンジ後もこれまで受注してきた社が継続して受注することを基本ルールにして、談合を繰り返したという。

 ワイヤハーネスをめぐっては欧州委員会や米国司法省のほか、カナダ、オーストラリアの当局も、自国の市場に悪影響を与えたとして調査に着手。昨秋には古河電工が米司法省から2億ドルの罰金を科され、現地法人の幹部社員3人の身柄引き渡しも決まった。今後も各社に多額の罰金などが科される可能性がある。

 ワイヤハーネスは自動車内にはりめぐらされる電線で、エンジンやパワーウインドーなどに電気や信号を送る。

 矢崎総業、住友電工、フジクラは「命令は真摯(しんし)に受け止める。今後の対応は内容を精査したうえで検討したい」としている。

☆課徴金でモロに支払う96億円を利益で上げようとしたら、利益率3%でも売上金額は3200億円が必要になる。

96億円をむざむざ国庫に納めるのであれば、従業員にもっと給料を払い、残業代をキチンと出し、下請けや資材調達先を買い叩かなければ良かったのに・・・。

しかも愛社精神の権化・模範社員を外国の司法当局に身柄引き渡しとは。社内では誰もノーと言わずに、空気で突き進んだ矢崎総業(東京)、住友電気工業(大阪)、フジクラ(東京)、古河電気工業(同)であろう4社。

それにしても海外で仕事をするにしては脇が甘すぎたのでは。

日本の公正取引委員会は宗主国アメリカから、これまでも日本のメーカーに甘すぎるとずっと文句を言われてきている。ここにきて、ちゃんと仕事をしている証明の道具に使われたワイヤハーネス業界。

ヘタを打ったにしては、従業員と取引業者が気の毒すぎる。

矢崎総業・課徴金額96億過去最高!

自動車用電線「ワイヤーハーネス」の販売で、事前に見積り金額を示し合せたとして、業界大手3社に課徴金納付を命じました。

フジクラ(東京)に約11億円。

そして住友電気工業(大阪)に約21億円‥。

矢崎総業(東京)においてはなんと、約96億円の納付命令が。。。

1社の課徴金額としては過去最高額であります。

もう1社は公正取引委員会の監査前に自ら違反を申告したおかげで、課徴金の命令は免れたようです。。

その一抜けは古川電気工業(東京)ですが。。

日本の各自動車メーカーをはぼ独占している大手4企業…。

課徴金額合計128億円の超大型事案です。

沢山儲けているからこその課徴金額なのでしょうが…。

それにしても談合のツケは途轍もなく大きい‥。

何れにせよ、談合していた事が明るみに出た以上は応分のペナルティはしっかり全うしてもらわなければなりません!

3月までに本件以外の課徴金命令が下される事案が多々出るのは必至でしょう。
引用元

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日本人は何を考えてきたか 田中正造・南方熊楠
NHK「日本人は何を考えてきたか」第3回の前半部分今から100年前、森と水を守ろうと奔走した二人の男がいた。「生命(いのち)の思想家」田中正造と「知の巨人」南方熊楠である。足尾銅山鉱毒事件で 田中正造は、被害民のいのちを奪う鉱毒の実態を知り、政府と企業の責任を追究する。議員を辞職し、直訴した後、田中は、強制立ち退きに抵抗する谷中村に入った。自ら「谷中学」と称して村民に学び、水と森と共に生きる思想を生み出していく。原発事故以後、晩年の思想家・田中正造の再評価の声が日本のみならず、韓国でも高まっている。一方、南方熊楠は、政府が打ち出した「神社合祀令」が地域の生態系や文化を破壊するとして反対。地元の熊野の森を危機から守ろうと闘う。南方は粘菌などの生物学の研究から民俗学、宗教学など幅広い知見を得て、南方曼荼羅とも呼ばれる知の体系を編み出し、100年前に独自のエコロジーの思想を究めた知の巨人だった。 番組では俳優の西島秀俊さんが足尾、旧谷中村、熊野を訪ね、田中正造、南方熊楠の思想と闘いを見つめていく。
日本人は何を考えてきたか 南方熊楠
NHK「日本人は何を考えてきたか」第3回の後半部分
  
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請求権放棄の有効性を最高裁が判断

請求権放棄の有効性 初判断へ
1月24日 21時15分 NHKニュース

住民訴訟の判決で自治体のトップに巨額の賠償が命じられ、議会が請求する権利を放棄したことが有効かどうかが、全国各地で争われている裁判で、最高裁判所が統一的な判断を初めて示すことになりました。

神戸市が外郭団体に派遣した市の職員の人件費として補助金を支出したことを巡っては、住民訴訟が起こされ、1審は神戸市長に55億円余りを市に賠償するよう命じましたが、市が条例を改正して請求する権利を放棄しました。2審は「議会の議決権の乱用だ」として条例は無効だと判断し、市側が上告しています。

 大阪・大東市と栃木県の旧氏家町、現在のさくら市でも、自治体のトップへの賠償の請求を放棄する議決の有効性が争われ、有効か無効かで2審の判断は分かれていました。一連の裁判について、最高裁判所第2小法廷は、統一的な判断を初めて示すことになり、3月30日に弁論を開くことを決めました。

 請求権の放棄を巡っては、住民訴訟を根底から否定するという批判がある一方で、住民の代表である議会の判断に任せるべきだという意見もあり、最高裁がどのような判断を示すか注目されます。
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会議があれば議事録を作るのは世界の常識だが・・

議事録 ほかの重要会議も検証
1月24日 19時33分 NHKニュース

公文書管理を担当する岡田副総理兼社会保障と税の一体改革担当大臣は、記者会見で、政府の「原子力災害対策本部」の議事録が作成されていなかったことを「誠に遺憾だ」と述べたうえで、東日本大震災に関連する、ほかの重要会議の対応も検証する考えを示しました。

東京電力福島第一原子力発電所の事故を受けて、政府は、事故当日に「原子力災害対策本部」を設け、避難区域などを決定してきましたが、対策本部の議事録は作成されていませんでした。これについて、公文書管理を担当する岡田副総理は、「原子力災害のような極めて重要な事案では、説明責任がより強く求められるにもかかわらず、本部の意思決定の過程が把握できる文書が作成されていないのは、担当大臣として誠に遺憾だ」と述べました。

 そのうえで、岡田副総理は、「震災直後の政府の『緊急災害対策本部』でも、議事録が作成されていない疑いが濃厚で、震災関連のほかの会議でも、同様のことがないか検証しなければならない。作られていなければ、議事録というわけにはいかないが、速やかに内容が分かる文書を作成するよう指示を出さなければならない」と述べ、東日本大震災に関連するほかの重要会議の対応も検証する考えを示しました。

☆自分たちの責任になりそうな証拠は一切残さないと言う、知能指数の高い役人たちの、国民には無責任なやり方がまた見えた。

民間企業の営業課員だった私でも、お客さんと打合せのたびに「打合せメモ(議事録)」を作って、お客さんにお渡しするのも重要な仕事だった。次の打ち合わせはそのメモを出席者全員が最初に読んでからスタートする。

議事録があれば、言った言わないでもめたりすることなく、また前回は出席していなかったエライさんが、自分がエライことを示すための「いちゃもん」をつけにくくするにも有効だった。

そして何よりもお互いの担当が変わっても、仕事を進めるのに連続性が維持されることが一番だった。

そんな議事録を作らずに、それで仕事をしたとは、いくら官庁のおエライお役人さまでも、世間では通りませんぜ。
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下市長の腑分け。ようやく納得できるレポートを読んだ

「橋下徹市長の政治手法は何が問題なのか?」
2012-01-21
冷泉 彰彦(れいぜい あきひこ)

 大阪市の橋下徹市長の政治手法が大きな関心を呼んでいます。例えば、アメリカから見ていますと、橋下市長の主張の中には納得できる部分もあるのですが、同時にクビを傾げる部分もあります。今回はその辺を少し整理してみようと思います。

 まず「教育改革」の問題ですが、例えば北大の山口二郎教授を一方的に追い詰めたディスカッションなどを見ていると、アメリカで進んでいる議論と似ているのを感じます。例えば、この欄で既にお話しているように、2010年にヒットしたドキュメンタリー映画『ウェイティング・フォー・スーパーマン(スーパーマンを待ちながら)』では、ワシントンDCでの教育改革を追いながら「いかに腐ったレモン(ダメ教師)」を駆逐するのが難しいかという問題を提起しています。

 既得権益に固執する教職員組合に対して、保護者や社会の期待に応えた改革者が「教員の質の向上」を目指して闘うという構図はソックリです。ですが、外側の構図はソックリなのですが、具体的な議論に入ってゆくとかなり違う点もあることに気付かされます。

 まず、日本では公教育における能力主義の導入の可否が議論になっていますが、アメリカでは(恐らくは世界のどこでも)そんな議論はありません。泳げない子供には息継ぎを教え、競泳レベルの子供にはどんどんタイムを競わせるのと同じように、数学が好きな子にはどんどん微積分まで突っ走ってもらわねば困るし、苦手な子には苦手意識を脱するような丁寧な指導が必要だというのは、多くの国で当然とされている考え方です。それを「全員一緒が平等」というような話になっているのは非常に特殊と思われます。

 私立校と公立校の位置づけの問題も、日米では大きく違います。日本の大都市圏の場合は、富裕であれば子供を塾に通わせて私立の小中高へ行かせるわけです。私立校の多くは受験校です。また受験校でない場合は大学の系列校ですから内部進学生にはそれなりの学力を付けて送らないと大学が沈没してしまいます。そこで私立校の内部では到達度別の教育を始めとした競争が行われています。正に能力主義そのものです。

引用元

ですが、いわゆる教育問題に関する平等を主張する人は、私立校の中の競争主義には批判はしないのです。公立校に関してのみ、能力主義の導入は非人間的だという主張をするのです。ということは、経済的な理由で公立校にしか行けない子供は、勉強熱心な大学への進学を可能にするような教育を受ける機会は極めて限定されてしまいます。

 アメリカの場合は、まず小中高の私学に対する公的な助成はほとんどありません。ですから、結果的に私立は年間の授業料と寄付金だけで運営せざるを得ず、その授業料は一年で200万円とか300万円という水準になってしまいます。ですから、対象が富裕層に限定される、つまり支払い能力で選別がされるので大規模な「お受験」競争が起きることもないし、そこで行われている教育内容について誰からも文句を言われる筋合いはないのです。

 アメリカの問題は、あくまで公立校であり、更に言えば市町村の独立採算制が厳しい中で、とりわけ生徒一人あたりの税収が乏しい学区域の「学力到達度」が問題になっているわけです。これに加えて、アメリカの場合は公立学校の教員の給与は非常に低く抑えられています。年収は大半の先生が4万ドルから7万ドルであり、契約は9月から6月まで、つまり夏休みの7月8月は無給という厳しい学区もあるのです。

 一方で公立校では能力別のクラス編成が行われています。州により学区により異なりますが、小学校の4年生ぐらいから数学は能力別クラス編成になっており、学年が上がるごとに進度は異なっていきます。最終的に高校を卒業する12年生になると、例えば私の住んでいる学区の場合は、6学年分ぐらいの差がつくのです。

 公立校でそうした「能力主義」を導入しているのはアメリカでは全く普通のことです。問題は、予算の限られた学区では、こうした数学の上級クラスを上手に教える先生を引っ張ってこれないという点にあります。ですから「腐ったレモン」を追放せよなどという問題が大きな論議を呼ぶわけです。

 この「腐ったレモン」というのはヒドい言い方ですが、決して「でもしか先生」というイメージではないのです。アメリカの場合は、「教師=薄給」というのは社会常識になっており、お金よりも理想を目指して教師になる人がほとんどです。であるにも関わらず才能がないために「一生懸命やっても」生徒の学力を伸ばすのが「下手」な教師のことを「腐ったレモン」と言っているわけです。勿論、本人が大真面目で組合も守ろうとしている、しかも生活がかかっていて、つぶしの利かない人材を「追放する」というのは大変は大変なわけですが、日本の状況とはレベルが違います。

 そんなわけで、この教育の問題に関しては、橋下市長の主張は合理的であると思います。公立学校での学力向上を重要な目標として、その観点から教員の評価を行うという流れは、何よりも格差是正策であり世代間での格差の固定化を避けようという点で正論だからです。また、橋下市長の改革を批判している勢力に限って、自分の子供を私学に入れているのであれば、そうした主張には何ら説得力はないというのもその通りだと思います。

 では、この「大阪維新」の何が問題なのでしょう?三点挙げておきたいと思います。

 一つ目は、折角の教育改革を「日の丸・君が代イデオロギー」と混ぜてしまっていることです。戦術論としては橋下市長の作戦は一理あります。指導能力が欠けているのに、既得権益を固守している組合を批判する上で、この問題は有効だからです。例えば、卒業式で君が代を歌わずに座っている教師というのは、ある意味で非常に傲岸に見えるのです。

 我々の世代以上であれば、国に依存した結果ひどい経験にあった世代の「生存本能」として国を信じないカルチャーがあるということは納得できるのですが、若い世代にはその「ひどい経験」はリアリティは薄いわけです。そうした世代からは、座っている教師というのは「国家何するものぞ」という威張り切った態度、あるいは国を裏切る悪人に見えてしまうのです。

 その悪イメージと、能力がないのに地位にしがみつき、しかも高給を得ているというイメージをミックスしてしまえば、世論を操作するのは簡単ということになるわけです。では、このアプローチがどうしていけないのかというと、それは、橋下市長の「日の丸・君が代攻勢」に対して感情的になると、組合系の先生たちは「自分たちが反戦平和の最後の砦」という感情論からイデオロギーの喧嘩を買うことに熱心になってしまうのです。政治的には橋下市長として「完勝」であり、組合は「罠にはまった」だけということになりますが、そこで費やされるエネルギーはムダです。

 イデオロギーの土俵に相手を誘い出せば、市長は勝つでしょう。勝つのが目的ならばそれでもいいかもしれません。ですが、本当に大阪の教育を改革したいのなら、能力主義や能力別の導入、指導力の評価という実務的な問題に限って「闘う」方が誠実だと思うのです。もっと言えば、イデオロギー論議を混ぜて失敗した安倍晋三政権の「教育改革論議」の二の舞になる危険があるということです。

 この「日の丸・君が代イデオロギー」に関して言えば、例えば君が代に反発して座っている教師と、それに怒る校長や教委という「対立」を見せるのは生徒に失礼だという議論があります。ですが、この問題に関しては「分裂しつつバランスしていること」が現在の日本の「国体=国のかたち」であり、それを一方から力で抑えこんでも教師集団の精神的な権威は向上しないということも指摘しておきたいと思います。そんなことより、卒業式に「共に教育関係者として卒業生を祝福すべき」存在の教育委員を「来賓」だとして卒業生や教師全員がペコペコしなくてはいけない習慣など、直したほうが良いことは他にあるように思うのです。

 大きな二点目は、大阪の経済成長をどこまで具体的に考えているのかという点です。例えばこれまでの府知事としての実績や市長として取り組んでいる問題については、そんなに「外し」はないと思います。コストカットについても、府庁舎問題についても、行政手腕として間違ってはいないように見えます。関西3空港の問題も、非常に合理的だと思いますし、リニアの件も本当に大阪まで来るのなら(山陽との接続問題は考えるべきですが)梅田乗り入れが検討されるのは当然でしょう。

 カジノ誘致の構想も、ギャンブル依存症の深刻さなどを考えると気が進まない考えであるものの、「そんなカンフル剤を打たねばならない」ほど大阪の経済が重症だということからすれば、否定は難しいと思います。お台場カジノとは意味合いが違います。もう一つ、高齢者よりも現役世代を優先するという発想も、これからの都市の活性化の中では重要な論点でしょう。この問題を正面切って取り上げていることは評価すべきだと思います。

 ですが、例えば市長との共著本である『体制維新』で堺屋太一氏が言っているような「一流のトップ100人を大阪に呼ぶ」とか「大阪歌舞伎、大阪画壇が消滅した」ことに象徴される衰退からどうカムバックするか、というような観点から見た時に、前向きな構想は具体的に何もないのです。

 例えば、同じ本の中で橋下市長はロンドンをライバルとして描いているようですが、ロンドンが再生したのは欧州の金融センターとして、英語圏の強みを生かしたという一点にかかっているわけです。では、大阪は往年のようにアジアの金融センターになりうるのか、というとそうした具体的な発想はないわけです。少なくともメガバンクの本部をどうして東京に取られたのか、どうすれば取り返せるのかという発想は必要でしょうし、日本のメガバンクよりも、中国系の銀行や欧米系の銀行・証券を招致できるのであれば、それでもいいわけです。

 関西圏ということでは、例えば任天堂とかワコールといった企業は少子高齢化の影響を強く受けているわけです。そこをどうするか。例えば大阪を代表する企業であるパナソニックは、新卒採用の8割を外国人にし、物流部門をはじめとして本部機構をシンガポールに移す構想を持っています。市長として、どうしてそうなったのか、どうすれば引き止められるのかという問題意識はあまり無いようです。

 もっと言えば、カジノで当面の活性化をやり、文化や思想の「古いエリート」を抹殺するのはともかく、新しい超一流を招聘することもせず、企業がどんどん脱出したり衰退するのを放置する、更に刹那的なポピュリズムと公共セクターの縮小だけを続けるという延長にあるのは、「せいぜいが中国や韓国の高級下請け都市」として延命するというビジョンしかないように見えます。

 その背景にあるのは、橋下氏のリーダーシップのスタイルです。橋下氏をヒトラーに例える人もいるようですが、それは的外れだと思います。ヒトラーよりも、例えばシンガポールの「創業者」李光耀(リー・クワンユー)顧問相のようなスタイルを志向しているように見えます。アジア型の「権利を制限し、秩序を重んじる」つまりは効率の良い開発独裁のスタイルを、右肩上がりではなく、右肩下がりの時代に適用する、つまり「衰退時の独裁」を通じて「延命のためのコストカット」をやっているだけに見えます。

 基本的には後ろ向きの戦略であり、「その先」にあるはずの「破壊の後の創造」のビジョンが全く見えないわけです。ではそうした「リストラ」は不要かというと実は必要なのです。ですが、カットばかりやっていてはジリ貧になって、気がついたら本当に中国の下請けになってしまうわけで、日本の場合にはまだまだ「ポスト産業化社会の成熟のその先」にある「高付加価値産業」という可能性は残っているのですが、その芽を潰すことにもなりかねません。

 もしかしたら、橋下氏はそんなことは分かっていて、自分は過渡期の壊し屋であり、破壊を通じて形骸化したものを取り除き、「焼け野原からの復活」は別の人なり次の世代で、という「達観」をしているのでしょうか? 橋下市長が自分は壊し屋に徹しているのなら良いのですが、どうもそうではないようなのです。それは国政を意識するような発言が出てきていることでも分かります。

 三点目はこの問題です。壊し屋のままで国政を目指すというのは、無理があります。大阪での「ぶっ壊し」に関しては、半分は本当にぶっ壊す、つまり公費での助成を止めたり、既得権益を取り上げたりすることが入っているわけです。残りの半分は「国の責任」だという突っぱね方をして、地方の負担を減らすとか地方の裁量権を増やすという方向を志向しているわけです。

 橋下市長はそれでも国政を目指す理由として、例えば大阪都構想を実現するためには、中央レベルでの法改正が必要だという理屈をつけています。その話はテクニカルには筋が通るのですが、仮に大阪都構想を中心に掲げて国政に影響力を持ち、更に「劇場型」の観客に漠然と期待がある中央レベルでも「ぶっ壊し」をやってもらいたいという話だけで中央政界に出て行っても挫折することは目に見えています。

 国政というのは財務、外交、安全保障、産業振興、農林水産行政など多岐にわたるわけです。そこで本当に意味のある「ぶっ壊し」をやるには、大変なエネルギーが必要でしょう。また世界のGDPで第三位の大国を「壊す」だけでは大変なことになります。将来の方向性を示してゆかねば日々の決定も不可能になります。結果的に、ブレーンの質量が確保できなければ何も進まず、結果的に建武の新政が失敗した時の「二条河原の落書」になるような可能性が高いと思います。

 もっと言えば、アメリカの「小さな政府論」には公費は出せないが相互扶助の仕組みは作る、連邦はやらないが地方では自由にというような「受け皿」があるわけです。とにかく切り捨てるだけ、ぶっ壊すだけというのは「フルスペック」の政策とは言えません。

 話を最初の教育改革に戻しますが、仮に既得権益に安住した「でもしか教師」の追放ができ、能力別のクラスが動き出したとして、そこで有効な教育のメソッドとは何なのか?教師育成のしくみはどうするのか?といった問題ははるかに難しい課題としてあるわけです。例えば5年後に多くの大学が9月入学になり、本当に留学生を交えての英語での教育が始まるのであれば、組合系の教師を追放して塾の先生を招聘するというような「改革」では済まないわけです。

 とにかく、改革というのは「こうありたい」という前向きな情熱があって初めて前進が可能なのであり、破壊の衝動が先行するというのは順序が逆です。と言いますか、それでは衰退の一つのエピソードで終わるだけになってしまうのではないかと思うのです。

 ちなみに破壊、つまり何かを終わらせるというのは、実は大変な冷静さが必要なのだと思います。明治維新に際して、統治能力を失った江戸幕府が整然と破壊されていった背景には、勝海舟という静かな巨人の存在があったことを忘れてはなりません。

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15年前の千葉県警の誤認逮捕 弁護士落合洋司さんのブログから

■[刑事事件]千葉県警、防犯カメラ映像軽視か 15年前の誤認逮捕 15:24
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2012011901001079.html

千葉県流山市で1997年に会社員田島由美さん=当時(24)=が刺殺され、家族3人が誤認逮捕された事件で、銀行の防犯カメラに写った田島さんの預金を引き出す男について、県警が当時3人ではない可能性が高いとしながら「第三者の関与も考えられる」と判断して逮捕に踏み切ったことが19日、捜査関係者への取材で分かった。

捜査関係者によると、逮捕された3人のうち、男性は被害者の義兄だけだったが、映像の男より身長がかなり低かった。

誤ったストーリーが、あたかも確固たるもののように独り歩きしはじめると、こういった「消極証拠」が、誤ったストーリーの中に、あたかも矛盾がないものであるかのように組み込まれてしまうのが恐ろしいですね。

家族3名(それも祖母まで加わって)でこの女性を殺害した、ということであれば、目的は、金目当てとは考えにくく、犯行直後に銀行で金を引き出したというのは不自然、不合理ですし、しかも、それを第三者に依頼しているということになると、なおさら不自然、不合理で、逮捕の前に、思い描いた事件の構図に対して重大な疑問を投げかけるものとして検討する必要があったでしょう。

 また、犯行現場では、犯人によるものと推定される、DNA鑑定の試料になるものが採取されていたようであり、そうであれば、逮捕前に、嫌疑がかかっている家族3名から鑑定試料を採取して、鑑定結果を慎重に検討する必要もあったと思います。被疑者らが犯人であることに疑問を投げかけている消極証拠に対する検討が不十分なまま、安易に、一部の者の「自白のようなもの」に依存して暴走してしまった、この捜査の問題は、こういった捜査が、いつ、どこでも起き得るもので、誰もが冤罪被害に遭いかねないことを指し示していると思います。

祖母の「自白のようなもの」が安易に信用されてしまったようですが、やはり、取調べを全面可視化して、自白に至る経緯を検証できるようにしておくことが不可欠であることも、この事件の重要な教訓の1つでしょう

(太線は管理人)
 
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原発設備劣化予測方法は見直しが必要。

予測と実際値に大きな誤差 原発劣化の予測法見直しへ
2012年01月24日 佐賀新聞

 玄海原発1号機(東松浦郡玄海町)で問題となっている中性子照射による原子炉の脆化(劣化)問題を検討する経産省原子力安全・保安院の専門家会議が23日、同省であった。九州電力が示した試験片の解析データなどを基に議論、劣化の予測方法に疑問の声があり、見直す必要があるとの考えでほぼ一致した。保安院は年度内に数回、会合を開き、原子炉の健全性を含めて見解を示す。

  玄海1号機は温度や圧力変化への原子炉圧力容器の耐性を示す指標となる「脆性遷移(ぜいせいせんい)温度」が、原子炉から試験片を取り出して行った2009年の検査で想定を20度上回る98度となり、健全性が懸念されている。

  この日は、九電が試験片について銅の含有量など化学成分の分析データや圧力、熱に対する耐性試験の結果などを示し、「60年運転を想定しても健全性に問題はない」と説明した。委員からは「脆性遷移温度は予測値から大きく乖離(かいり)しており、予測方法か解析方法に問題があるのではないか」「残りの試験片のうち、早く1個を取り出して検査すべき」「これまで取り出した試験片すべてで成分分析を」などの意見が出た。

  1号機は運転開始当初、原子炉に6個の試験片を入れ、これまでに4個を取り出している。九電は次回検査について「09年に取り出したばかりで、中性子照射量はほとんど変わらない。規定に基づき、25年ごろに取り出す計画」とし、1、2回目に取り出した試験片は「昭和51、55年ごろの話であり、当時は組織解析の技術もなく、今は保管していない」と説明した。

  劣化の予測手法については運転年数が長く、中性子の蓄積照射量が多い原発ほど予測値からのズレが大きいことから、今後、高経年化した原発の実測データが順次、出てくることを踏まえて検討していく必要性が指摘された。

原子炉劣化予測法の見直しを検討 原子力安全・保安院

2012年1月23日 21時13分 共同通信

 原発の燃料が入っている原子炉圧力容器が長い間、核分裂で発生した中性子を浴びてもろくなる「中性子照射脆化」という現象について、経済産業省原子力安全・保安院の専門家会議は23日、もろくなる温度の予測方法が実態に合わない可能性があり、見直す必要があるとの見解でほぼ一致した。

 九州電力玄海原発1号機(佐賀県)で圧力容器が予想以上に早く劣化し、壊れやすくなっているとの試験結果が出たため懸念されている。3月までに課題を整理し、電力会社などに予測方法を検討してもらうという。

(共同)
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特別会計改革一歩前進だがムダ削減額は公表を止める。

特別会計改革 17から11に減へ
1月24日 11時1分 NHKニュース

政府は24日の閣議で、国の「特別会計」について、事業目的が達成されたものを統廃合することなどで、平成27年度末までに、現在の17から11に減らすことなどを柱とした改革の基本方針を決定しました。

それによりますと、全国の道路などの建設や維持管理などに充てる「社会資本整備事業特別会計」や、国有林の管理などを行う「国有林野事業特別会計」を来年度・平成24年度末に廃止し、一般会計に統合するなどして、平成27年度末までに4つを廃止するとしています。

また、農業の経営基盤を強化するための「食料安定供給特別会計」など、農林水産省が所管する3つの特別会計を、平成25年度から1つに統合するとしており、これによって、平成27年度末までに、特別会計を現在の17から11に減らすとしています。

このほか、原子力発電所の立地促進や省エネ対策などを行う「エネルギー対策特別会計」は、将来の一般会計への統合も視野に、原子力の安全対策や再生エネルギーの普及促進のためにも使えるよう、制度を改めるとしています。一方、今回の基本方針には、特別会計を減らすことによって、どの程度のむだが削減できるかは示されていません。

政府は、こうした特別会計の改革に必要な法案を、24日に召集される通常国会から、順次、提出することにしています。
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2012年01月24日(火)

野田首相、ついに両目眼帯で登場

 野田佳彦首相は19日、両目に眼帯を付けた姿で首相官邸に出勤した。右目だけ眼帯をしていた16日は「ぶつけちゃいました」と、照れくさそうに話した首相だが、左目まで視界を失った姿はあたかも政権の行方を暗示しているかのようだ。

 
官邸筋によると、首相は15日夜官邸内の暗闇で何かにぶつかり、右目下を打撲。軽傷だったが、「見栄えが格好悪い」という今さらの理由から眼帯着用を決めたという。

 だが19日朝、首相はさらに左目にも眼帯を付けた両目眼帯の姿で登場。前が見えないため方向を見失い、公邸玄関から専用車が待機する駐車場までの約10メートルで、庭の植え込みに突っ込んだり、地面につまづいたりを繰り返すなど、まっすぐ歩くのも困難な状態のようだった。

 去る16日、党大会で登壇した際には「今日は視界不良なので」と、自ら置かれた立場について自虐的ジョークを交えた首相だったが、両目とも見えない状態では、「完全にお先真っ暗」(閣僚経験者)との言葉も聞かれ、消費増税を伴う一体改革の先行き不安を自ら体を張って表現した格好だ。

 左目負傷の原因について、首相本人は黙して語らずの態度だが、首相周辺では「マニフェスト(政権公約)にない消費増税を批判する党内有お力ざ者わに殴られたのではないか」との憶測も出ている。

 政界に詳しい京都大学政治経済学部の坂本義太夫教授(錬金論)は「このまま国民の判断を仰がず、消費増税を押し切るつもりなら、等価交換の原則からして代償は左目一つで済む話ではない。肉体全部持っていかれてしかるべき」との見解を示した。

これはJokeニュースです  [虚構新聞]から全文引用
 
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生協も脱原発 大手新聞・テレビが意図的に無視した「生協の困った決定」

日本生協連が提言「エネルギー政策の転換をめざして」を発表 

生活協同組合(生協)の全国組織、日本生活協同組合連合会(日本生協連、組合員2300万人)は1月17日、「エネルギー政策の転換をめざして」と題する提言を発表した。

昨年3月11日の東日本大震災によって生じた東京電力福島第1原子力発電所の事故を受けて、生協として日本のエネルギー政策はどうあるべきかを検討してきたが、この提言はその検討結果をまとめたもので、「原子力発電に頼らないエネルギー政策への転換」を求めている。

日本最大の消費者団体が脱原発の主張を明確にしたことは、原発をめぐる世論に影響を与えそうだ。

 福島第1原発の事故は、生協陣営にも衝撃を与えた。生協陣営はこれまで原子力発電の是非については踏み込まないできたが、福島第1原発の事故は世界最大級の規模で被害も甚大だっただけに、生協陣営にも何らかの態度表明を迫るものとなった。

 このため、日本生協連執行部は昨年6月の通常総会に「福島第1原発の事故は、日本のエネルギー政策のあり方を根本的な見直しを迫るものとなりました。日本生協連としては、こうした情勢を正面からとらえて、原子力発電を含むエネルギー政策を検討するために、理事会の専門委員会として『エネルギー政策検討委員会』を設置し、今後の社会的な論議の動向も見据えながら、今後の日本のエネルギー政策のあり方、くらしの見直し活動と生協事業のあり方について、生協としての見解をまとめていきます」との方針を提案、これが可決されたことから、理事会のもとに設けられたエネルギー政策検討委員会で検討を続けてきた。この間、全国の各生協でも討議が行われたという。

 1月17日にエネルギー政策検討委員会から理事会に検討結果の答申があり、理事会がこれを承認し、決定した。記者会見に臨んだ芳賀唯史・専務理事によれば、提言は内閣、原子力委員会、経済産業省などに伝えるという。

全文はこちら

☆経済産業省の官僚にとっては、こうなって欲しくない提言だ。
大手メディアには記事にしないように、水面下のシグナルが原子力ムラから出されたのだろう。
 
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われら人間はどこから来て、どこへ向かうのか

マル激トーク・オン・ディマンド 第562回(2012年01月21日)
われわれはどこから来て、どこへ向かうのか


ゲスト:篠田謙一氏(国立科学博物館人類史研究グループ長)

われわれ人類は10万年という単位の時間に責任が持てるのだろうか。
福島第一原発の事故で原発の是非をめぐる議論が活発に交わされるようになったが、原発が存続する限り原発から出る使用済み核燃料は、10万年程度は地下で保管しなければならない。また、原発の副産物プルトニウム239の物理的半減期は2万4000年、核燃料に用いるウラン238にいたっては45億年だ。

今、こうした万単位、あるいは億単位の時間を議論するわれわれが一体何者なのかを考える上で、今週のマル激ではわれわれ人類の起源に思いを馳せてみることにした。これから10万年の間、放射性物質を地下保管しなければならないことを前提に原発を続けるということは、10万年前のネアンデルタール人が、現代の人類にまで影響が及ぶ行為を選択することと同じだ。少なくともそのスケール感を認識した上で、10万年単位でわれわれ人類がどこから来て、どこに向かっているかを考えてみた。

10万年前といえば、まだネアンデルタール人がヨーロッパにいた。今の人類よりも脳の体積もずっと小さく、骨格もまだ猿人の名残を残す旧人だ。同時に、アフリカで20万年前頃に登場したとされるわれわれ現生人類の祖先である新人ホモ・サピエンスがアフリカからの脱出を図り始めたのも10万年前頃だったそうだ。700万年から1000万年くらい前に類人猿から枝分かれした人類は、猿人から原人、旧人へと進化を遂げ、この頃ようやく地球上に登場してきたのが新人と呼ばれるホモ・サピエンスだった。現代のわれわれ人類と同等の知能をもったホモ・サピエンスは、おそらく冒険心からか、あるいは環境の変化によってやむなく、出アフリカを選択し、そこから人類は地球上に広がっていった。この時アフリカを脱出したホモ・サピエンスの数は一説によると150人程度だったという。

トークの動画

実は最近のDNA解析技術の進歩で、DNAを辿っていくと、今地球上に生きている現生人類はすべて15万年~20万年前にアフリカに生まれた「ミトコンドリア・イブ」と呼ばれる一人の女性の子孫であることが明らかになっているそうだ。細胞のミトコンドリアDNAを辿っていくことで、20万~15万年ほど前にアフリカで生まれた人類は、10万年前頃から各地に広がり始め、そして、おそらく4~3万年前に日本に初めて新人が渡ってきたということだ。

人類はハプログループと呼ばれる遺伝子パターンの違いからグループ分けをすると、4つのグループに分けられる。これは今われわれが考える人種や民族とは大きく異なる。そして、4つのグループのうち3つはアフリカのみに存在する遺伝子パターンをもったグループで、残りの1つのクラスターの中に、アフリカの一部とアジア、ヨーロッパ人が含まれる。

更にその遺伝子パターンを細かく分類していくと、日本人は東アジアに多いハプログループD、環太平洋に広がるハプログループB、マンモスハンターの系譜のハプログループA、北方ルートで日本に渡ってきた人たちの系譜であるハプログループN9など、ヨーロッパ人の系統であるハプログループHVなど、概ね20種類くらいのグループに分けられる。つまり、同じような日本人の顔をして日本語を話す同じ日本人同志でも、実際は遺伝子的にはかなりの差異があり、ハプログループDの日本人のDNAはハプログループAの日本人よりもむしろ東アジアの人々のそれに近く、逆にハプログループAの日本人は、DNA的には他の日本人よりもカムチャッカ半島に住むロシアの人々により近いという。

肌の色や言語といった人間の形質は、その地域の気候や自然、地理的条件によって時間をかけて形成されてくるものだが、人間をDNA的世界観で見直してみると、そこにはまた違った顔があることに気づく。ゲストの篠田謙一国立科学博物館人類史グループ長によると、肌の色や体型、言語といった、これまでわれわれが人間を識別する上でもっとも重視してきた特性の違いは、数千年単位で出てくるものだが、DNA解析によってあらためて人間を万年単位で見直してみると、また違ったものが見えてくるという。

これはよく言われる日本人が単一民族かどうかについても、新たな視点を提供してくれるかもしれない。実際DNA解析が可能になり人類アフリカ起源説がかなりの精度で証明されるまでは、北京原人やジャワ原人など、それぞれの地域で類人猿から進化した人間がその地域に定住したとされる人類複数起源説が大まじめで唱えられていたという。これがある時代において、人種の差異が絶対的なものであることを強調したい人たちにとっては、非常にありがたい説だったことは想像に難くない。

しかし、これは逆に考えると、例えば同じ日本人でも分子生物学的にはつまりDNA的世界観に立てば、単一と言えるような共通性は持たないが、そのばらばらな遺伝子をもったわれわれが、長い年月を経て一つの共通の文化を獲得したことの価値も改めて再評価できる。実際は分子生物学的にはバラバラなわれわれ、つまりこれまで思っていたほど画一性が自明ではないわれわれ日本人が、後天的にこのような共通の文化で新しいグループを形成することに成功したと考えると、それがいかに貴重な、そして場合によっては守っていかなければならないものなのかを痛感せずにはいられない。
いずれにしても今われわれが失ってはならない視点は、言語や文化、ひいては肌の色や体格といった肉体的な特性でさえ、ここ数千年の間に起こった変化にすぎず、現生人類20万年の歴史、あるいは日本人の4万年の歴史からみれば最後の最後に生じた、言うなれば枝葉末節な変化に過ぎないということだろう。

数万、数十万年のスケールで人類や日本人の起源を研究してきた篠田氏と、人類や日本人がこれまで歩んできた道を探った上で、これから行き先がどうあるべきかを考えた。

今週のニュース・コメンタリー
■SOPAから見える新旧メディアの質的な違い
■エネルギー関連有識者会議続報
推進派も反対派も主張の真意が問われ始めた
プロフィール
篠田 謙一しのだ けんいち
(国立科学博物館人類史研究グループ長)
1955年静岡県生まれ。1979年京都大学理学部卒業。医学博士。佐賀医科大学助教授などを経て現職。著書に「日本人になった祖先たち」(NHKブックス)、共著に「骨の辞典」など。   

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上杉隆が40万の記者メモを公表する。

40万メモリーク その波紋と反応、そして続編 』
<上杉隆>

この数日、「40万メモ」について訊ねられることが多い。

ジャーナリスト、メディア幹部、シンクタンク幹部、元官僚、政治家、秘書、そして新聞・テレビの記者たちだ。

「うちの社は、誰のメモが持っているの?」

あるメディア幹部はこう尋ねてきた。

「心配ありませんよ、今のところ、○○さんの名前はありませんから。でも、××社の記者はいますけどね。しかし、武士の情け、記者の固有名詞を出すつもりはありませんよ、現時点では……」

恐る恐る訊ねる表情を見ればわかる。実に多くの新聞・テレビの記者たちが同じ思いで、いま私の手元にある「40万メモ」の行方を見守っているのだろう。ある首相の元秘書からは次のような電話があった。

「どこまで出すんだ。身辺は大丈夫か。必要ならば預かるし、こちらでも手伝うぞ」

全文はこちら

『 40万メモリーク開始 平野博文文科大臣の奢り 』

一部引用・・

たとえば、私の手元にある40万ページにも及ぶ「記者メモ」で、盛んに登場するのがこの平野氏だ。

ここ数年、政治記者たちとのオフレコ懇談を繰り返し、政敵の悪口を流しまくり、自分の立場を守ろうとする卑屈な発言を確認できるのはまさにこの平野氏だ。ときには自らの仕える上司、つまり鳩山首相などを匿名で批判していたのも実は平野氏であった。

このような人物が日本の教育のトップだというのだ。まったく笑わせるではないか。

よって、今回のメルマガでは、その平野氏のオフレコ発言を載せることで、果たして今度の新しい文部科学大臣とはどういった人物か、みなさんに判断してもらいたいと考えた。

まず、ある日の「オフレコ」メモの一部をそのまま掲載しよう。

〈2011年9月14日 平野国対委員長(当時) 完オフ〉

今日は「完オフ」だぞ。単なる「オフレコ」だとマスコミはすぐに記事にしてしまうからな。もし「完オフ」にしたのに記事にしようものなら、俺は二度ともうあんた方とは喋らんぞ。いいな。

鉢呂の辞任の件はもう少しやりようがあったな。少なくとも何の見返りもなしに、早々に鉢呂を辞職させる必要はなかったんや。…………………………..

全文はこちら
 
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かんがえよう、わたしたちと子どものあした

<岩上安身>

2012年1月21日(土)、福島市子どもの夢を育む施設 「こむこむ」わいわいホールにて、「~かんがえよう、わたしたちと子どものあした。」~、と題された小出裕章氏の講演会が開かれた。

 第一部は「子どもたちに伝えたい原発のはなし」として、原発問題に今後どの様に向かい合って行けば良いのか、小学生以上を対象に講演。

 第二部の「知っておかねばならない原発のはなし」では大人を対象として、原発問題に関わる子ども達の今と未来について講演した。主宰は、小出裕章氏講演会実行委員会/NPO法人 うつくしまブランチ。

講演会の動画はこちら

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前横浜市長中田さんのブログから「日本は公務員天国」

一部引用・・

では、日本の公務員はどうでしょうか。
しばしば、「日本の公務員数は世界的と比べて少ない」と言われますが、ほんとうにそうでしょうか。たしかに人口1,000人当たりの公務員数を見ると、日本は約42人。フランスの半分以下であり、先進国の中では最低水準です。

しかし、この数字には、98の独立行政法人や政府管轄の公益法人などで働く準公務員は含まれていません。それらを含めた数字が世界基準といえますが、その場合の公務員数は約870万人。

けっして少ない数字ではありません。

さらに特筆すべきは、その給与の高さです。ある統計によると、日本の公務員の給与は2位のアメリカを引き離してダントツで世界最高。ドル換算では、フランスやドイツの2.5倍以上の数字となっています。

民間企業がこれだけ厳しい生存競争を余儀なくされている中、公務員改革が一向に進まないのは、なぜでしょうか。やはり、ここにも多くの利権がからんでいるからです。それらの事例については、「政治家の殺し方」の第3章にまとめました。

全文はこちら

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原発ストレステストには致命的な欠陥がある 

原発ストレステストには致命的な欠陥 それを23日から検査するIAEAに根本的問題 再稼働は許されない

一部引用・・

IAEAは 世界の原発推進のために存在する組織で、チェルノブイリ事故で亡くなった方は数十人しかいないとか、甲状腺ガンにかかった子どもが6000人いるけど死んだのは十数人だとか、ICRPと一緒になって(というかメンバーもかぶっている)言いたい放題、放射線の影響力を極力過小評価している組織です。

 そういうことにしておかなければ、核兵器の存在を正当化したり、原発を推進したりできないからです。
 
 日本の電力会社なんて可愛く思えるほどの、巨大な原発利権組織、それがIAEAです。津波の力を東電と日本政府が甘く見ていたなどという問題点を指摘する報告書を作っても、天災を甘く見なければ原子力発電所自体は大丈夫です、これからも日本でも原発基本で頑張って、という原発推進の結論先にありきの組織なのですから、全く期待できません。

 彼らの目的はただ一つ。原子力発電の推進なのです。客観的な検査など到底できません。

 ストレステスト自体に致命的な欠陥があり、それを検査する機関は根本的に公平性を欠く。

全文はこちら
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2012年01月23日(月)

ある国会議員の街頭演説は耳を傾ける価値がある

18日掲18日掲載分を再掲載。 「この議員さんって誰だか知らないけど、今の首相を恐れずに批判し­ている姿勢に感服しました。」 との言葉があった。まったく同感だ。この議員は民主党に所属しているようだが、時の首相、しかも自分が所属する政党の党首でもある野田佳彦氏が掲げている方針に対して、真っ向勝負で立ち向かい、正論を述べる姿は、まさに、これこそ、有権者との信頼関係を重視する、「正心誠意」を絵に描いた議員であると感じられる。
 
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文部科学省は2012年度も交付 全国の原発推進教育

原発教育、事故後も交付金 辞退の自治体相次ぐ
2012年1月22日3時7分 asahi.com

 原子力の研究、利用の推進を目的に学校教育を支援する国の「原子力・エネルギー教育支援事業交付金」が、東京電力福島第一原発の事故後も、各自治体に交付されている。東北の被災地からは「県民の理解が得られない」などとして交付辞退の動きが出ているが、文部科学省は2012年度も交付額の3割以上を原子力関連にあてる方針。総額3億1千万円の交付を予定している。

 交付金は学校現場の「都道府県が実施する原子力・エネルギー教育、高校での原子力人材の育成」を支援。11年度は宮城、神奈川、愛知、大阪、香川、鹿児島など30府県に約2億7千万円が交付される。

 福島県は06年度から交付金を受け、小中学生が毎年、福島第二原発エネルギー館(富岡町、閉館)を見学。原発の内部を体感できるサイエンスシアターなどで原子力の仕組みを学んだ。11年度も交付申請していたが、震災後に取り下げた。

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被害弁済行動に自分らで動き出した南相馬市民


原発賠償 1万人規模で申し立てへ
1月23日 4時0分 NHKニュース

 原発事故の損害賠償を巡り、福島県南相馬市の警戒区域に指定されている地域の住民たちが、東京電力の賠償額は不十分だとして、国の紛争解決センターに1万人規模の申し立てを集団で行う準備を始めました。

申し立ての準備を始めたのは、原発事故のあと、立ち入りが禁止される警戒区域に指定された南相馬市小高区の住民たちです。この地域の区長会は、東京電力の賠償額は不十分だとして国の「原子力損害賠償紛争解決センター」に集団で申し立てを行うことを決め、22日は、各地区の代表者およそ30人が集まり、今後の手続きについて話し合いました。

 この地域の住民およそ1万2000人は現在も全国各地で避難生活を送っていて、今後、地区ごとに申し立てに向けた準備を進めるということです。区長会の会長を務める山澤征さんは「離れ離れになっている住民が一体となって賠償を請求した方がプラスになる」と話しています。

「紛争解決センター」は、東京電力と被害者との和解の交渉を仲介するために去年8月に設置され、これまでにおよそ660件の申し立てを受け付けていますが、1万人規模の集団の申し立ての動きは初めてです。センターは「迅速に解決できるよう交渉の進め方などを検討したい」と話しています。

☆福島の百姓と漁民から仕事を取り上げた東京電力は、その責めを負わず知らぬ顔の半兵衛を決め込んでいた。お上に頼っていればなんとかしてくださると待っていた人たち。

一年経っても誰もなにもしてくれないことがはっきりしたいま、被害者が自分たちで法に則って動き出した。

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原子力ムラのカネの流れの一つ  ムラは生き延びる

この国と原発:第4部・抜け出せない構図/1(その1) 
重鎮学者が会社設立
毎日新聞 2012年1月22日 東京朝刊

 ◇資金調達、直弟子に寄付

 06~10年度、東京大で原子力を専攻する研究者が受け取った奨学寄付金を集計すると、意外な結果が出た。最も多額の寄付をしたのは、「IIU」という無名の株式会社で計600万円。三菱重工業(計567万円)やIHI(計400万円)などを上回る額だ。寄付額6位にも、NPO法人「日本保全学会」(計327万円)という耳慣れない組織が顔を出している。

 背景を探ると、学者自身が企業や学会を作り研究資金を調達している構図が浮かんだ。

 IIUと保全学会には共通点があった。ともに03年、宮健三・東大名誉教授が設立し、トップを務める。IIU本社は東大本郷キャンパスから100メートルほどのビルの一室にあり、保全学会事務局も同居する。宮氏は東大で原子炉機器工学を研究。01年の退職後も原発老朽化対策を検討する国の委員会の委員長などを歴任し、学界の重鎮として知られる。

 両組織からの東大への寄付は、ほぼ全てが大学院原子力専攻長を務める上坂充教授と、同じ研究室の出町和之准教授あてだ。両氏とも宮氏の教授時代、研究室に助教授や大学院生として所属した「直弟子」にあたる。

 IIUの登記簿などによれば、原発の維持管理技術開発などが主な業務で、電力会社からも仕事を受託。独立行政法人・原子力安全基盤機構から助成金を受けたこともある。

 保全学会も原発の維持管理技術がメーンテーマ。法人会員には電力各社や三菱重工業、東芝など67社が名を連ね、役員は研究者や電力会社幹部が務める。10年度収支計算書によると、2049万円の会費収入のほか、講演会の事業収入などが4628万円あった。

 上坂氏らに集中して寄付するのはなぜか。宮氏は取材に当初、保全学会の寄付について「上坂先生らが参加する保全学会の分科会で、軸受けの損傷を測定する技術を研究している。その研究への助成金」と説明した。支出の手続きについては「分科会には主査や幹事もいて、参加者の合意で審査している。メンバーは個人情報なので言えない」と答えた。IIUについては「私企業なので」と説明を避けた。

 ところが、保全学会が発行する学会誌の記事から「審査」の状況が判明する。

    ◇

 東京電力福島第1原発事故を経験しても、この国の「原発推進」体制は変わっていないように見える。なぜ抜け出せないのか。構図を追う。

<続きを読む>この国と原発:第4部・抜け出せない構図/1(その2止) 資金支出、自ら審査
この国と原発:第4部・抜け出せない構図 政官業学結ぶ原子力マネー(その1)
この国と原発:第4部・抜け出せない構図 政官業学結ぶ原子力マネー(その2止)
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原子力安全・保安院が「公文書管理法違反」

政府の原災本部 議事録を作らず

1月22日 17時44分 NHKニュース

 東京電力福島第一原子力発電所の事故を巡って、避難区域や除染の方針など重要な決定を行ってきた政府の「原子力災害対策本部」の議事録が作成されていなかったことが分かりました。専門家は「将来同じ失敗を繰り返さないようにするための財産が失われたという意味で、国民的な損失だと思う」と指摘しています。

政府の原子力災害対策本部は、総理大臣を本部長とし、経済産業大臣をはじめ全閣僚をメンバーとするもので、原発事故当日の去年3月11日に設けられ、避難区域や除染の基本方針、農作物の出荷制限など原発事故を巡る重要な決定を行ってきました。

 NHKで、去年11月、それまでに開かれた21回の会議について「議事録や内容をまとめた資料など」の情報公開請求を行ったところ、公開されたのは、議題を記した1回の会議について1ページの「議事次第」だけで、議論の中身を記した議事録は作成されていなかったことが分かりました。NHKの取材に対し、原子力災害対策本部の事務局を務めている原子力安全・保安院の担当者は「業務が忙しく議事録を作成できなかった」と説明しています。

 公文書管理法は、国民への説明義務を果たすとともに政府の意志決定の過程を検証できるようにするため重要な会議の記録を残すよう定めており、公文書の管理を担当する内閣府は、原子力安全・保安院の担当者から聞き取りを行うなど経緯を調べています。

 原発事故への対応を巡っては、東京電力と政府が合同で事故対応を検討した「事故対策統合本部」でも主要な会議の議事録が作成されていなかったことが分かっており、内閣府は、この経緯についても調べています。

公文書の管理や情報公開制度に詳しい名古屋大学大学院の春名幹男特任教授は「政府の重要な立場にあった人たちは、記録を残さないと責任を果たしたことにはならない。今回は、自分たちの失策がそのまま記録されると困るので、あえて記録を残さなかったと思われてもしかたない。将来同じ失敗を繰り返さないようにするための財産が失われたという意味で、国民的な損失だと思う」と指摘しています。

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関西の原発が最も老朽化と金属劣化が進行している

原発「関西が最も危険」 老朽と金属劣化、研究者指摘
2012/01/20 19:16 【共同通信】 

 福井県内にある原発7基の再稼働差し止めを滋賀県の住民らが求めた大津地裁の仮処分審で「材料や機器劣化による原発事故の危険性は関西エリアが最も高い」とする井野博満東大名誉教授の意見書を住民側が提出することが20日、訴訟関係者への取材で分かった。

 井野氏は意見書で、原子炉の健全性を評価するため圧力容器内に置かれた試験片の耐性を分析。「最も劣化が進んだ九州電力玄海原発1号機(佐賀県)に次ぎ、全国でワースト2~6が福井県に集中している」と指摘し、事故があれば近接する関西地方が大きな被害を受ける可能性を示した。
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2012年01月21日(土)

最初から骨抜き 原子炉等規制法改正案

原発最長60年は骨抜き案…東海村長が痛烈批判
(2012年1月19日23時31分 読売新聞)

原子力発電所の運転を原則40年以上は認めないとする原子炉等規制法改正案を巡り、政府が例外として最長20年の延長を認める規定を盛り込む方針を示したことについて、日本原子力発電・東海第二発電所が立地する茨城県東海村の村上達也村長は18日、「最初から例外を設けるのは現実に妥協した骨抜きの規制案だ。基準がないことに等しく、これでは国民に信用されない。本当に情けない国だと思う」と厳しく批判した。

 さらに、「優柔不断な国では安全を担保できない。基準を超えた原発は、何がなんでも止めるという決断が必要だ」と厳格な運用を求めた。東海第二発電所は昨年11月、運転開始から33年が経過した。現在は定期検査中で、運転再開の見通しは立っていない。

 また、橋本知事は18日の定例記者会見で「40年という指標が示されたことはいいことだと思うが、その時々の状況に応じて対応するというのでは、事業者側も地方自治体としても大変困惑せざるを得ない」と懸念を示した。

☆官僚が頭を絞るのは常に「但し・・」と言う例外規定を、いかにさりげなく法律や条例に付記するかだ。

殆どの条例には例外規定が盛り込まれていて、現実の運用では圧倒的に例外規定が適用され、その法律が作られた趣旨は曲げられ、既得権益者の擁護だけが連続していく。この改正案??は国会議員は通してはいけない。

原発事故で福島の農民・漁民から仕事を取り上げた東電の二の舞を
他の電力会社にもやらせる芽を少しでも残してはいけない。
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福井県は再稼働を認めない姿勢

福井県、再稼働認めぬ姿勢 大飯3、4号耐性評価
2012年1月19日 福井新聞

原発の再稼働
関西電力大飯原発3、4号機のストレステスト(耐性評価)の1次評価をめぐり経済産業省原子力安全・保安院が18日、「妥当」との素案を示したものの、耐性評価だけでは再稼働の判断材料として不十分としている福井県や地元おおい町は、暫定的な安全基準が必要とする従来の姿勢を崩していない。現状で再稼働の行方は見通せないままだ。(伊豆倉知、野田勉、新屋安弘)

 県内で1次評価を提出済みの原発は関電と日本原電の計5基。ただ、西川知事は「机上のシミュレーションでしかなく、結果を再稼働判断にどう生かすかの基準も不明確」との見解だ。同日夜、取材に応じた石塚博英安全環境部長は同様の考えを繰り返した上で、東京電力福島第1原発事故の知見を反映した新たな安全基準の明示が必要不可欠とあらためて強調した。

 また、保安院が示した素案に関しても「委員からさまざまな修正意見が出され、今後も(意見聴取会での審議の)作業を継続するとしている」と述べ、県としての評価を避けた。

 時岡忍おおい町長もこれまで「福島の知見が反映された新たな安全基準が必要」として、耐性評価だけでは再稼働は認められないとの考えを示してきた。保安院が同日示した判断に関しても、詳細を聞いていないとしてコメントしなかった。

 一方、原発設置反対小浜市民の会の中嶌哲演さんは「国民の信頼を失っている保安院が再稼働のゴーサインを出すという方向性自体が茶番劇だ。保安院にはゴーサインを出す資格も、能力も、権利もない。福島の事故の反省ができているのか」と痛烈に批判。「少なくとも4月に設置される原子力安全庁において、厳正な審査の下で熟議を重ねて結論を出すべきだ」と述べた。

 県はこの日、原子力安全対策課の職員1人を保安院に派遣したが、評価結果の妥当性の審査であり再稼働を判断する場ではない-として、淡々と情報収集した。
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原発避難者に“理不尽”制度 罹災証明

報道ステーションより。

福島原発の警戒区域に住んでいた人には罹災証明が出ないという現実がある。震災から10ヶ月、故郷を離れ避難先で生活を再建しようとしている被災者が増えてきている。しかしある制度が壁となって新たなスタートが阻まれている。住宅再建のための融資制度は罹災証明書が必要だが、警戒区域の多くの自治体では罹災証明書が発行できていない。高線量汚染で原則立ち入り禁止の警戒区域では調査が難しい。住宅金融支援機構の話では、罹災証明がなくてもできるよう制度を変えてできないかと国に検討をお願いしている状態だというが、法律の改正が必要となり、いつになるかめどがたたないという。
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原発は老朽化しない? 原子力安全・保安院の結論は見直し

“老朽化影響なし”結論見直し
(1月19日 6:20更新)NHKニュース

原子力発電所の老朽化対策についての規制の在り方を見直す会合で、国の原子力安全・保安院が「福島第一原発の事故に設備の老朽化の影響はない」とする結論をまとめましたが、専門家から「老朽化の影響がなかったとする結論は早計だ」という意見が相次ぎ、結論を見直すことになりました。

原子力安全・保安院は、東京電力福島第一原発の事故を受けて、原発の老朽化対策の規制の在り方について専門家から意見を聞く会合を開き、今回の事故で設備の老朽化が影響しているか検証しています。

18日の会合で、原子力安全・保安院は「津波が到達するまでの間、安全機能を有するすべての設備の機能に地震が影響したとは考えがたい」として、今回の事故で40年を超える運転による老朽化の影響はないとする結論を示しました。

これに対して、専門家から「今回の事故で原発の設備が受けた影響を示すデータが十分に分からない段階で結論を出すのは早計だ」とか、「原発内部を調べられない以上、老朽化の影響がないと断定できない」など批判的な意見が相次ぎました。

このため、原子力安全・保安院は、今回まとめた結論についてもう一度見直したうえで、専門家に意見を聞くなど改めて検討することにしています。
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日本国憲法と原発再開を考える

「憲法と3・11」伊藤真インタビュー(その2)‐シリーズ「3・11以降を生きる」
2012年01月11日 14:34

憲法の根本的な意義と役割は「権力に歯止めをかけることである」という憲法学の本質を繰り返し説いている伊藤真さん。だとすれば憲法は、国、政府、そして原発マフィアという「権力」の暴走に歯止めをかけることができるのでしょうか? そしてどう復興に取り組んでいくべきなのでしょうか?

  …など大きなテーマについて、グリーンピーススタッフとマガジン9編集部がインタビュアーになり、お話をお伺いしました。個人の尊重・幸福追求権(憲法13条)と生存権(憲法25条)、平和的生存権(憲法前文2項)が脅かされている今、私たちは憲法を生かすべく行動することが求められています。自分たちの足もとの問題として、「憲法と3・11」について家族や友達と話しあってみませんか。

●憲法前文2項:「われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。」

●憲法第13条:「すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追及に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政で、最大の尊重を必要とする。」

●憲法25条:すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。

2 国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。

伊藤真(いとう・まこと)伊藤塾塾長・法学館憲法研究所所長。弁護士。1958年生まれ。81年東京大学在学中に司法試験合格。95年「伊藤塾」を開設。現在は塾長として、受験指導を幅広く展開するほか、各地の自治体・企業・市民団体などの研修・講演に奔走している。著書に『高校生からわかる日本国憲法の論点』(トランスビュー)、『憲法の力』(集英社新書)、『なりたくない人のための裁判員入門』(幻冬舎新書)、『中高生のための憲法教室』(岩波ジュニア新書)、『憲法の知恵ブクロ』(新日本出版社)など多数。「一人一票実現国民会議」の発起人。

編集部  2012年は復興が本格的に進む年になるでしょうが、特に福島原発事故で汚染された地域に関しては、住民の意見が割れ対立しているなど、困難さを感じています。そして時が経つことで、問題解決はしていないのに忘れられていくという恐れもあります。

伊藤  憲法は、想像力、共感力を持つことを私たちに要求しています。今回は大変な震災です。死者行方不明者が約2万人、避難をしている人は30万人を超えるとも伝えられています。

 しかしそれでも全国民の1億2千700万人からしたら、たったの30数万人なのです。被災者の方々は少数者であり、大多数の人は私たちを含めて、こうして普通の生活を送ってきています。本当に被害を受けている人は少数者。だからこのままだと忘れられていく運命にもあるでしょう。

福島原発の事故の復旧作業に当たっている現場の人も、大きな負担を強いられています。被曝しながらの労働を、ほとんどは非正規雇用や日雇いの労働者たちが現場に入って担っているわけですから、さまざまな保障から抜け落ちている社会的な弱者がさらに犠牲になっているという現実を、ちゃんと受け止めておく必要があります。

 「ニッポンみんなでがんばろう」とか、「ニッポンみんなの問題だ」という言葉には本当に違和感があります。私たちは何でもない、でもだからこそ何でもない人が、虐げられている人たちに対して何ができるのかを、考えなければならない。


 そして、憲法はそういう少数者を守るためにあるんだということを再認識してもらいたい。これは、今起こっているこの国の全ての憲法問題と同じことです。

編集部  沖縄普天間の問題、高江の問題、薬害の問題、アスベスト被害の問題・・・本当にそうですね。

伊藤  憲法は、個人のための国家を要求しています。国家のための個人ではないし、国のための復興ではない、経済界のための復興でももちろんない。一人ひとりの自立のための復興でなければ、誰も救えないと思います。そのためには、被災地の地元の一人ひとりが自ら立ち上がって、人間のための復興を考える。被災者は国に、復興のための権利として私たち一人ひとりの復興を、私たちが考える復興を手助けしろ、と言っていいのです。

 憲法25条が保障している生存権は、一人ひとりの人権を保障しています。国にはその義務があり、国民はその権利を要求することができます。「健康で文化的な最低限度の生活」が送れなくて困っている人をみんなで相互扶助して支えましょう、慈善事業で何とかしましょう、ということではないのです。そして「助けろ」と自分が主張することは、ずうずうしいことではありません。自分が保護の客体ではなく、声をあげる主体である、というそのことをしっかりと被災地の皆さんに自覚していただきたいのです。でもこれはある意味、とてもきびしいことを言っています。被害を受け家も流され家族が亡くなり、仕事も失って呆然自失の状況の人たちに、「だまってじっとしているだけではダメですよ」と、言うわけですから「現場を知らなすぎる。残酷で無責任だ」という批判を受ける覚悟で言っています。

グリーンピース(以下GP)  「助けろ」と要求する(主体は自分たちだという)ことを自覚してもらいたい、ということでしたが、私たちも福島の人たちの「避難する権利」の確立を求めて、政府交渉を続けてきました。政府が言う避難区域の線引きの不透明さや、それ以外の場所についての保障が十分でないなど、高い線量があるのに避難したくてもできない人たちが大勢いますから。(参考:対政府交渉 in 福島~「避難の権利」の確立を求めて)

 でもこの話を私の身内にすると「権利」と言ってしまうと、日本人はそれを振りかざすことがどこか恥ずかしい、だから口をつぐんでしまうのではないか、と言われ家庭内で議論をしたことがあります。

伊藤  権利という日本語は、英語ではRightであり「正しいこと」という意味を持っています。ドイツ語、フランス語においてもそうですね。日本もこの言葉が入ってきたばかりの時は、権理という翻訳になっており、理性の理があてられていました。今は利益の利、利己主義の利のため、どうしても「権利ばっかり主張して、義務の方はどうなの?」という風潮がありますが、もともとは「正しいこと」「正義」という意味なんですよ。ですから堂々と主張したらいいことですし、主張していかないと権利は維持できなくなってしまうものです。ただ今の福島の避難の権利については、当事者はなかなか地域の人間関係もあり、言いづらいこともあると思うので、その時はまわりの人が声を上げていく、直接の被害を受けていない人たちが、代わりにやってあげることは必要だと思います。


編集部  憲法も法律も、それが作られるに至った背景の事実「立法事実」がある、と聞きました。例えば、日本国憲法の立法事実は、太平洋戦争であり敗戦です。とすれば、今回の大災害に際し、私たち主権者は新しい「法」を持ち、未来を作っていくのが自然なように思いますが、どうでしょうか?

伊藤  「立法事実」はたしかにそうです。決定的な敗戦によって、憲法9条は作られた、受け入れられたと言えるでしょう。日本軍の上層部や司令部には、「強い軍隊がないから負けたのだ。今度戦争をやる時はもっと上手くやれるようがんばる」という人たちもいたと思います。しかし「今後一切戦争はしない。軍隊も持たない」という9条はかなり特異なものですね。一般市民の被害の体験が膨大で、被害者としての当事者意識が共通して持てたから、国民みんなが9条を受け入れたということがありました。それゆえに国として加害者の面を薄めてしまった、という弱点はあるのですが。

 ただ残念ながら、先ほどからの繰り返しになりますが、今回の出来事は国民の大多数にとっては、「人ごと」であり、本当に被害を受けた人は少数者ですから、彼らを救済するような画期的な法が制定されるということを期待するのは、なかなか難しいと思います。

 自分たちは被害者ではない。しかし、「共感」をいかに広げていくことができるか、自分自身の危機感につなげられるか、ということが大事ですね。子どもを持つお母さんたちには、そのような動きが広がっているように感じています。

■原発と核を憲法は許していない
編集部  伊藤先生は、以前から原発には反対だったと、twitterで発言されていました。それは具体的にどのような体験があったのでしょうか?

伊藤  英語では両方ともnuclearなのに、日本語では原子力と核という、言葉の使い分けがそもそもおかしいですね。厳密に原子力発電でなく、核発電という言い方をして欲しいと思います。原発を稼働することで、核兵器の元になるプルトニウムをどんどん蓄えていきます。また原発を持つことは、テロリストの格好の標的にもなるわけです。しかし今、日本の国土の上にそれを大量に持ってしまっている。それはまさに平和の中で生きるという、平和的生存権に真っ向から反する状態を作り出しているわけです。このような状態を憲法は許していない、と私は考えています。

 具体的な体験としては、伊藤塾では15年前に、平井憲夫さんの講演会を持ちました。平井さんは元原子力プラントでずっと働いてこられた方で、現場を辞めた後、被曝労働者の支援をされていましたが、ご自身も癌で具合が悪くなっていました。この時の講演も、お話をされている時ははっきりとされていましたが、講演の前と後はぐったりされていて、その数ヶ月後にお亡くなりになってしまったのです。私は、原発は被曝労働者の犠牲の上に成り立っているということを、平井さんの姿から実感しました。被曝労働者の方々は、非正規雇用だったり日雇いだったり、社会的にも弱い立場のみなさんが多い。高度な溶接技術を持っていない人たちがやる、という危険性もそうですが、社会的少数者、弱者の上に成り立つ原発は許してはダメだと思いました。当時はまだCO2の議論はなかったけれども、平和的で持続的なエネルギーに代替させていくことの必要性を感じました。憲法はそれを求めています。

GP  グリーンピースでは、原発にも化石エネルギーにも頼らずに自然エネルギーでやっていける、それが2012年から可能であるという試算を出しています。このレポートは、ドイツの政府機関であるドイツ航空宇宙センター(DLR)および環境エネルギー政策研究所(ISEP)の協力を得て作成しました。ドイツの話を聞くと、地方自治のレベルからエネルギーの自立に10年前ぐらいから本格的に取り組んできて、当初は四つぐらいしか電力会社はなかったのですが、今では全国で800社以上の電力会社があります。そして3・11後、国として2022年までに脱原発することをはっきりと打ち出しました。

伊藤  ドイツの対応は早かったですね。経済的な効率ということからではなく、倫理会議を開いて、倫理的に原発の問題を後の世代に押し付けるわけにはいかない、という結論を出したわけです。物理学者のメルケルさんがそれを決断したのですから、大きなインパクトがありました。

編集部  最後にお聞きします。成熟した議論のできる民主主義、市民社会を作るためには、グリーンピースのようなNGOと協力していく場面も多々あると思います。伊藤先生は、グリーンピースの活動をどうご覧になっていますか? 

伊藤  グリーンピースは、もともと核廃絶、核実験阻止からはじまった団体ですよね。でも日本だと「クジラ団体」だと思われていますよ(笑)。

GP  はい。グリーンピースの最初のプロジェクトは、当時アメリカ政府が行っていたアムチトカ島での核実験に反対するために、現地に船を出し阻止を世界に呼びかけよう、ということでした。そのための資金を集めようということで、ジョニ・ミッチェル、ジェームス・テイラーらに協力を呼び掛け、「今日、みんな立ち上がろう」というロックコンサートを1970年に開いたんですね。反核実験運動は若者を中心に盛り上がり、72年についにアメリカ原子力委員会は「政治的、そして他の理由のため核実験を中止する」と発表した、という経緯があります。 (参考:グリーンピースの誕生)

伊藤  まさに、こういう時に立ち上がる団体なのですね。福島の現地に行って調査されていますが、データや事実に基づいての活動やチェルノブイリの経験に基づくアプローチなど、とても説得力があるし多くの人の共感を得られるでしょう。ですからグリーンピースの原点は「核廃絶」である、ということをもっと打ち出していかれたらいいと思います。あとは、もっと法律家がスタッフとして中に入って、法的な支援やアドボカシーをやっていってはどうですか? 

GP  そうですね。グリーンピースは本部にリーガル(法律)ユニットを持っていたり、ブリュッセルやワシントンD.C.にアドボカシー専門のスタッフを有しています。日本でも、個別の分野で法律家のアドバイスをもらいながら活動していますが、ぜひスタッフとして法律家を雇えるようなNGOに発展していきたいです。

編集部  市民と国際NGOと法律家が協力して、2012年、より良い市民社会を作っていきたいですね。長時間、ありがとうございました。

引用元はこちら

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原発現場に入ったフリー記者の報告 動画

20120118 ヤクザライター原発潜入 暴力団と原発ゲストは暴力団の取材を続けるライター・鈴木智彦氏。鈴木氏は、事故後の福島第1原発に作業員として潜入した。 作業員派遣とヤクザの関係など、現場で見聞きした生々しい実態を鈴木氏に聞く。

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大阪市関連の見逃せない記事二つ

○大阪市職員が大量退職……その数650人  こちら

○自治体はどうすれば変えられるのか――橋下市長×石原知事対談
    こちら
 
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原子力安全・保安院のストレステスト審査意見聴取会はこうして終わった

一部引用・・

 また、井野教授と後藤さんは「傍聴者を認めれば会議に出席したい」とし、公開されない会議は無効であると訴えたものの、保安員側は「傍聴を認めないのが省の方針」として譲らず、2人は会議の参加を拒否。結局、約3時間30分遅れで、意見聴取会は本館17階の別室で再開したものの、出席予定の8人の委員のうち、他の2人の委員も大幅な時間変更が理由で途中退席したため、最後まで残ったのは4人のみだった。
 
福島第一原子力発電所の事故後、原発の再稼働の前提として導入されたストレステスト。保安院は、国内14基の原発の評価結果を電力会社から受理しているが、再稼働に向けて審査結果をまとめたのは大飯原発が初となる。23日に来日するIAEAの審査に間に合わせるために、会議を急いだものと見られる。

全文はこちら
 
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