2016年3月13日日曜日

福島原発事故が起きた2011年10月10日から10月14日の「阿智胡地亭の非日乗」の記事

2011年10月14日(金)

追悼記  アップルのスティーブジョブズ氏逝く

[澤上篤人の長期投資家日記]から引用

アップルのスティーブジョブズ氏が逝った。

すごく残念である。

まだ56歳、もっともっと仕事して欲しかった。


なによりも、彼の

"Think differennt"

が好きだね。

既成の概念や価値観に対し、それをそのまま受け入れるだけでは、
なにも新しいものは生まれない。

本当だろうか、ほかに考えられないものだろうか、
もっと違う見方ができないのかな、

あれこれ考えては試してみるところから、
彼の想像力が磨かれていった。

その先に、独創的な発想が次々と新しいアップルとして
結晶化されていった。


いろいろ学ぶことができる。

経済のジリ貧も、給料の低下傾向も、ひょっとしたら
仕事を失うかもしれない不安も、年金問題も、

どれもこれもそのまま仕方ないと受け入れてしまって
よいのかどうか。

一人ひとりが、あるいは生活者全体が、

なんとか良い方向への対応ができないものか、
あれこれ考えては試してみるのはどうか。


いつもの繰り返しとなるが、日本経済の地力はすごいものがある。

政治がダメでも、われわれ一般生活者がなにもかも
国頼み会社頼みの他力本願を捨てて、

自分達の力でここをなんとしてでも切り抜けてやるのだ
といった覚悟さえ出てくれば、そこから先は何とでもなる。

何しろ、日本の個人マネーは預貯金に眠っている分だけでも
経済規模の1.6倍と、とんでもないエネルギーを持って
いるのだから。


ジョブズ氏の革新的な生き様をすてきだと思うのなら、

そのほんの一部でもわれわれの生活に生かしてみようではないか。

きっと、日本の将来はみるみる明るくなるだろう。

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東京新聞社説「民の声を恐れよ 脱原発デモと国会」  

 2011年10月12日 東京新聞社説

 原発の是非をめぐり大規模な集会やデモ、住民投票実施に向けた動きが広がっている。国会にこう訴えかけているのではないか。「民(たみ)の声を恐れよ」と。

 九月十九日、東京・国立競技場に隣接する明治公園で開かれた「さようなら原発五万人集会」。呼び掛け人の一人、作家の大江健三郎さんはこう訴えた。

 「私らは抵抗する意志を持っていることを、想像力を持たない政党幹部とか経団連の実力者たちに思い知らせる必要がある。そのために何ができるか。私らには民主主義の集会、市民のデモしかない。しっかりやりましょう」

◆「お母さん革命」だ
 この集会には主催者発表で約六万人、警視庁の見積もりでも三万人弱が集まったという。

 東京電力福島第一原子力発電所の事故を機に、脱原発を目指す運動は燎原(りょうげん)の火のごとく、全国各地に広がっている。

 子どもたちが学校で受ける放射線量の限度をめぐり、文部科学省が当初設定した年間二〇ミリシーベルトから、一ミリシーベルト以下に引き下げさせたのは、「二〇ミリシーベルトの設定は子どもには高すぎる」と行政に働き掛けた保護者たちだった。

 満身の怒りで国会、政府の無策を訴えた東京大アイソトープ総合センター長の児玉龍彦教授は、原発事故後、子どもの命と健康を守るために立ち上がった市民の動きを「お母さん革命」と表現する。

 原発反対、推進のどちらにも与(くみ)せず、極めて重要な案件は国民一人一人が責任を持って決めるべきだとの立場から、東京や大阪、静岡では原発の是非を問う住民投票実施に向けた動きも始まった。

 自分たちの命や生活にかかわることは自分たちで選択したい。この思いは、国会開設を求めた明治期の自由民権運動にも通底する政治的衝動ではないだろうか。

◆政治過信の果てに
 背景にあるのは「国民の厳粛な信託」(日本国憲法前文)を受けた国民の代表者であるはずの国会が、「国民よりも官僚機構の顔色をうかがって仕事をしているのではないか」という不満だろう。

 代議制民主主義が、選挙で託された国民の思いを正確に読み取り、国民の利害が対立する問題では議会が持つ経験に基づいて調整機能を働かせれば、国民が直接行動しなければという衝動に駆られることもなかった。

 例えば原発建設。地震頻発国のわが国に、なぜここまで多くの原発が造られたのか。安全性をめぐる議論は尽くされたのか。

 国民は素朴な疑問を抱いていたにもかかわらず、国会はそれを軽んじ、官僚と電力会社主導で原発建設が進んだのではないか。深刻な事故後も脱原発に踏み込めないのは、政官財の利権構造を守るためだと疑われても仕方がない。

 増税もそうだ。少子高齢化社会の到来に伴い増大する社会保障費を賄うためには、いずれ消費税を含む増税が不可欠だとしても、その前にやるべき行政の無駄や天下りの根絶は不十分だ。

 難しい課題にこそ与野党が一致して取り組んでほしいと国民が望んでいるのに、霞が関への遠慮からか、遅々として進まない。

 二〇〇九年の衆院選で民主党への政権交代が実現したのは、官僚主導から政治主導への転換に対する期待感からではなかったか。

 その民主党政権が二年間の試行錯誤の末、行き着いたのが結局、官僚との共存路線だった。野田佳彦首相に問いたい。菅前内閣のように官僚を排除する必要はないが、それは国民が民主党に望んだことだったのか、と。

 政治不信といわれて久しいが、むしろ私たちは政治を「過信」していたのではあるまいか。

 選挙は主権者たる国民が主権を行使する唯一の機会だが、選挙後は「どうせ政治は変わらない」と諦めて、声を発しようとしない。そもそも投票する人が減り、あらゆる選挙の投票率は低下傾向にある。そんな「お任せ民主主義」で政治がよくなるわけがない。

 仏革命に影響を与えた十八世紀の哲学者ルソーは社会契約論で「彼ら(イギリスの人民)が自由なのは、議員を選挙する間だけのことで、議員が選ばれるやいなや、イギリス人民はドレイとなり、無に帰してしまう」(岩波文庫版)と英議会制度の欠点を指摘し、直接民主制を主張した。

◆代議制を鍛え直す
 ルソーは代議制の陥穽(かんせい)=落とし穴を言い当てているが、二十一世紀の私たちは選挙後に待ち受ける代議制の落とし穴にはまらず、奴隷となることを拒否したい。

 政策決定を政治家や官僚任せにしないためにも、私たちには「民の声」を発し続ける義務があり、負託を受けた議員は最大限くみ取る。そうした当たり前の作業が代議制を鍛え直す第一歩になる。
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水爆搭載米軍機墜落 スペインの村 45年後の現実

福島では放射能の除染作業が続けられていますが、今この作業を怠ると将来大変なことになる、そんな警告が聞こえてきます。45年前、アメリカ軍の爆撃機墜落事故で水素爆弾が落下したスペイン南部の村。当時の除染作業が不十分だったことから、今なお翻弄され続けているこの村を取材しました。ビデオでご覧ください。(12日21:56)
記事面を2段階クリックすると拡大し読めます。
 
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2011年10月13日(木)

20111009 ウイキリークス の アサンジ氏インタビュー

☆「20111009 ウイキリークスは何を暴いたか」
CS朝日ニュースター「デモクラシーナウ」より。ウィキリークスの創設者ジュリアン・アサンジが7月2日、デモクラシー・ナウ!のエイミー・グッドマンが司会を務めるスラヴォイ・ジジェクとの対談のためにロンドンに現れました。
保釈後、支持者の屋敷に軟禁されてから初めての公開イベントの一つです。対談の内容は、国際政治におけるウィキリークスの影響、イラクとアフガニスタンの戦争文書の公表、そして史上最大の米政府機密文書漏洩、ケーブルゲイトに及びました。

20111009 ウイキリークスは何を暴いたか 投稿者 PMG5
 
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霞が関のデスクで考える除染は現実の除染とは別のこと

放射性物質:進まぬ除染、道険し 雨のたび山から汚染土砂
2011年10月11日 12時21分 毎日jp

 一般住宅の除染実験で、高圧洗浄機で屋根周辺を洗い流す作業員=福島市渡利で2011年7月24日、手塚耕一郎撮影 

福島第1原発事故で放出された放射性物質の「除染」について、長期化への不安が住民の間で広がっている。

 山際の地域では除染後も、雨が降る度に、山から放射性物質を含んだ落ち葉や土砂が流れ込み、放射線量が再上昇した例も。7割が山地の福島県。都市部にも里山が多い。国は年間被ばく線量が1ミリシーベルト以上の場所で自治体が除染する費用を負担する考えだが、住民は「山の近くは繰り返し除染するしかない。その費用もちゃんと出るのか」と心配する。【町田徳丈、安高晋】

 福島市は7~8月、市内でも線量が高い大波、渡利地区で除染実験を行い、数日~1週間程度後に線量を再調査した。すると計885地点中7地点で、除染後の数値が除染前より高いという結果が出た。毎時3.67マイクロシーベルトから同4.63マイクロシーベルトに上がった側溝もあった。市は「山の近くや、山から水や土砂が流れ込んだポイントで数値が上がった」と分析する。

 大波地区に住む八巻祐子さん(52)の自宅裏には里山が迫る。まとまった雨が降ると山から庭に土砂が流れ込む。玄関先は毎時1マイクロシーベルト以下だが、庭は2マイクロシーベルト超。「どこもうちと同じ状況」と訴える。

 渡利地区で息子夫婦と孫娘2人の6人暮らしの裏沢利夫さんは、市民団体の調査で、自宅脇の水路から30万ベクレルを超える高濃度の放射性セシウムが検出された。「一度だけの形式的な除染では意味がない。定期的に実施できないのなら、住民の安心にはほど遠い」

 森林の汚染実態について調査してきた農水省は9月30日、宅地などとの境から20メートル程度の範囲の森林の落ち葉などの除去が効果的との中間とりまとめを公表した。だが、その中でも、常緑の針葉樹については「葉にも放射性セシウムが蓄積しており、通常3~4年程度をかけて落葉する」として継続的な落ち葉除去が必要と認めた。

 2年間で全域の生活空間の線量を毎時1マイクロシーベルト以下にする計画を立てた福島市。今月中にも大波地区で本格除染を始める。山林については未定だが、国の「20メートル指針」に対し、地権者らの同意を条件に75メートル内部まで腐葉土を取り除く方向で検討している。除染は繰り返すしかないとみているが、長期的な財政支援が得られるのか、国からの回答はないという。

 「汚染土」の置き場の問題も深刻だ。国は国有林の活用も検討し始めたが、伊達市の担当者は「全域の『森林20メートル』は広大。大量の土砂を置く場所の確保は本当に難しい。それに人手はどうするのか」と指摘する。

 また、森林にはさまざまな役目がある。9月末に緊急時避難準備区域から解除された川内村。9割近くが山林で全域が井戸水や流水で生活する。村は約20年かけて山林全体を除染する計画だが、担当者は「水源を保つためにも山林は必要。木を伐採せず、森林機能を保持したまま除染する方法はないんでしょうか」と苦悩を語った。
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茨城県東海村の村長は発言と行動を継続している

「原子力」の東海村、村長が原発廃炉を国に要請
(2011年10月12日11時23分 読売新聞)

細野原発相(右)に文書を手渡す村上村長(11日、東京・霞が関で) 日本原子力発電・東海第二発電所を抱える茨城県東海村の村上達也村長が福島第一原発事故後、「脱原発」の姿勢を鮮明にしている。

 11日には都内で細野原発相、中川文科相と相次いで会談し、「東海第二原発は廃炉にすべき」などと直談判に出た。一方、村内には廃炉に伴う地域経済への影響を懸念する声が根強く、定期検査後の東海第二発電所の運転再開を巡って議論の長期化も予想される。

 「東海第二は原発の立地条件として不適切。また老朽原発である。廃炉にすべきでないか」。村上村長は都内で、両大臣に「半径30キロ圏内に100万人が住み、避難計画策定は不能」などと訴え、東海第二発電所の廃炉を求める文書を手渡した。原子力安全・保安院に代わる規制体制の早期確立や減原発政策の具体化も求め、会談後、記者団に「今日は私の考えを示しただけ。国がどう対応するかを見させてもらいたい」と、今後の取り組みを注視する考えを示した。

 村上村長は原発事故後、公の場で「人に冷たく無能な国で原発を持つ資格はない」などと国の姿勢を批判する発言を繰り返している。立地自治体の首長が脱原発発言を繰り返すのは全国でも異例だ。村の2009年度の歳入約199億円のうち、原子力施設に関連する歳入は約60億円と3分の1近くを占める。東海第二発電所だけに限れば「全体の6~7%」(村幹部)にとどまるが、原発推進派の村議らは「下請け企業が納める法人税や雇用効果など目に見えない影響もある」と脱原発への懸念を隠さない。

 また、村上村長は9月定例村議会などで「東海第二原発が事故を起こせば村全域の避難は避けられず、全村民の意見を問うべき問題」と、運転再開の是非を問う住民投票の実施にも言及。しかし、議会内には「廃炉にした場合の村民生活への影響など十分な情報が示されていない。隣県で原発事故が収束していない中、二者択一で冷静な判断を求めることはできない」と反対意見も多く、実現に至るかは不透明だ。

 東海第二発電所は東日本大震災で原子炉が自動停止し、現在は定期検査中。11月を予定していた終了時期は延期され、運転再開の見通しはたっていない。

JCO事故から12年、脱原発村長の茨城・東海村を行く

一部引用・・

◇命も地域も二の次か
 福島第1原発事故が列島を揺るがしている。日本の原子力発祥の地といわれる茨城県東海村では、村長が脱原発を打ち出した。東海村はどこに向かうのか。現地を歩いた。【井田純】

 ◇30年、40年恩恵受けたとしても それで、ふるさと失ったら…?
 東西、南北とも7~8キロの村に、原子力関連の事業所は12を数える。村内を東西に走る道路には原電通り、原研通り、動燃通りの名が。3万8000人の村民の3分の1が原子力関連の仕事に就いているか、またはその家族といわれる。それでも村上達也村長(68)は言う。

 「福島での対応を見ていたら、日本には、原発なんていう巨大な科学技術をコントロールすることはできねえなと。『資格なし』というふうに思いました。これはもう脱原発だ、と腹を決めましたよね。世界一、二の地震地帯でさ、54基も原発を持って平然としてる。あまりにもうぬぼれた話、自然に対して傲慢だと思いましたね」

 ぼくとつとした茨城弁。だが、あまりの言葉の強さにけおされる思いがした。

 これまで、放射能漏れなどの原子力関係のトラブルが起きた時の自治体の長の反応はほぼ共通していた。まずは住民の健康への影響懸念に言及して事故を非難し、最終的には「再発防止を」「安全第一で」と念を押し、容認する。だが、この「脱原発」はどうやら違うようだ。

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放射能汚染の食品基準 日本500ベクレル・ベルラーシ37ベクレル

日本の食品基準は甘すぎ ベラルーシ専門家が批判
2011.10.12 20:28 [放射能漏れ] MSN産経ニュース

 記者会見するベルラド放射能安全研究所のバベンコ副所長=12日午後、東京都千代田区
 チェルノブイリ原発事故後の住民対策に取り組んできたベラルーシの民間の研究機関、ベルラド放射能安全研究所のウラジーミル・バベンコ副所長が12日、東京都内の日本記者クラブで記者会見した。東京電力福島第1原発事故を受け、日本政府が設定した食品や飲料水の放射性物質の基準値が甘すぎ、「まったく理解できない」と批判、早急に「現実的」な値に見直すべきだと述べた。

 例えば、日本では飲料水1キログラム当たりの放射性セシウムの暫定基準値は200ベクレル。一方、ベラルーシの基準値は10ベクレルで、20倍の差があるという。

 ベラルーシでは内部被ばくの影響を受けやすい子どもが摂取する食品は37ベクレルと厳しい基準値が定められているが、日本では乳製品を除く食品の暫定基準値は500ベクレルで、子どもに対する特別措置がないことも問題視。「37ベクレルでも子どもに与えるには高すぎる。ゼロに近づけるべきだ」と指摘した。(共同)
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福島のコメ農家のどうしようもない思い

関西TV「スーパーニュースアンカー」アンカーズアイより。福島県のコメ農家が収穫の時期を迎えて苦悩している。いわき市にある2つの地域のコメ農家を取材。大久町小久では原発からの距離が30キロのため、避難に対して補償があり、水田の8割で作付けしなかった。一方山を隔てて30キロ圏外となる四倉町では避難に対して補償がなく、多くの農家がコメを作付けした。

 
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2011年10月12日(水)

原子力安全・保安院の不作為を国会議員が咎めるべきだ

原発と地震 複合災害調査公表せず 

2011年10月12日 07時03分 東京新聞
 原発事故と地震などの自然災害が同時に起きる「複合災害」をめぐり、経済産業省原子力安全・保安院がコンサルタント会社に委託した調査報告書を二〇〇九年二月に受け取りながら、二年半以上公表していなかったことが分かった。本紙の指摘で十一日、ホームページ(HP)に掲載した。報告では、福島第一原発の事故同様に交通網の損壊や計測機器の故障で混乱が起きると予測し、対応の必要性に言及していたが、生かされなかった。

 保安院は「報告書を基に作成したほぼ同内容の資料をHPに掲載しており、公表の必要性を感じなかった」と説明している。

 報告書は本文と資料からなり、全部で九十七ページ。保安院が〇八年九月、複合災害に備えた原子力防災マニュアル作成を検討する経産相の諮問機関「総合資源エネルギー調査会」原子力防災小委員会の審議に役立てるため、コンサル会社に二千四十九万五千円で調査委託し、〇九年二月に提出された。

 同社は、〇七年の新潟県中越沖地震で火災が発生した東京電力柏崎刈羽原発を調査。浜岡原発を抱える静岡県や、東海第二原発のある茨城県、米原子力規制委員会(NRC)の関係者らから聞き取りをしたり、文献を調べたりもした。

 その結果、中越沖地震では柏崎刈羽原発の緊急時対策室のドアがゆがんで中に入れず、地元消防との連絡電話が使えなかったため通報が遅れたことや、停電により通信回線が使えず、情報収集が難しくなるなどの問題があったと指摘した。

 さらに、住民に避難指示を伝えたり、被ばく患者を搬送したりする手段が失われることもあると予測。こうした問題点を踏まえ、報告書では複合災害に備えた地方自治体向けマニュアルを作るための留意事項を示した。

 保安院は、この報告書を基に「原子力防災マニュアル等の作成上の留意事項」の素案を作成。〇九年四月、原子力防災小委に提出した。この素案はHPで公表されたが、報告書にあった地方自治体や海外の調査結果などは省かれ、大幅に簡略化されていた。

 小委は、素案を基に原発の立地自治体に複合災害への対策を求めようとしたが自治体側の反発が強く、結局、断念に追い込まれた。
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原発紛争交渉が始まった。

☆「和解交渉」?? 何も悪いことをしていない「くにたみ」からすれば「和解」ではなく「完全弁償」だ。NHKのニュース部門がさりげなく定着させようとする『用語』『文字』には、官僚の企みが隠されている。国営放送であるNHKは、昭和16年の対米戦争開始から敗戦まで『大本営発表』をそのまま全国民に伝える国家機関だった。現在はNHK内部の部門間で、その国家機関機能の濃淡が大いにあることは事実だ。しかしいざとなると本流のニュース部門が、国営放送たる本質を隠そうとしても、やはり衣の袖から鎧と牙を明確にのぞかせて見せる。

「和解」。何という無慈悲な言葉をここで使うのだろう。まさに東京電力と原子力関係官僚の願望から出た言葉であって、主語は被災県民側にはない。

「和解」1.わ‐かい【和解】
[名](スル)1 争っていたもの、反発しあっていたものが仲直りすること。「対立する二派が―する」2 民事上の紛争で、当事者が互いに譲歩して争いをやめること。契約によるものと、裁判所においてなされるもの ...


原発紛争解決の和解交渉開始
10月12日 4時15分 NHKニュース

 原発事故を巡る賠償の訴えの和解を仲介する国の第三者機関「原子力損害賠償紛争解決センター」で、被災者と東京電力との和解の話し合いが始まりました。

「原子力損害賠償紛争解決センター」は、原発事故の被災者を迅速に救済するために国が設置したもので、賠償の額や範囲について被災者と東京電力との間の和解を中立的な立場から仲介します。11日は、福島県大熊町から東京に避難している佐藤龍三さん(71)が、センターで東京電力との和解の話し合いに臨みました。

 話し合いの中で、佐藤さんが慰謝料として月に30万円以上は必要だと訴えたのに対して、東京電力は月に最大12万円の基準を超える金額は支払えないと回答して、話し合いはまとまらず、次回の来月14日に改めて話し合うことになったということです。

 佐藤さんは、「ついの住みかを失って将来の見通しが全く立たなくなった苦しさを分かって欲しい」と話していました。センターには、これまでに74件の和解の仲介の申請があったということですが、話し合いが行われたのは初めてです。センターは、3回程度の話し合いで和解の成立を目指すとしていますが、対立する双方の主張をどのようにまとめるか、センターの仲介業務の実効性が問われることになります。
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福島県飯舘村の悲劇(前篇)

前文引用・・

 福県飯舘村は、福島第一原子力発電所から北西に40~50キロほどのところにある。阿武隈山地に抱かれた、標高500メートルほどの風光明媚な山村だ。今回はこの飯舘村の被曝の悲劇について書く。

 前回、前々回と書いた福島第一原発から半径20キロの立ち入り禁止区域の記事と対比して読んでほしい。官僚が地図の上に線を引いただけの20(あるいは30)キロの規制ラインと、現実の放射性降下物の飛散がいかにまったく無関係だったか、そして住民を被曝から防ぐ意味でいかに無意味だったか、如実に示しているからだ。

 原発20キロ圏内の陸地は、半円を塗りつぶしたように人が入れなくなった。家に帰れなくなった。会社や職場に行けず、失業状態になった。なのに、円形の立入禁止区域内には線量が外部とほとんど同じくらいの低さでしかない場所がけっこうある(20~30キロラインの中間地帯も物資輸送が止まり生活が破壊されたが、今回は話を分かりやすくするために深入りしない)。

 ところが、政府が当初「安全圏」(30キロラインの外側)として「避難の必要がない」とさえ言った飯舘村は、高濃度の放射能雲が飛来し、高い線量に空気や農地、山林、上水道が汚染された。

 なぜこんなちぐはぐなことになったのか。データベースを見てみると、4月中旬の段階で政府はこう言っている。

 「事故の直後、放射性物質の分布を予想するのに必要な情報が限られている中、しかも迅速に判断をする必要がある状況で、緊急的に同心円として対策区域が定められた」

 「地面の放射性物質の量や、放射線の強さの分布に関する情報が得られた段階では、同心円にこだわらず、適切な対応が取られることになります」(首相官邸災害対策ページ、4月13日)

 善意に解釈してあげよう。「放射性物質が北に飛ぶのか南に飛ぶのか分からない初期段階では、全方位=円内全部警戒しましょう」

 それは間違っていない。だが、この論法は二重三重に間違っている。

 (1)まず「20キロ」という半径は小さすぎて間違っている。

 (2)危険は「原発からの距離」ではなく「風向き」で警告されるべきであることはチェルノブイリ事故そのほか放射線防災の常識である。

 (3)危険を警告し、住民の被爆から救うためには「地面の放射性物質の量が分かった後」では手遅れだ。

 (4)そうした風向きや天気などをを総合して放射能被爆から住民を救うために、政府には「SPEEDI」というシステムがあった。

 (5)汚染区域は風に乗ってランダムに広がるのはあらかじめ分かっている。

 だから、日々、危険区域の予測をアップデートし続けなければならなかったのだ。なのに、4月から基本はそのままである。「国民の生命、財産、健康を守る」という視点からすると、あまりにお粗末なのだ。

 自分たちの住まいに放射性物質が到来していることを知らされなかった6000人の村民と、海岸部から飯舘村に避難していた1300人が被曝してしまった。いま村からはチェルノブイリ周辺に匹敵する土壌汚染や、プルトニウムすら見つかっている。結局、全村民は避難。村は「無人」になってしまった。それでも「立入禁止」ではない。

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2011年10月11日(火)

官房機密費の使途を民主党政権は明らかにすべきだ

官房機密費 せめて使途を明らかに
2011年10月10日 東京新聞 社説


 菅内閣の約十五カ月間に支出された官房機密費は十五億三千万円に上るが、何に使われたかは全く明らかにされていない。本当に必要な金なのか。せめて一定期間後に使途を公開すべきではないか。

 官房機密費(内閣官房報償費)は「国の事務、事業を円滑、効果的に遂行するための経費」で、官房長官の判断で領収書なしで自由に使える金とされる。

 二〇〇二年度以降、毎年約十四億六千万円が計上されている。内閣情報調査室所管分が約二億三千万円、それを除く約十二億三千万円が官房長官所管分だ。自公連立政権当時の月平均支出額は約一億円で、民主党への政権交代後もその使いぶりは変わっていないことになる。

 問題は何に使われたのか全くわからないことだ。

 月平均一億円とは一日当たり三百万円を超える大金だ。これが国民の命と暮らしを守るために効果的に使われているのならまだ納得がいくが、支出先や使途が分からないから判断のしようがない。

 過去には、海外出張する政治家への餞別(せんべつ)、与野党議員に対する背広代やパーティー券購入など国会対策費、評論家への盆暮れの付け届けに充てられていたことが明るみに出ている。

 餞別や国会対策費、付け届けが使途を秘匿してまで支出する必要のある金とは到底思えない。

 民主党は〇九年衆院選マニフェストで「税金の使い途(みち)をすべて明らかにして、国民のチェックを受ける」と公約した。

 野党時代の〇一年には、機密費に支払記録書の作成を義務づけ、機密性の高いものは二十五年、それ以外は十年後に情報公開を義務づける官房機密費流用防止法案を国会に提出したこともある。

 税金の使途を明らかにすることは、民主党の「党是」ではなかったのか。民主党政権の歴代官房長官は「透明化を図る」とは言うものの、頻繁な首相交代や内閣改造で結論を出すに至っていない。

 藤村修官房長官は記者会見で「将来、相当の時間を経て公開されるのはおかしなことではない」と述べた。政権の蜜にどっぷりつかる前に、官房機密費の使途公開について早急に結論を出してほしい。

 いっそのこと官房機密費は全廃して、必要分は費目を明らかにして堂々と予算要求したらどうか。政権中枢でつかみ金が飛び交ううちは、消費税率引き上げへの国民の理解など到底得られまい。
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千葉県内の「トイレのないマンション」は待ったなし状態

放射性焼却灰問題 焦燥募る関係自治体 一時保管量1000トン迫る
2011年10月9日 東京新聞

県内のごみ焼却施設に、六月下旬から高濃度の放射性物質を含む焼却灰がたまり始めて三カ月が過ぎた。五自治体・広域事業組合の計七施設の敷地で、一時保管量は九百八十八トンに上る。うち流山、松戸両市では今も毎日増え続けている。施設を運営する自治体は対策を強いられる一方、国や原発事故を起こした東京電力は効果的な処理方法を提示しておらず、県内関係者の焦燥感は募るばかりだ。 (横山大輔)

 流山市クリーンセンターの保管量は六日時点で四百四十三トン。周辺住民の理解を得て保管用テントを増設する計画を進めているが、実現しても年内には満杯となりそうで、綱渡りの状況が続く。

 焼却灰に含まれる放射性セシウムは九月の検査で、通常の埋め立てができなくなる一キログラム当たり八〇〇〇ベクレルの暫定規制値を初めて下回った。だが「受け入れ先の理解が得られていない」と、保管を続けるほかない状況に変わりない。

柏市では二カ所の清掃工場のうち、南部クリーンセンターの稼働が九月七日から止まっている。当初は定期整備が理由だった。だが、稼働すれば焼却灰の放射性物質は規制値を上回ると予想され、同月末に作業を終えた後も稼働再開に踏み切れない。「焼却灰の保管場所が残り四週間分程度」(担当課)とわずかのため、保管や処理の方向性が見えるまで稼働を見合わせる方針だ。秋山浩保市長は「(再稼働の)めどは立っていない」と話す。

 同市内のごみは現在、北部クリーンセンターで全量処理している。南部より旧型の設備で、焼却灰とそれに含まれる放射性物質をあまり濃縮させないため、基準を下回り埋め立て可能だからだ。ダイオキシン対策などで環境負荷が軽いはずの南部の新型施設が、今はあだになっている。北部の処理能力にも余裕はない。

 環境省は八月三十一日、高濃度のセシウムを含む焼却灰について、放射性物質が溶け出さないよう処置すれば埋め立てが可能との方針を示した。しかし、最終処分先の同意が得られにくいという問題は置き去り。核廃棄物の受け入れ先がない「トイレのないマンション」状態が、焼却灰でも起きている。

 各市の疑問の声を受け、県は九月二十六日に「実現性のある対策を」と国に緊急要望を出したが、返答はないままだ。

 同二十八日には環境省幹部が千葉を含む八都県に一時貯蔵施設をつくる必要性に言及した。ただ、それすら県の担当者は「県内のどこにつくるのか。地元理解もそうだが、何を貯蔵するかもはっきりせず、コメントのしようがない」と実現を不安視する。

 柏、流山、松戸などは各市連名で八月末、東京電力に保管場所の確保を要求したが、一カ月たっての回答は「検討します」。事実上のゼロ回答に、ある市の担当者は「ばかにしているのかと思った」と怒りを隠さない。

 保管が限界に達すれば、ごみ排出に制限を掛けざるを得ない。各市では「市民生活に混乱を招くわけにはいかない。工場を止めず、できる限りやりたい」(松戸市)と保管場所の確保に力を注ぐなどし、当面は制限は考えていないと取材に答えた。

 自治体が苦心する中、国はいつ、どういう方策を提示するのか。柏市の担当者はこう嘆く。「私たちは窮地に追い込まれている。国に危機感は伝わっているのか」


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「放射能を除染する」ことの定義をあえてアイマイにしている政府

放射線被ばくを舐めているこの国の指導者たちを国民は拒否すべきだ

一部引用・・

 まず次の文章を黙って読んでいただきたい。

 「・・・今行なわれている除染とは、庭の表面の土を取り除き、側溝
などの泥をかき出すこと。やっていることは例年の大掃除となんら変わっ
ていません。むしろ、それで安心、安全を手に入れたと錯覚するほうが
危険。本当に必要な除染とは、街の作り変えを伴う汚染構造物の完全撤退という大規模なものになります。でなければ、効果は期待できません」

 これは今日発売の週刊プレーボーイ10月24日号に掲載されていた
神戸大学山内知也教授が、「放射能汚染、ゴミが捨てられない!」という
特集記事の中で述べている言葉である。

 福島各地を調査してきた放射線計測学専門の学者の言葉である。

 山内教授が言っていることは、既に多くの専門家が様々なところで指摘
していることだ。

 それにもかかわらず、このような意見は決して大手メディアで大きく
報道されることはない。

 ましてや政府がこの意見を本気になって政策に反映しようとする気配はない。

 私はここに、日本の危うさを見る。

 責任ある立場の中に、自らの保身をなげうって本物の改革に取り組もうとする者がいないのだ。

 真実を直視し、ごまかす事無くそれに取り組む勇気ある指導者がいない。

 その間に情勢が悪化し、そのツケが最後は国民に跳ね返ってくる。

全文は こちら
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2011年10月10日(月)

東海村 村上村長インタビュー

急接近:村上達也さん JCO臨界事故から12年、教訓は生かされたか
毎日新聞 2011年10月8日 東京朝刊

<KEY PERSON INTERVIEW>

 茨城県東海村の核燃料加工会社「ジェー・シー・オー(JCO)」の臨界事故から9月末で12年がたった。東京電力福島第1原発事故に当時の教訓は生かされたのか。福島原発事故後、「脱原発」を唱えている村上達也・東海村長に聞いた。【聞き手・八田浩輔】

 ◇原発持つ資格欠ける国--茨城県東海村村長・村上達也さん(68)
--福島原発事故での政府の対応をどう評価しますか。

 ◆ 事故拡大を防げなかっただけでなく、住民保護の観点からも対応は後手に回った。計画的避難区域への指定が遅れた福島県飯舘村などの住民は、浴びる必要のない放射線に長時間さらされた。原発で全電源喪失による事故が想定されていなかったことが示すように、原発に対する楽観的で安易な考えが背景にある。JCO事故から何も学んでいない。原発を持つ資格に欠ける国だと思った。

 --JCO事故の教訓は生かされなかったと。

 ◆ 当時も想定外と言われたが、慢心が招いた事故だった。政府を含む「原子力ムラ」は、原子力産業周辺の不届きな会社が法令違反で起こした事故と総括してふたをし、再び安全神話に浸って原発拡大路線を突き進んだ。また、当時は対策本部があちこちにできて情報共有ができなかった。その反省を受け、すべての原発にオフサイトセンター(緊急事態応急対策拠点施設)ができたが、福島では機能しなかった。その結果、現地対策本部は福島原発から(約65キロ)離れた福島市に置かれた。これも対策の遅れにつながった理由と思う。JCO事故で感じたのは(放射線量のように)距離の2乗に反比例して緊迫感は落ちる。風評被害は逆だ。遠方になればなるほど厳しくなる。

 --村長の持論だった経済産業省と原子力安全・保安院の分離が来春にも実現します。

◆ JCO事故後、01年に原子力規制を強化する目的で保安院ができたが、実態はまったく逆方向に進んだ。福島事故後の再稼働を巡る問題などをみる限り、やはり保安院は規制組織ではなかったと思う。分離して環境省に移す形は良いと思うが、中身が見えない。本当に事故を防げなかった真摯(しんし)な反省から分離するのか。あるいは停止した原発を再稼働するために分離するのか。権限も分からない段階でどうこう言えないから期待もしていない。

 --福島原発事故後、脱原発の姿勢を鮮明にされています。

 ◆ 福島原発は3基の原子炉が事故を起こしたという面ではチェルノブイリ原発事故以上の事故だ。世界を震撼(しんかん)させ、ドイツ、イタリアは脱原発に向かうことになった。本来、日本が真っ先に脱原発を真剣に考えるべきではないか。まずは地震列島の日本に原発はふさわしいのか改めて考える必要がある。村にある東海第2原発(日本原子力発電)を例にとれば、30キロ圏内で100万人規模が暮らす。東日本大震災では、東海第2もあと70センチ津波が高ければ全電源喪失に陥る可能性もあった。国の原子炉立地審査指針は「原子炉敷地は、人口密集地帯からある距離だけ離れていること」とあるが、現実と合っていないのは明らかだ。理論と実態が破綻する中、原発に依存して地域社会をつくるのは限界で、そこから脱したまちづくりを考えるべきではないか。

 ◇原子力ムラの総括必要

 --日本で初めて「原子の火」がともった東海村の将来像は。

 ◆ 私は原子力の研究開発からの脱却を訴えているのではない。脱原発を唱えても廃炉や廃棄物の処理や安全対策についての研究は重要で、研究開発拠点としての東海村の存在意義はむしろ高まる。最先端の原子力科学や基礎研究の推進、国際的な原子力人材を育成するために東海村の経験と施設の蓄積を利用する。ただし原発のように膨大な電源交付金や固定資産税が入ってくることに比べれば、研究主体のまちづくりは簡単ではない。大変な課題だが、10年もたたないうちに変わると思う。

 --脱原発を支える研究拠点を目指すということですか。

 ◆ そうとらえてもらって結構だ。原子力イコール発電だけではないし、旧来の原子力エネルギー開発にしがみついていては先に行けない。そうした考えは捨てるべきだ。

 --東海第2原発の再稼働の判断について住民投票を示唆されていますね。

 ◆ 具体的な案はまだないが、住民投票でも住民側による請求もあれば、大規模アンケートという方法もある。いずれにしても住民の皆さんが是非を積極的に判断すべきだ。利害関係が網の目のように張り巡らされた原発所在地で脱原発はすぐに割り切れる話ではない。ちなみに私が脱原発と言ってから直接非難する人には村で一度も会っていない。「よく言った」と言ってくれる人はいるが。

 --原子力ムラは変わると思いますか。

 ◆ 絶対に総括しなければいけない問題だ。一つの利益集団ができると、磁石のごとく人が集まって反対勢力を排除し圧迫する。原子力ムラは50年以上の歴史を持つ牢固(ろうこ)たる社会だ。徹底的に自己批判も含めてやらないと原発の将来はないし、また事故は起きる。そう簡単に変わるとは思えないが、その中で知恵を働かせてバランスをとる仕組みや組織を作る必要がある。鍵を握るのは政治力だ。

==============

 ■ことば

 ◇JCO臨界事故

 99年9月30日、茨城県東海村のJCO東海事業所でウラン溶液の混合作業中、核分裂反応が連続する臨界事故が発生。死亡した作業員2人を含む666人が被ばくした。違法操業が原因として業務上過失致死罪などでJCOと事業所元幹部の有罪が確定している。

==============

 ■人物略歴

 ◇むらかみ・たつや

 茨城県東海村出身。一橋大社会学部卒。常陽銀行支店長などを経て、97年9月から現職(4期目)。1期目でJCO臨界事故を経験し、福島原発事故以前から原発に依存した地域振興策の限界を訴えてきた。

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震災・原発事故、検証はできたか-

マスコミ倫理懇:震災・原発事故、検証はできたか--全国大会報告
毎日新聞 2011年10月8日 東京朝刊

 「震災・原発 検証メディアの責務」をメーンテーマとして、マスコミ倫理懇談会全国協議会が先月29日から2日間、名古屋市で開かれた。未曽有の被害をもたらした東日本大震災で、メディアはどんな役割を果たしたのか。全国から集まった新聞・テレビ・出版各界の参加者は反省点から今後の取り組みまでを熱心に討議した。報道関連5分科会のうちの3分科会の議論について報告したい。

 ■取材の壁・報道の揺れ

 ◇「切り込み不足」反省を

 「福島原発事故 取材の壁・報道の揺れ」の分科会では、今回の原発事故で迅速で的確な報道ができたかなどについてを討論した。まず、外部の専門家としてサイエンスライターの田中三彦氏が講演。そのあと、読売新聞東京本社の柴田文隆・科学部長が、訂正と取り消しを繰り返す東電の発表に戸惑いつつ、甚大事故を伝え続けた半年について報告した。また、被災地の地元紙・福島民報の佐久間順・社会部長は、取材拠点となるべき浪江・富岡の両支局が20キロ圏内にあって情報が途絶する中でする取材の苦悩を語った。

 原発事故に関する報道を巡っては、政府や東京電力の情報をそのまま流しているようにみえる「大本営発表」批判や、国民が知りたい情報を隠しているのではないか、という指摘がある。この分科会でもその点が取り上げられた。

 福島第1原発4号機原子炉圧力容器の設計にかかわった田中氏は講演で、「全交流電源喪失というのは極めて異常な事態。短時間のうちに最悪の事態になる恐れがあった」と話した。にもかかわらず「今回のような抑制的な報道が良かったかどうか、検証すべきだ」とまず指摘した。また、具体例を挙げながら専門知識の不足からくる「間違った報道」も少なくなかった、とした。

 田中氏が最もこだわったのはメディアの「切り込み不足」の問題。特に、政府が国際原子力機関(IAEA)に提出するため、6月にまとめた調査報告書に書かれた記述についてだ。「現在までのところ地震による大きな損壊は確認されていない」とある。暫定的な報告としているが、地震によって壊れたのは外部電源だけで、原子炉中枢部の被害はなかった、と読める。そこに政府の意図はないのかと、田中氏は暗に問い掛けた。「地震による原子炉機能の喪失とか破壊は否定できない以上、その方向を考えた報告書が出なければならないのに、マスコミの関心は薄く、追及がなくなっているのが心配」。そして「津波原因説だけで終わらせてはいけない。本気になって考える必要がある」と訴えた。

 参加者からは「事実を検証したり、問題発掘の連載は書いてきたつもりだが、特に初期は不十分、不正確な情報提供になってしまった」というメディア側の反省や、「自分の頭で考える姿勢がなかった」などという声も聞かれた。

 分科会では第2部として、朝日新聞東京本社の尾関章編集委員が、同紙の原子力に関する社説の変遷を説明。「専門家の話をかみ砕いて伝えるのではなく、論じ合うための科学報道が求められている」などと訴えた。【滝野隆浩】

 ■災害をいかに伝えるか

 ◇「低線量」の伝え方苦慮

 「原発災害をいかに伝えるか」分科会では取材態勢を含め、今後取り組むべき課題について論じ合った。

 冒頭、桜井勝延・福島県南相馬市長と菅野典雄・飯舘村長へのインタビューが録画で流された。桜井市長は、原発事故直後の一時期、報道各社が市内から撤退したことを批判。「現場から事実を伝えることがメディアの役割ではないか」と述べた。また、菅野村長は放射線量などのデータについて「ただ流すだけでは住民の不安をあおる」と苦言を呈し、きちんと意味づけられた情報の提供を求めた。

 続いて被災地の地元紙・福島民友の瀬戸栄治・編集局統括部長が報告。南相馬市の記者に精密な線量計を持たせていなかったため、安全が保証できないとして一時撤退させたことを明かし、「地震の時は原発は止まるという固定観念があった」「線量の高い『ホットスポット』のことなどを素早く伝えられなかった」などの反省点を挙げた。同じ福島県からはテレビユー福島の藤間寿朗・報道部長、ラジオ福島の大和田新・編成局長も参加。政府が発表する数値の評価が難しく、専門家に頼らざるを得ない現状を説明した。

 特に議論になったのは、低線量被ばくの影響をどう報じるかという点だった。時間がたつにつれ、危険を低く見積もる専門家への反発が強まり、読者・視聴者の見方は割れつつある。長崎からの参加者からは「戦後被爆地でも、残留放射能の危険性について同様の状況があった」という報告もあった。「根拠を示さずに、ただ『国は安全と言っている』と報じることで不信を招いている」「専門家間でも議論に幅があることを伝え続けるしかない」「不安を感じている人々の声を丁寧に伝える必要がある」--などの意見も出た。

 一方、放射線量の高い地域の取材については、組織と個人の葛藤にどう折り合いをつけるのかが課題として挙がった。「自分が記者だったら行く。しかし、管理職としてはそう簡単に『行け』とは言えなかった」との苦悩も。また、「行政の指定した範囲を一律立ち入り禁止にするのではなく、高性能の線量計を持って専門家と一緒に行くなど、柔軟なやり方を考えるべきではないか」との意見も出た。

 座長を務めたNHKの本保晃・報道局科学文化部長は、政府の緊急事態応急対策拠点施設(オフサイトセンター)の取材拠点としての重要性を改めて指摘。放射線や避難の情報を国や電力会社、周辺自治体とメディアがリアルタイムで共有する仕組みの構築を求めていくことで合意した。【日下部聡】

 ■被災者から見た報道

 ◇「継続性」と「きめ細かさ」を

 「被災者から見た報道」分科会には、岩手県内の被災者や支援活動を続ける団体のメンバーらと報道に携わる4人ずつが報告。メディア側からの報告では、岩手日報の太田代剛・報道部次長が、震災発生当初の態勢を中心に説明した。同社は3月14日付朝刊から22日間にわたり避難所に身を寄せている住民の名簿を紙面化。最終的に約5万人の避難者名を掲載した。太田代次長は「当初最大のニーズは生死の情報」だったと説明した。名簿の紙面は避難所では何度も続けて回し読みされるなど、多くの反響があったという。

 こうした報道について、陸前高田市の市立第一中学に開設された避難所自治会の高橋勇樹・元事務局長は「避難者の名簿の掲載はわれわれとしてもうれしかった。生きていくための情報と生きているという情報は、被災者にとってすごく重要なこと」と評価した。また、義援金や支援物資の支給場所などの詳細な情報も被災者にとって力になったと振り返った。

 一方、被災者側からは報道への苦言も。避難所に身を寄せている住民の不満の声ばかりが強調されたり、一部の発言だけがクローズアップされ周囲から誤解を受けた具体的事例などが紹介された。また、支援者の一人は「被災者によっては取材を受ける際、報道関係者の期待に沿うように一生懸命笑顔を作る人もいる」と指摘。「被災者の“心のひだ”まで伝えるのは難しい」と吐露した。

 半年が過ぎて、マスコミには今後、どのような報道が求められるのか。まず住民の意思を尊重した復興を強調すべきだとの意見が出された。また、全国紙には、震災が被災地以外で風化しないよう現状を報じ続ける「継続性」が、一方、地方紙には住民のニーズに沿った「きめ細かさ」が求められるという。メディアの特性に応じた報道姿勢を望む声もあった。【大平祥也】

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「福島の惨事:未だ何も終わってはいない」英ガーディアン紙記事

英ガーディアン9.9付記事全訳

一部引用・・

私が福島に入った初日の朝、マグニチュード6の地震で起こされた。3月から頻発して東日本を震わせているいる大きな余震の一つだった。しかし、それは一番気になることではない。日本の人達は物理的な不安定さに慣れている。ここは、結局のところ、世界中で最も地震の多い国なのだ。何世紀にもわたり日本の文化には「無常」、つまり非永続性の精神が根づいている。これは日本民族の独自性であり、これまでは彼らが困難に対峙した際の回復力ともなっていた。

しかし今回の震災は違う。長い間、安全、清潔、そして生(なま)の料理が有名だった国の何百万人もの人が、小規模かもしれないが持続する健康のリスクの増加、そして自分の家、庭、街路、学校の長期的な汚染を受け入れるよう要請されている。そして、食料は調理済みのパックされたもの、それも福島から遠ければ遠いほど安全とみなされている。

他の国々では、人々は放射線源からの距離をもっと遠くしたいと思うかもしれないが、それは人口密度が高く雇用が固定している島国では困難だ。それにもかかわらず何千人もの人達が移住したが、しかし震災地の殆どの人々は留まり適応しなければならない。それも科学者や政治家から明確なガイダンスがあれば少しは容易になるだろうが、しかし、この点においても現代の日本は特に脆弱なようだ。最近、日本の首相は5年間で7回変わった。学者達とマスメディアは原子力産業界の強力な影響力によって腐敗している。その結果、体制に順応することで有名な国民が、突然、何に順応すればよいのか確信が持てなくなった。

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