2015年11月20日(金)
2015年11月20日 07時14分 【マニラ=関口克己】安倍晋三首相は十九日夜(日本時間同)、オバマ米大統領とマニラ市内のホテルで会談し、米軍普天間(ふてんま)飛行場(沖縄県宜野湾(ぎのわん)市)の移設に伴い、名護市辺野古(へのこ)に新基地を建設する方針を確認した。 首相は、沖縄県の反対にもかかわらず、新基地建設を「確固たる決意で進める」と伝えた。 中国が人工島の造成を進める南シナ海への自衛隊派遣を検討する考えも表明した。 首相は会談で、普天間飛行場の移設問題に関し、辺野古への新基地建設が「唯一の解決策だ」と日米合意を堅持する考えを強調。政府が沖縄県との法廷闘争に入ることに関しては、翁長雄志(おながたけし)知事による埋め立て承認取り消しへの対抗措置だと説明し、建設を推進する考えを伝達。 沖縄の声よりも日米合意を優先させる姿勢をさらに鮮明にした。オバマ氏は謝意を示した。 両首脳は、中国による南シナ海での人工島の造成に反対することで一致。オバマ氏は「国際的な規範、海洋の課題、航行の自由に関して取り組みを進めていく」と述べた。 首相は、米国が人工島十二カイリ内に艦船を派遣する「航行の自由」作戦への支持を表明。 警戒監視活動を念頭に「南シナ海での自衛隊活動は情勢が日本の安全保障に与える影響を注視しつつ検討する」と述べた。 首相は、他国を武力で守る集団的自衛権行使を容認する安全保障関連法が九月に成立したことを受け「国際社会の平和と安定に一層貢献していくための、新たな協力の序章にしたい」と述べた。オバマ氏は「これにより地域だけでなく世界に連携を広げていく協議ができる」と応じた。 オバマ氏はまた、先の日中韓首脳会談について「地域における理解を深める行動に心から感謝する。日中韓の会合は極めて重要だ」と評価した。 首相はパリの同時多発テロについて「激しい憤りを感じている」と述べ、テロ防止に米国、国際社会と協力する考えを示した。環太平洋連携協定(TPP)の早期発効に向けて両国が連携することも確認した。 |
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11月20日 5時17分 フィリピンで行われた日米首脳会談で、安倍総理大臣が日本の安全保障に与える影響を注視しつつ、南シナ海での自衛隊の活動を検討する考えを示したことについて、ホワイトハウスの当局者はNHKのインタビューに応じ、航行の自由を守るための日本の役割に期待を示しました。 日米首脳会談は、19日夜、フィリピンで行われ、中国が海洋進出を強めている南シナ海の問題についてオバマ大統領が航行の自由を守るためのアメリカ軍の作戦を日常の行動として実行していく方針を示したのに対し、安倍総理大臣は、日本の安全保障に与える影響を注視しつつ、南シナ海での自衛隊の活動を検討する考えを示しました。 この首脳会談を受けて、オバマ大統領に同行しているホワイトハウス国家安全保障会議のカギンズ副報道官は、NHKのインタビューに応じ、南シナ海の問題で、「日本の具体的な活動についてはコメントを控えるが、日米は非常に強固な関係を持ち航行の自由や国際秩序について考えが一致しているので、われわれは日本が選択するどんなステップも歓迎する」と述べ、日本の役割に期待を表明しました。 そのうえで、アメリカとしてはこのあとマレーシアで開かれる東アジアサミットの多国間協議の場でも、南シナ海で中国が人工島を造成している問題を取り上げ、事態の改善を目指したいとの考えを示しました。 |
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―辺野古代執行訴訟の愚 2015年11月19日 12:27 屋良 朝博(やら ともひろ) フリーランスライター 1962年北谷町生まれ。フリーランスライター。フィリピン大学を卒業後、沖縄タイムス社で基地問題担当、東京支社、論説委員、社会部長などを務め2012年6月退社。「砂上の同盟」で平和・協同ジャーナリスト基金奨励賞。 トゥーラン米太平洋海兵隊司令官(右から2人目)と握手を交わす菅義偉官房長官=2015年10月30日、ホテル・ニッコー・グアム(沖縄タイムス社提供) 名護市辺野古へ米海兵隊普天間飛行場を移設する計画で、埋め立て承認を取り消した翁長雄志知事を相手に政府は福岡高裁那覇支部に代執行訴訟を起こしました。埋め立て事業の合理性はない、と翁長知事は主張していますが、国は「それは国が判断するもので、地方はそれに従うだけだ」と言わんばかりの強権的な論理を展開しています。 国はこう主張しています(いつも同じ議論で新味はありません)。 周辺国の軍事拡張に対応しつつ安全保障を確かにするには米軍が日本国内に駐留し、抑止力を維持することが極めて重要だ。 沖縄は南西諸島のほぼ中央にあり、極東の潜在的紛争地域から「近いまたは近すぎない」位置にあり、シーレーンにも近く、日本の安保上の戦略的見地から地理的優位性を有している。その沖縄に即応力、機動性に富む海兵隊がひとかたまりで駐留することが日本の防衛だけでなく、アジア太平洋全体の平和と安定に不可欠である。 こうした検討を行えるのは国以外にはない。従って、沖縄県が普天間飛行場の県外、国外移転を主張することは論外である。地方自治体が事業合理性を判断する能力はないため、知事は政府が指定した辺野古における埋め立ての可否を判断すればいい。これらの条件下で普天間の危険性を除去するために辺野古移転が唯一の解決策であり、その実現が最大の公益である。 ここからは筆者の反論です。 抑止力の維持、地理的優位性はいずれも根拠が乏しいのです。そもそもここで議論される抑止力は「米海兵隊」を指しています。他国軍の抑止力を日本が勝手に維持するとか、強化すると主張する自体、議論が倒錯しています。 抑止力は(1)意思(2)能力(3)抑止する相手の合理的判断―の3要件で規定されます。 領土侵害などには毅然と立ち向かい、相手に対して徹底的な報復を与えるという意思を絶えず表明していなければ、権益は守れません。報復を与える能力がなければ、相手になめられてしまうので抑止は効きません。 さらにその意思と能力を相手が十分に理解し、合理的な判断をしてくれなければ抑止はまったく意味をなしません(分別のない幼子が泣くのを止めるのに威嚇しては逆効果です)。 例えば尖閣諸島を中国から守るため、地理的に近い沖縄に海兵隊を駐留させることが不可欠だ、という議論があります。 米国が尖閣を死ぬ気で守るという意思を絶えず表明し、実行できる能力を持ち、中国もそのメッセージと米軍の実力をちゃんと理解して合理的は判断をしてくれたときに初めて抑止は効いている、と言えるわけです。 米国は果たして小さな無人島を守ることを自国の利益と考え、若い兵士らの命をかけてでも軍事的な行動を起こしてくれるのでしょうか。もし読者がアメリカ国民だとしたらそのような戦闘を支持しますか。 続きを読む。 |
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2015年11月19日 11:47 辺野古の新基地建設反対を訴える市民ら=19日午前8時ごろ、浦添市の在沖米国総領事館 米軍普天間飛行場の代替となる名護市辺野古の新基地建設反対を訴える市民集会「NO BASE HENOKO総行動」(止めよう辺野古新基地建設実行委員会主催)が19日午前8時から、浦添市の在沖米総領事館前であった。 約500人(主催者発表)が参加し、英語で「辺野古に基地はいらない」「海兵隊は出て行け」とシュプレヒコールを上げた。 集会には建設に反対する県選出国会議員や県議らをはじめ、社民党の吉田忠智党首も参加した。 吉田党首は、ジョエル・エレンライク総領事が新基地建設に反対する沖縄の民意について「小さな問題だ」と発言したことに触れ「とんでもないことだ。その発言だけで、沖縄で仕事をする資格はない」と述べ、強く抗議した。 |
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いわき市漁協の試験操業が出荷一時停止。 2015-11-18 02:58:38 | 福島第一原発と放射能 そもそも原発から汚染水が出続けている近接海域で、魚を取るのかどうかということは、僕には有り得ない話と思います。 それをどうしても行いたい人達がいて、福島近海で、試験的に操業をしようとするケースは多いです。 いわき市漁協による、南相馬市小高沖で取ったマダコから52Bq/kgの数値が検出されました。 福島県漁連の自主出荷制限値は50Bq/kgにしているそうですから、それも平気でオーバーしている状態。 そうするとあたりまえですが、出荷制限になります。 ここの問題点は、浸透圧なども含めて体内にセシウムを蓄積しにくいはずのタコですら、このくらいのセシウムを蓄積させていることをどう考えるのかです。 タコやイカなどが最も多く含有しやすい、放射性銀の蓄積はセシウムよりも多い可能性が高いと思います。 一番安全度が高そうに見えるタイプの魚介類でも、近隣海域では捕獲し販売するのは、一般人に被曝影響を拡大させる行為に他なりません。 引用元。 |
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原発再稼働で指摘される別の問題 by ジャーナリスト・桐島瞬 (更新 2015/11/16 13:23) 政府が着々と進める原子力発電所の再稼働。事故への不安から反対運動が続く。しかし国際的には、別の角度から懸念の声が上がっているのだ。(ジャーナリスト・桐島瞬) 「(原発からできる)プルトニウムの核拡散リスクを過小評価しているのが、いまの日本。このままいけば、日本が掲げる非核政策にも国際社会から疑念が高まりかねない」 こう話すのは、長崎大学核兵器廃絶研究センター長の鈴木達治郎氏。昨年3月までの4年間、内閣府原子力委員会の委員長代理を務めるなど、最近まで「原子力ムラ」の中心にいた。その鈴木氏ですら、日本の原発で生み出され続けるプルトニウムが、これからの原子力政策を左右しかねないと心配する。 核兵器廃絶を目指す世界の科学者らが集まり、11月5日まで長崎で開かれた「パグウォッシュ会議」でも、日本のプルトニウム問題は議題になった。参加者らは青森県六ケ所村にある再処理工場の稼働を無期限延期するよう安倍晋三首相宛てに要望書を送った。六ケ所村の再処理工場が動き出せば、さらにプルトニウムが増えるからだ。 ●核燃料サイクル固執する政府 日本が保有するプルトニウムは約47トン。軍事用も含めた全世界のプルトニウム約500トンの10%近くを占め、核兵器保有国以外では圧倒的に多い。うち約10トンは国内の原発などに保管され、残り37トンは再処理を頼んだイギリスとフランスにある。 では、なぜそんなに日本にはプルトニウムがたくさんあり、その何が問題にされるのか。 原子力発電所で使用済みになった核燃料には、重量で約1%のプルトニウムが含まれている。プルトニウムを分離し、再び原発で使えるように加工する作業を「再処理」と呼ぶ。 再処理されて生まれた分離プルトニウムを含む核燃料は、高速増殖炉やMОX炉と呼ばれる原子炉で使われる。なかでも高速増殖炉は、燃料に多く含まれる燃えないウランをプルトニウムに効率よく転換させる能力があり、使った分以上のプルトニウムを生み出すことから、何度でもリサイクルが可能。それが「核燃料サイクル」だが、実用化した国はいまだない。 高速増殖炉では、熱をよく伝えるナトリウムを冷却剤に使う必要があるが、ナトリウムは水と反応すると爆発するため技術的なハードルが高い。1995年に「もんじゅ」で起きた火災事故もナトリウム漏れが原因だった。 続きを読む。 |
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11月19日(木)20時1分配信 【パリ、ブリュッセル時事】フランス議会は19日、パリ同時テロ後に出された「非常事態宣言」を3カ月間延長する法案の審議に入った。 バルス首相は「あらゆるリスクに備えるべきだ。生物、化学兵器を使ったテロが起きる可能性もある」と述べ、治安維持に関する政府の権限を強化すべきだと訴えた。法案は同日中に下院を通過、上院の採決を経て、20日にも成立する見通し。 オランド大統領はテロ翌日の14日から全土を対象に非常事態宣言を発令した。住民の移動制限や家宅捜索などに関する政府の権限は大幅に強化された。現行法では最長12日間で、延長には議会の承認が必要となる。 生物兵器対策をめぐり、政府は軍が保有する解毒剤などを救急隊や国公立病院に配備する方向で準備に着手。このほか、非番の警官に一定の条件下で武器の携行を認め、休暇中にテロに遭遇した際に対処できるようにする制度改正を19日中にも行う。 バルス首相は議会演説で、過激化した若者を更生させる教育施設の設置や、航空機の乗客リストを欧州内で共同管理してテロリストの移動を監視する仕組みの導入を検討していると説明した。 一方、欧州メディアによると、ベルギー検察当局は19日、ブリュッセル西部モレンベークなど6カ所で家宅捜索を実施した。捜査関係者は捜索の対象について、パリの競技場で自爆したビラル・アドフィ容疑者(20)の親族や友人といった「極めて近い人物」だと説明している。 |
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自爆覚悟のテロは、防ぐのが難しい 清谷 信一 :軍事ジャーナリスト 2015年11月18日 フランス警察は原発周辺の警備も強化する必要がある(写真:REUTERS/Charles Platiau) 11月13日夜、パリ市内及び郊外で大規模な多発テロが起こり、フランス政府は非常の高いレベルの警戒を行っている。筆者はパリに友人知人が多く、また11月17日から20日までは隔年で行われる隔年で行われる軍や法執行機関向けの軍事・セキュリティの見本市、「ミリポール」が開催され、これに参加する予定だった。 これまで筆者は「ミリポール」にほぼ毎回参加してきたが、その場合は前週からパリに入り、11区の常宿に滞在するのが常だった。今回はテロとは別の諸処の事情で取材をキャンセルしたが、今回のテロは筆者にとっても他人事ではない。 もっとも警戒するべきは原発テロ フランス政府が今後最も警戒すべきは原発に対するテロだ。原発に対するテロを受ければフランスは政治的、経済的、環境的にも極めて大きな打撃を受ける。 週刊漫画ゴラクに連載中の悪徳警官が主人公のマンガ、「クロコーチ」では我が国でカルト宗教団体が原発テロを計画するというお話があったが、フランス国内では銃器だけではなく、RPG(携行型ロケット)や、重火器などの調達も比較的に可能であろう。 またそれらの扱いに習熟しているフランスおよびその他の軍隊経験者のリクルートも容易だ。 例えば、まず射程が数キロある60~81ミリ迫撃砲をトラックに積んで移動し、陣地変換をしながらアウトレンジで射撃する。警備部隊はパニックに陥るだろう。対迫撃砲レーダー程度は装備している可能性はあるが、装備しても対抗手段がない。 その間にRPGやアサルトライフル、グレネードランチャー、あるいはSUVなどに機銃を搭載したテクニカルなどで武装突入部隊が自爆覚悟で突入すれば良い。指揮官は市販のドローンを使って指揮通信を行えばより効率的な指揮が可能である。 またドローンを使って塩素ガスなど化学物質を散布すれば防御側にダメージを与えて、攻撃部隊を支援することもできる。それに突撃部隊は自爆覚悟であるので生還のための緻密な作戦も必要ない。 1カ所の襲撃に必要な人数は少ない 2~3カ所の発電所を同時に襲うにしても各原発の襲撃隊は後方支援を含めても1個小隊、即ち30人程度あればなんとかなるだろう。2個部隊で約60名、3カ所でも100名程度で可能である。 よく知られているように、フランスは発電における原発依存率は約8割と非常に高い。これを攻撃されたら大きな被害をうけるフランスは農産物の輸出国である。ことにワインやチーズ、フォアグラなどの農産物加工品も高いブランド力を持っており、利益率も高い。 放射能によって土壌が汚染されれば、これらの輸出は止まるだろう。仮に汚染のレベルが問題ないほどの低レベルでも風評被害を受けて、輸出はままならなくなる。これは農業国フランスにとって死活問題だ。更に漁業も同様の損害を被るだろう。東日本大震災の例を見ればそれは明白だ。 それだけではない同様の問題はルイ・ヴィトンやエルメスなどの高級ブランドの革製品などにまで及ぶ可能性があり、フランスの輸出は大きく落ち込むだろう。 当然ながら放射性物質が撒き散らされればフランスだけではなく、ドイツ、イタリア、英国、スペイン、オランダなどEU主要国を含む欧州中心部が放射能に汚染される。欧州が受ける経済的、社会的な打撃はチェルノブイリや東日本大震災の福島の事故よりも遥かに深刻なダメージを受けるだろう。 原子炉に対する攻撃は成功しなくとも効果はある。原子力発電所が襲撃され、一定の被害を与えるだけでもテロリスト側には大きなメリットがある。 原発がテロの対象になり、破壊されるおそれがあることをフランス国民及び欧州の市民に見せつけるだけで、フランスや欧州の市民に大きな恐怖を与えることができる。 襲撃された原発の被害がTVなどで報道されれば、多くの市民が恐怖を感じるだろう。そうすれば原発反対の世論が形成さる可能性は高い。またテロリスト側がドローンや突入部隊にビデオカメラを装備させて、実況放送を行うなり、動画を散布すれば更に効果は拡大するだろう。 フランス政府が全ての原発を即座停止するとは思えないが、攻撃を受けた原発及び、防御が難しい原発を幾つか止めれば、電力の供給は不安定になる。フランスは原発で発電した電力をドイツに輸出しているが、これを止めて国内需要を優先して賄おうとすれば、ドイツとの外交問題にも発展するだろう。 フランスの原子力政策も揺さ振られる テロを受けて、原発の停止や原発中止の発電を見直すことになればフランスの原子力政策は大きな見直しをせざるをえない。例えば発電を原子力から火力などの通常の発電所に切り替え、既存の原子炉を廃炉にするならば、建設費と燃料代に莫大な費用がかかる。 太陽光発電などのいわゆる「持続可能な発電」を採用するならばコストは更に膨らむ。ただでさえ高いフランスでの工業生産コストは更に高いコストを強要されて国際競争力が減じるだろう。そうなれば、外国企業は撤退も加速し、失業問題は更に深刻になるだろう。むろん、フランスから電力を買っているドイツも影響を受け、電力政策の見直しを迫られるだろう。 いずれにしてもフランスのみならず、EU諸国は深刻な打撃を受ける可能性がある。恐らくフランス政府も原発に対する警戒を強めてはいるだろうが、長期にわたって相応のサイズの警察、内務省に属する国家憲兵隊、軍隊の部隊を張り付けておくわけにはいかないし、張り付けておけば相応のコストもかかる。これを永続的に行うのは難しい。 現状フランス政府がどれほどの防御を原発にほどこしているかは明らかではないが原発に、攻撃に対する抗堪性を上げるための工事やドイツのラインメタル社が提案している、防御システムなどの導入な必要だろうが、これまた原発のコスト増大に繋がる。 また防御力を上げて、原子炉を守り切っても、先述のように攻撃を受けたという事実だけで世論が動く可能性は否定出来ない。 フランス政府にとって原発防御は極めて頭の痛い問題だろう。 引用元。 ☆著者は注意深く対象をフランスだけに限定して論を進めているが、本意は自ずとはっきりしている。 |
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2015年11月20日金曜日 普段は笑顔が武器の知事が怒った。「子どもの言い訳じゃない」。宮城県内への指定廃棄物最終処分場建設をめぐり、現地調査の年内着手断念を伝えに宮城県庁を訪れた井上信治環境副大臣に、抗議した村井嘉浩知事は珍しく声を荒らげた。候補地3市町の首長や住民からは怒りや失望、候補地の返上を強く求める声が上がった。 「政治がリーダーシップを発揮しないから、こうなった。大臣が住民に頭を下げて初めて熱意が伝わるのに、望月義夫前環境相からは何の連絡もなく、今の丸川珠代環境相は福島に来たのに宮城には来ない」 村井知事は新旧大臣を名指しして環境省の姿勢を痛烈に批判した。井上氏は、うなだれるしかなった。 昨年8月の市町村長会議で村井知事が調査受け入れを表明して1年3カ月。環境省は昨年の今頃も、加美町の反対で調査に着手できず越年させた。 「雪解け後すぐにも着手したい」(望月氏)としながら、実際に動いたのは8月末になってから。10月には同町田代岳への調査入りを連日試みたが、タイムリミットまで間がないのは誰の目にも明白だった。 村井知事は、沖縄県の米軍普天間基地の移設問題をめぐる国の姿勢を引き合いに出し「沖縄で政府は頑張っている。政府が責任を持って住民の理解を得る努力をしなければ、こうした問題は解決しない」と井上氏に迫った。 会談後、報道各社の「沖縄のように強制的にでもやれという意味か」との問いには「沖縄は全県民が反対でもやっているのに、宮城は住民が反対するからやらないでは、政府として矛盾しているということを突いた」といら立ちを見せた。 2年連続の越年に、調査の受け入れは認めてきた2候補地の首長も憤りをあらわにした。佐藤勇栗原市長は「環境省は指定廃棄物を抱える自治体の苦悩を分かっていない。 市町村長会議で候補地を返上する」と表明し、息巻いた。浅野元・大和町長は「市町村長会議開催を働き掛ける」とのコメントを出した。 これに対し、調査受け入れ反対を貫く猪股洋文加美町長は「環境省は候補地を白紙撤回し、実現可能な解決策を探るべきだ。現在の分散保管が現実的だ」と従来の考えを強調した。 田代岳の現場近くで環境省の調査入りを阻止してきた住民団体代表の高橋福継さん(73)は「他の場所を選ぶか、他の解決策を考えるか。時間をかけて話し合ってほしい」と要望した。 |
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山田 久 [日本総合研究所・調査部長・チーフエコノミスト] 2015年11月19日 基本的には雇用・賃金環境は改善に向かっており、悪い面ばかりではないが… 今年7~9月期の実質経済成長率は、前期比年率▲0.8%(前期比▲0.2%)と2四半期連続のマイナスとなった。 需要項目別に見れば、設備投資、在庫投資、公共投資の落ち込みが、マイナス成長になった原因である。 2015年度入り後の日本経済は、そもそも最終需要の回復が鈍く、余剰在庫がなかなか掃けない状況が続いてきた。そうしたもとで、昨年秋に策定された緊急経済対策の効果が一巡し、公共投資が前期比で落ち込んだ(前期比年率▲1.3%)。 加えて、先行き不透明感の高まりから、設備投資先送りの動きも広がった(前期比年率▲5.0%)。この背景には、中国経済の失速観測が大きく強まるなか、米国の利上げの影響への懸念も加わって、内外株式市場が大幅な調整を余儀なくされたことがあった。 もっとも、マイナス面ばかりではない。在庫投資が大幅な下押しファクターとなっているが(前期比寄与度▲0.5%)、これはそれだけ在庫調整が進展したことを意味しており、むしろ先行きの景気にとってはプラスファクターである。 また、日本国内における消費活動は堅調である。基本的には雇用・賃金環境が改善に向かっていることが背景にあるが、7~9月期には猛暑効果やシルバーウィーク効果も押し上げに作用した。 加えて、大きいのは「爆買い」に象徴される訪日外国人の日本国内での積極的な消費行動である。財輸出については低迷が続いているが、サービスの対外取引も含むGDP統計ベースでの輸出等が前期比年率+10.9%と高い伸びを示したのは、年換算で2.8兆円超に拡大したインバウンド消費の寄与がある。 このように、夏場から秋口にかけての日本経済は、生産サイドからみれば弱い動きになったものの、最終需要は弱くはない。加えて、企業業績が改善傾向を続け、賃金も緩やかながらも増加の方向にある。 つまり、経済の自律回復メカニズムは弱いながらも作動を続けており、2四半期連続のマイナス成長とはなったものの、景気回復基調は維持されていると判断される。 もっとも、この先、自律回復メカニズムが強まっていくかどうかは予断を許さない。「所得面」と「支出面」のギャップが懸念材料である。 続きを読む。 |
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一部引用・・ ドル準備通貨体制は、これまで米国がほぼ無制限に借金を積み増すことのできる環境を提供してきた。どの国にも必要な外貨準備=ドルの貯えは、その多くが利付きの米国債で保有される。また多くのグローバル企業もドル準備を行うため、世界全体の米債需要は膨大である。米国政府にとっては、国内の予算上限法さえ改定すれば事実上、青天井の予算執行が可能となる。 当然、この上限知らずの予算には世界最大の国防費も含まれる。「国防」と呼ぶものの、実態は世界攻略軍費と呼んだ方がより正確だろうか。これは米国はもとより、そこに続く国家、企業に多大な恩恵をもたらしている。 米国率いるこの一大勢力は、強大な軍力と強いドルを利用し世界各地で利権を獲得している。多くの場合、それらは権威と結びつき、現地市場における秩序を形成している。いわゆる「ワシントンコンセンサス」の下の秩序である。 これとは異なる秩序形成を狙うのが「ベイジンコンセンサス」、つまり北京式である。これは現代中国につながる過去の「統治手法」がもとになっていると言える。 基本的に、彼らは経済的リターンに固執せず、内政への干渉も行わない。代わりに、同国を大国と認め、それを疑問視しないという関係構築、秩序形成を狙っている。 支援という名の支配力 ワシントンコンセンサスの下で展開される途上国開発は、前段の部分で様々な政治的条件を課し、完成後も、「アフターケア」とは言うものの事実上の利権を残すことで、やがてそれは現地市場における秩序を形成していく。 通常、彼らは新自由主義(または市場原理主義)を展開し、これに合致しない現地の伝統を「人権問題」などとして取り上げ、国際社会を味方に自らのプレゼンスに正当性を与えていく。 さらに獲得した利権を通じ、現地における自国民、企業に「権利」が醸成されることから、これを大義に、状況次第では「国益」と称す政治介入を積極的に行う。その延長上には軍事介入すらままならない。 この秩序、利権はやがて固定化し、現地の権威と共に保守層を形成する。この保守層は「入植」するグローバル企業に寄り添い、市場における自らの影響力拡大を目指す。その影響力はいずれ強い政治力へと発展する。 グローバル企業の影響力は非常に大きく、現地の特色を活かした彼らなりの発展を阻害するだけでなく、伝統的なライフスタイル、地域社会を破壊し、その国のアイデンティティさえも奪うことがある。 自国らしさを取り戻し、社会の不均衡と格差是正に取り組む改革派(「真の愛国派」とでも呼ぶべきか)と、先進グローバル企業と共に利権を貪る現地の保守派との間には対立が生成され、その対立が紛争へと発展することも少なくない。結果、その紛争が現地、周辺地域の発展を遅らせ、今もなくならない貧困の種を世界にまき続けている。 全文を読む。 |
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11月19日 17時36分 大手クレジットカード会社の「ジェーシービー」が、去年、社員に違法な長時間の残業をさせていたとして、19日、労働基準法違反の疑いで書類送検されました。 書類送検されたのは、東京・港区に本社のある大手クレジットカード会社の「ジェーシービー」と、取締役ら合わせて4人です。 東京労働局によりますと、ジェーシービーは本社の社員7人に対して、去年2月からの2か月の間、労使協定で取り決められた月80時間の残業時間を超える、1か月当たりおよそ90時間から146時間の違法な残業をさせていたとして、労働基準法違反の疑いが持たれています。 東京労働局はこれまでも会社に対して是正勧告を行っていましたが、改善が進まないため、19日、会社と担当役員らを東京地方検察庁に書類送検したということです。 ジェーシービーは、労働局の是正勧告を受けて、去年7月以降は残業時間の削減を進めているとしたうえで、「送検された内容は確認していないが、事実であれば、真摯(しんし)に受け止めて誠意を持って対応していきたい」としています。 |
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2015年11月19日(木)
2015/11/19 08:01 【パリ共同】ダボス会議で知られるスイスの「世界経済フォーラム(WEF)」が19日公表の2015年版「男女格差報告」によると、日本は調査対象となった145カ国中101位だった。 前年より順位を三つ上げたものの、依然として先進国の中で最低水準であることに変わりはない。 報告書では、日本は女性閣僚が増えたことが順位を上げる要因となったと指摘している。 首位は7年連続でアイスランド。2位はノルウェー、3位はフィンランドで、上位に北欧諸国が並んだ。米国は28位、中国は91位、韓国は日本より低い115位だった。 ☆女性の方が聡明でよく働き、まともな人間が比較的多いことを実はよく知っている日本の男連中。 だからこそ、「オンナはアホやから」と彼女たちが頭を持ち上げようとするたびに、男性集団は無意識に談合して女性を下に押さえつけようとする。 大政奉還から148年目の日本は、江戸時代よりもっと実力もない男性の優位性が高い社会に落ち込んでいる。 |
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投稿日: 2015年11月16日 10月19日に、横浜市の大型マンションのデータ偽装問題に関して、【「姉歯事件」より重大・深刻な「マンションデータ偽装問題」】と題するブログ記事を出した。その後、この問題を発端に、データ改ざん問題は、杭打ち業界全体に拡大し、今や、建築業界全体の構造的な問題にまで発展している。 杭打ち工事のデータ改ざんの当事者である旭化成建材が施工したすべての建築物が調査の対象とされ、全国各地で次々とデータの流用等による改ざんが発見された。しかも、問題の発端となった不正に関わった複数の職員が、「改ざんは先輩に教わった」と証言していることが報じられ、杭打ち工事の最大手の企業「ジャパンパイル」でもデータの流用が行われていたことが公表されるに及んで、今回のデータの改ざん・偽装問題は、個人的な問題でも、個別の企業の問題でもなく、業界全体の問題であることが明白になった。 「偽装」「隠ぺい」「改ざん」「捏造」という言葉に該当する問題に対して、容赦なく厳しい批判・非難が行われるのが、近年の企業不祥事をめぐる世の中の動きであり、その中には、実態と無関係に「形式的な不正」だけで過剰なバッシングが行われる例も多い。しかし、今回の問題は、建築物の基礎を固める杭打ち工事のデータの偽装・改ざんであり、建築物の使用者、住宅建築であれば住民にとって、建物の安全性に対する信頼の根本に関わる問題である。安全性への影響如何にかかわらず、そのデータの取扱いが業界全体で杜撰極まりないものであったことは、社会に衝撃を与える事態だと言えよう。 「ムシ型行為」と「カビ型行為」 私は、違法行為、コンプライアンス問題には、「ムシ型」と「カビ型」があるということを、【法令遵守が日本を滅ぼす】、【思考停止社会 ~「遵守」に蝕まれる日本~】等で指摘してきた。 「ムシ型」というのは、個人の利益のために個人の意思で行われる単発的な行為であるのに対して、「カビ型」というのは、組織内で、長期間にわたって恒常化し、広範囲に蔓延している行為、つまり、時間的・場所的な拡がりを持った行為だ。 「ムシ型」に対しては、当事者を厳罰に処すという「殺虫剤」型の対応が有効であり、二度とそのような行為を行わないよう「法令遵守」を厳命することで、再発防止を図ることになるが、「カビ型」には、そのような対応はあまり効果がない。 「カビ型」に対して必要なことは、恒常化していた問題行為の実態を明らかにし、その原因が「汚れ」なのか「湿気」なのかを究明して除去することだ。業界全体に拡がる「カビ」の場合には、個々の企業だけでは対応は困難であり、所管官庁も含めた業界全体のコラボレーションが必要となる。 このような「ムシ型」「カビ型」の違いを認識せず、従来と同様に「ムシ型」=個人的行為を前提にした対応を行うことは、問題をより深刻化させることになる。 「カビ型違法行為」の恐ろしさ 今回の杭打ち工事のデータの偽装・改ざんについても、当初は、横浜市のマンションの杭打ち工事を担当した旭化成建材の現場代理人の「個人的な問題」のように言われており、会社側の記者会見でも「物言いや振る舞いからルーズな人だと感じた」などと現場代理人個人に問題があるかのような発言をしていた。 局所的・単発的な「ムシ型」違法行為の問題で済まそうとしていたようだ。しかし実は、この問題はムシ型ではなく、典型的な「カビ型違法行為」だったのである。 カビ型違法行為は、監査等の通常のコンプライアンス対応による発見が困難であり、内部告発等によって表面化すると深刻な問題に発展するという「恐ろしさ」がある。 私は、その問題を前掲拙著【思考停止社会 ~「遵守」に蝕まれる日本~】(53頁)で指摘したほか、日経ビジネスオンラインに寄稿した論考【「カビ型違法行為」の恐ろしさ 蔓延・恒常化した違法行為はどう解消したらよいのか】でも書いている。 違法行為・不正行為が長年にわたって恒常化している場合、それに関わった者の中に、不正行為を行いたくないと考えた者がいたとしても、是正措置をとるために何らかの労力・コストが必要となる場合には、それを自ら提案することはとても難しい。 是正措置に労力・コストをかけるためには、その予算措置の理由の説明が必要であり、その説明をするには、過去に恒常的に不正を行っていた事実を表に出さなければならないからだ。それによって、それまで現場で不正を実行してきた関係者達が、重大な責任を問われることになりかねない。 その際、「不正行為をやっていたのは自分や自社だけではない。他人も他社も同様にやっている。」という「カビ型」の弁解は全く通用せず、「法令遵守」に反したことだけで問答無用の非難が行われるのは、過去の多くの不祥事・事件が示すところだ。 「ステンレス鋼管データねつ造問題」 上記著書や論考で言及している「ステンレス鋼管データねつ造問題」の根本的な原因は、JIS規格という「法令規則」が、実態と乖離したまま放置されていたことにある。、鋼管溶接技術の進歩のため、ステンレス鋼管について水圧試験で発見されるようなレベルの傷や不具合は全くと言って良いほどなくなり、水圧試験を実施する意味はほとんどなくなっていたのだ。 しかしが、規格上は、「全量水圧検査が必要」とされていたため、水圧試験データがなければJIS承認をとることができず、そのデータの捏造が長期間にわたって恒常化していたのだ。工場の生産体制・検査体制も、水圧試験をやらないことが前提になっていた。 続きを読む。 |
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(2015年11月19日午前7時10分) 原子力規制委員会は18日の定例会合で、関西電力高浜原発3、4号機(福井県高浜町)について、運転開始から30年を超えて稼働するために必要な保守管理方針を盛り込んだ保安規定の変更を認可した。 原子炉等規制法では、運転30年を超える1年前までに60年運転を目安に健全性を確認する高経年化(老朽化)技術評価を行い、今後10年間に実施する対策をまとめた長期保守管理方針と併せ、国に報告するよう義務付けている。 3号機は1985年1月、4号機は同年6月に運転を開始している。 関電は昨年1月に3号機、同6月に4号機について、追加保全策を実施すれば30年以降も運転を継続できると報告し、保安規定の変更を申請した。 申請後、関電は新規制基準への対応や基準地震動の引き上げを踏まえて追加評価を行い、耐震安全性を確認。耐震設計の目安となる基準地震動への評価が必要な全ての機器について、全7種類の地震動についての安全性評価を行うことを、長期保守管理方針に追加した。 ☆日本の電力会社に原子力(核)発電所を運転する技術的当事者能力がないことがあれだけはっきりわかっても、30年を越える発電所を継続運転させるとは。 原子力(核)発電所が本当に安全ならば、海外に輸出しようとしている最新鋭核発電所を大阪湾に新たに建設すればいい。 |
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(2015年11月18日午後5時30分) 拡大 日本原子力研究開発機構の創立記念式典で田口康副理事長(左)の訓示を聞く職員=10月1日、福井県敦賀市の同機構敦賀事業本部 原子力規制委員会が高速増殖炉もんじゅ(福井県敦賀市)の運営主体を変更するよう、文部科学相への勧告方針を決めた今月4日、田中俊一委員長は運営主体の日本原子力研究開発機構を「ここ20年間、同じようなことを繰り返してきた」と切り捨てた。 1995年12月のもんじゅナトリウム漏れ事故の後、対策を重ね、規制官庁も再三指導してきた。だが、勧告は「結果的に具体的な成果を上げることなく推移した」と断じた。 事故当時、運営主体だった動力炉・核燃料開発事業団(動燃)は、大学、電力会社、原子炉メーカーなどから専門家を集めたエリート集団だった。エネルギー資源に乏しい日本で、国策の核燃料サイクルを担う主役に位置付けられた。その自負が、温度計1本の破損で打ち砕かれた。組織は混乱し、事故現場のビデオ隠しは社会問題に発展した。 「動燃職員は当時、技術的レベルも法令を順守するモラルも低かった」。20年前に計測機器のメーカー担当者としてもんじゅに関わった男性は、当時の現場の気質を苦々しく振り返る。 「原子炉はメーカーの複合体につくってもらい、動燃は実験データを取って、論文を書くのが仕事だ―と。法律上の規制も、重要な実験を担う研究者とは無関係と、公言する人もいた」 ■ ■ ■ 研究至上主義で閉鎖的とされた動燃は98年、「解体的出直し」と称して核燃料サイクル開発機構に生まれ変わった。旧動燃を主体にスリム化したが、看板を架け替えただけに過ぎなかった。 2005年には国の「特殊法人合理化」の名の下に、核燃機構は日本原子力研究所(原研)と統合。「事業肥大化」という問題が再燃した。 旧動燃出身で、事故直後から約10年、もんじゅ所長を務めた原子力バックエンド推進センター(東京)の菊池三郎理事長は「個人的には、合併は間違っていたと思う」と正直に語る。 この間、もんじゅの所管が科学技術庁から文部科学省に移ったため「さらに学術に走った」と菊池氏は振り返る。 ■ ■ ■ 場当たり的な改組を繰り返す中で、実用化を担うため社員を送り出してきた電力会社も及び腰になった。「出向者のレベルが下がり、入れ替わりの期間も短くなった」と複数の関係者は証言する。結果的に組織の意思疎通が滞り、職員間の認識違いと単純ミスを繰り返す悪循環に陥った。 もんじゅに勤める技術職の職員は「研究で成果を残してなんぼ。もんじゅを動かしても評価されない」と打ち明ける。 改組は、対外的に変化をアピールしようと現場を細かく組み替えるため、だれも腰を据えて仕事ができないという。この職員は「本当の意味で看板だけを掛け替えるならよかったのに」と皮肉った。 今月2日の原子力規制委員会との意見交換で、着任半年の児玉敏雄原子力機構理事長は、組織の甘さを認めた上で「期限を決め、潜在する問題をつぶす」と決意を語った。 これに対し更田豊志委員長代理は「結果を出せないという結果を積み重ねてきた」と主張し、こう突き放した。「要するに、手詰まりです、というふうにしか聞こえない」 ☆もんじゅに携わっている日本原子力研究開発機構の上から下までの 職員たちは、成果が出ようが出まいが開発機構が存続しさえすれば それが一番いい。 民間会社のようにつぶれることもないから天国のような職場だ。 膨大な数の文科省と経産省の人員を独立法人の形で残している。 彼らもまた原子力ムラの有力なメンバーだ。 切り込むとしたら国会議員しかいないが、与党議員は河野太郎以外は誰も手を出せないというか出さない。 日本原子力研究開発機構 英語名称 Japan Atomic Energy Agency 略称 原子力機構、JAEA 組織形態 独立行政法人 所在地 〒319-1184 茨城県那珂郡東海村村松4番地49 北緯36度26分33.7秒 東経140度35分45.1秒 予算 2191億円(2008年度実績) 人数 3955人(常勤職員計、2010年3月31日現在) 活動領域 原子力発電、核燃料サイクル領域での基礎・応用研究 設立年月日 2005年10月 前身 日本原子力研究所、 核燃料サイクル開発機構 所管 文部科学省、経済産業省[ |
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2015年11月19日 09時40分 不正会計問題のあった東芝を担当した新日本監査法人に対し、金融庁が、公認会計士法に基づく業務改善命令を含む行政処分の検討に入る見通しとなった。関係者が19日明らかにした。 |
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2015年11月19日 これじゃ公平裁判とは言えないか(C)日刊ゲンダイ いよいよ法廷闘争に突入した、沖縄県の米軍普天間基地の名護市辺野古移設をめぐる「県VS国」のガチンコ対決。国は17日、辺野古沿岸部の埋め立て承認を取り消した翁長知事の処分を違法として、県に代わって国が処分を撤回する「代執行」を求める行政訴訟を福岡高裁那覇支部に起こした。 米軍基地をめぐって県と国が法廷で争うのは20年ぶり。1995年に当時の大田知事が米軍用地の強制使用に必要な代理署名を拒否して以来だ。国は訴状で、埋め立て承認取り消しについて「日米両国で積み上げてきた努力が無に帰す」と主張。 これに対し、翁長知事は会見で「基地建設は何があっても容認できない」と反論。自ら法廷で意見陳述する方針だ。ガチンコ対決の行方は司法の場に移ったわけだが、早くも“主戦場”となる那覇支部の裁判官人事で不穏な動きがあった。 10月30日付で、東京地、家裁立川支部部総括判事の多見谷寿郎裁判官が那覇支部長に異動したのである。 「前那覇支部長は『C型肝炎訴訟』や『原爆症認定訴訟』などで国の責任を厳しく指弾している須田啓之裁判官でした。 新任の多見谷裁判官は大阪や東京、千葉などで勤務経験のある裁判官で、主に手掛けてきたのは住民が自治体や議員を訴える訴訟です。 とはいえ、判決は住民寄りではない。成田空港用地内の農家男性に空港会社が土地の明け渡しを求めていた2013年の成田空港訴訟では男性に明け渡しを命じる判決を言い渡しています。 11年に浦安市民が政務調査費の使われ方が不当として、市長と議員に返還を求めた訴訟では原告の請求を棄却している。体制寄りの判決を下す、ともっぱらの裁判官です」(司法ジャーナリスト) そんな“ヒラメ裁判官”が、寄りによってこのタイミングで那覇支部長に就いたのだ。県民じゃなくても「怪しい人事」に見えてしまう。なにしろ、安倍政権は憲法違反を正当化するために法の番人、内閣法制局長官のクビをすげ替えるぐらいだ。菅官房長官は「司法の判断を仰ぐことにした」なんて言っているが、本音は「多見谷裁判官よ、分かっているな」というプレッシャーがありありではないか。 続きを読む。 |
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節電すると高く付くなんて、でたらめにも程がある 電力に関して、腑に落ちない報道が続いている。 まず、大手電力会社の2015年度上半期決算で、東日本大震災後初めて全社が黒字になったというニュースだ。 黒字額は、10社合計で何と1兆円弱。電力料金値上げで苦しむ庶民には憤りさえ感じられる数字だ。 しかも、ついこの前まで、原発停止で経営難だという報道が続いていたが、この期間に再稼動していた原発は、九州電力の川内原発1号機だけ。燃料安などの要因もあるが、少なくとも、現状では、原発なしでも黒字になった。何とも釈然としない。 もう一つは、昨冬に引き続き、今年の冬も節電の数値目標を設定しないというニュースだ。北海道電力でもピーク電力に対する予備率は14%。最低限必要な比率が3%だから、楽々クリアしている。最も需給が逼迫する関西電力でさえ、3.3%で、しかも西日本全体では5.4%。各社で融通しあえば、問題はない。 それでも電力各社は、老朽化した火力発電所の事故もありうるなどと言って、「電力は足りているから大丈夫」とは認めない。「原発は必要だ」と言わなければならないからだ。しかし、実際には、大手電力の電力販売量は減少する一方だ。企業や国民の節電が進んだのが大きい。この動きはさらに加速するだろう。 大手電力には「ハムレットの悩み」がある。「節電要請すべきか、すべきでないか」である。 本音では、原発を動かして、電力販売を増やしたい。そのためには節電は困る。しかし、節電なしで良いと言うと、「電気が足りているのか。それなら、原発はいらないな」と言われる。 そこで、「数値目標なしの節電要請」という答えに行き着く。数字を出せば、実現のための具体的な施策が必要となるが、それで本当に需要が減ったら困る。そこで、「無理のない範囲で節電を」と呼びかける。節電を本気でやらないで下さいと言うのと同じだ。 そんな悩みを象徴するとんでもない話がある。関西電力が、来年4月から、電気を大量に使う家庭向けに特別割引の新プランを用意し、その原資とするために、いくつかの深夜割引プランなどへの新規加入を廃止するというのだ。 関電は、高浜、大飯、美浜などの原発を動かしたい。しかし、その結果、電力がジャブジャブに余るので、消費者にもジャブジャブ電気を使ってもらうしかない。 日本の家庭向け電力料金は、消費量が増えると段階的に割高になる仕組みで、省エネを推進するうえで重要な政策になっている。ところが関電はこれに背いて、オール電化のように大量の電気を使う家庭をどんどん増やし、その人たちだけ特別に割安の料金を適用するという。 一生懸命節電して家計をやりくりしている家庭に割高の料金を払わせて、節電しない家庭を優遇するのである。企業のエゴ丸出しで国のことは考えない、「公益事業」の名を汚す行為だ。 安倍政権は、小売り自由化の名の下に、こうしたでたらめな行動を許すだろう。原発推進のためなら何でもありだ。これほど完全に論理破綻した政策に固執するのは、利権のためなのか、それとも核武装のためなのか。どちらにしても、もういい加減あきらめる時なのではないか。 『週刊現代』2015年11月21日号より 引用元。 |
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西欧の植民地支配に対する積み重なった怨念 伊藤力司 (ジャーナリスト) 短時間で129人もの生命を奪ったパリ同時多発テロに、オランド仏大統領は戦争を布告した。だが犯行声明を出した「イスラム国」(IS)を戦争で根絶できるだろうか? 答えはノーである。オバマ米大統領、キャメロン英首相、プーチン露大統領らは一斉にフランスに哀悼の言葉とともに共にテロと戦う宣言を寄せた。 おそらく全世界のキリスト教国とそれに同調する国々は挙げてISを非難し、反テロ・反IS戦争を支持するだろう。しかし問題は、戦争でイスラム過激派のテロを根絶できるという見通しが立たないところにある。 テロとは、武力に劣る側が武力に勝る側に対して政治目的を達成するために行う威嚇戦術である。今回の同時多発テロを実行したテロリストたちも、フランスをはじめ世界に衝撃を与えることは予期していただろうが、これでフランスの対IS爆撃を止められるとは思っていなかったろう。 日本時間15日午前までに判明した限りではテロリストは8人、うち少なくとも5人は自爆したという。彼らはこのテロ計画に加わった時点から、生き残ることを想定していなかっただろう。自分たちが武力に勝る敵と戦うことを自覚していたからだ。 先の大戦末期に日本軍が行った特攻作戦は、生還があり得ないのに志願という名目で死を強制した「統帥の邪道」だった。 だからその異常さゆえに「カミカゼ」という言葉が戦後、英語やフランス語の単語に入れられたのである。しかしイスラム教徒の場合は子供のころから教え込まれた教訓が身についている。 生きている間に善行を積めば死を迎えた時、最後の審判でアッラーに「永遠の天国」に入れてもらえると。今回パリで死んだテロリストたちは、長年イスラム教徒を苦しめたキリスト教徒に罰を与えるという善行を行うのだから天国に行かれると信じていたに違いない。 ではなぜキリスト教徒に罰を与えることが善行かという問題である。イスラム世界は19世紀から20世紀にかけてキリスト教世界に植民地支配を受けたという屈辱の歴史がある。 19世紀の産業革命を経て近代を開いた西欧キリスト教社会は、アフリカ、中近東、アジアを次々に植民地支配した。 第1次世界大戦は一面、西欧の中で英仏などに後れを取ったドイツが3B政策(ベルリン、ビザンチン、バグダード)を掲げて、中東に植民地を獲得しようとした動機から始まった。 その第1次世界大戦に勝利したイギリスとフランスは、ドイツと組んだため敗れたオスマン帝国がそれまで支配していた広大な中東のアラブ・イスラム圏を、事実上の植民地として分割支配するに至った。 大戦前までオスマン帝国の支配下にあったアラビア半島の人々に独立を訴えて反乱を起こさせたのが英国の諜報機関員アラビアのロレンスである。第1次世界大戦後、オスマン帝国の領土だった現在のヨルダン、イラク、パレスチナは英国の植民地(名目上は国際連盟の委任統治領)に、現在のシリア、レバノンは英仏間の密約(サイクス・ピコ条約)でフランスの植民地になった。 さらに第2次世界大戦では、ヒトラーのナチがユダヤ人を迫害して、ヨーロッパ中のユダヤ人600万人を殺害するというホロコースト(大虐殺)を行った。 欧州では主力の優秀人種である白人のアーリア人に対してセム人のユダヤ人は劣等人種であり、これを抹殺してアーリア人だけのヨーロッパを築くべきであるとのヒトラーの妄想が、20世紀最大の悲劇を生んだ。 ヒトラーを生んだキリスト教社会の贖罪意識が、パレスチナの土地にユダヤ人国家をつくるというシオニズム運動を応援する結果を招いた。 第2次世界大戦を経てシオニズムのイスラエルがパレスチナの地に1948年建国、これに反対するアラブ諸国が第1次中東戦争を起こしたが、キリスト教圏の欧米がイスラエル支援に回ったこともあってアラブ側が敗退。 以来1956年の第2次、1967年の第3次、1972年の第4次と4回の中東戦争が戦われたが、結果として4回ともアラブ側が敗退、欧米キリスト教世界の支援を受けたイスラエルの勝利に終わった。こうしたパレスチナ危機がイスラム社会に「負の怨念」を積み重ねたことは言うまでもない。 歴史の教科書に「中世の暗黒時代」と書かれているように、ヨーロッパの中世はローマ・カトリック教会が君臨したためのマイナスの側面が支配し、文化は停滞した。 その一方「サラセン帝国」の別名を持つイスラム世界は、バグダードのアッバース王朝を中心に文化の花を開かせた。ギリシャ・ローマの哲学・医学・物理学、天文学などは、すべてアラビア語に翻訳され、イスラム文化を交えて発展された。当時のバグダードは唐の西安と並ぶ世界の文化センターであった。 中世のヨーロッパで始まった有名大学ソルボンヌ、オクスフォード、ウプサラなどでは、学生の必修語学はアラビア語だった。アラビア語を通じて古代ギリシャ・ローマ文明を学んだ人々がルネッサンスを興し、それが欧州の近代合理主義をもたらした。ガリレイの天動説、ニュートンの万有引力などは、アラブ経由のギリシャ・ローマ文明の土壌なしには語れない。 このようにイスラム文化のおかげで中世の暗黒時代を脱却した西欧キリスト教社会だが、近代以降はアラブ・アフリカのイスラム世界を植民地支配した。 フランスはアルジェリア、モロッコ、チュニジアの北アフリカだけでなくマリ、モーリタニア、ニジェールなど、サハラ以南のアフリカを植民地化、イギリスはナイジェリア、スーダン、ソマリア、ケニアなどを植民地支配した。 英仏当局はこの間、何千人、何万人もの現地イスラム教徒を殺害した。これらの国々は独立から半世紀以上を経て、イスラムに回帰する形でアイデンティティーを確保しようとしているように見える。 このように見てくると、イスラム社会とキリスト教社会の対立を平和的に解決する道のりは、21世紀を通じて世界の最大の課題と言えるだろう。 引用元。 |
2015年11月19日 | 記事へ | コメント(0) | トラックバック(0) |
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対象者と金額をどうやって決めたのか 富田 頌子 :東洋経済 記者 2015年11月16日 はたして3億円の賠償で終わるか。 ついに個人投資家も訴訟に向け動き始めた。 東芝の不適切会計問題で、株価下落の影響を被ったとする個人株主約70人が12月にも、東芝と旧役員を相手に損害賠償請求に乗り出す。 株主を支援する「東芝事件株主弁護団」の吉田泰郎弁護士は、「東京と大阪で起こす第1回目の訴訟は、約70人で約4億円の請求を見込んでいる」と説明。今後3年間にわたり活動する方針で、参加する株主も増える予定だ。 今のところ目立った動きはないが、機関投資家のほうも、東芝に訴訟を起こすとみられる。こちらは個人と違い株数が多く、賠償額は百億円単位に膨らむ可能性がある。損失計上を先送りしていたオリンパス事件では、機関投資家による損害賠償請求額が合計700億円を超えている。 対象98人のうち提訴は5人 東芝の場合、会社を相手に一部株主が役員の責任を追及するように提起したのが、9月9日。それを受けて同月17日には、元札幌高裁長官ら3人による、役員責任調査委員会が設置された。 そして委員会が報告書を東芝に出したのが11月7日だ。 調査対象は取締役・執行役の98人だったが、うち不適切会計に関与した可能性がある者を14人に限定。そこから西田厚聰氏、佐々木則夫氏、田中久雄氏の歴代社長3人と、元最高財務責任者(CFO)の村岡富美雄氏、久保誠氏に対して、「民事訴訟の提起により、責任を追及することが相当」と結論づけた。結局、東芝は5人に計3億円の損害賠償を求めて、東京地裁に提訴したのである。 パソコン事業などで利益カサ上げを促した3社長に、暴走を止められずに荷担した2人のCFO。報告書では5人の任務懈怠(けたい)が非難された。こうした行為は「執行役や取締役として善管注意義務違反があった」と指摘された。 だが一見、責任を明確化したように映る報告書も、内実は“大甘”だ。株主に背中を押されて提訴したうえ、対象者も金額も追及不足である。 まず何より、不適切会計がされた時期に副社長や会長を務めた、室町正志社長の名が報告書の中に挙がっていない。 委員会が現社長にバツをつけることを遠慮したと勘繰られても仕方ないだろう。 実際、2009年3月期から2014年12月期までに東芝がカサ上げした金額は、税引前利益で累計2248億円に及んだ。これとは別に、過年度決算修正のために業務を委託した公認会計士などに対する報酬や上場契約違約金だけで、10億円超の実費がかかっている。3億円という請求額はあまりにも少ない。 会社は「回収可能性も勘案した」 役員の責任追及を求めた株主の代理人を務める、「株主の権利弁護団」の金啓彦弁護士は、「提訴をしない会社もある中で、東芝の現経営陣が訴訟を提起したことは評価したい」と、とりあえずの見解を示した。 3億円という額に言及は避けたが、当初は「10億円で算定していた」(同)という。 これらについて東芝は、「回収可能性等も勘案した額の賠償を求めることが相当」、との説明にとどまった。 報告書による“擁護”はほかにもある。「リーマンショックや東日本大震災などの中、競合他社に打ち勝って、利益向上を図らなければならない厳しい事業環境だった」と、環境悪化も損害額の算定で考慮する余地がある、とわざわざ明記している。 企業統治に詳しい久保利英明弁護士によれば、「最初は50億~100億円くらいで(高めに)請求し、最終的に支払い能力を勘案して1人1億円くらいで落ち着く、というのが通常」と、手厳しい。つまり、初めから落としどころを前提にした訴状ではないのか、というわけだ。 長年にわたる利益カサ上げで改革が遅れた結果、東芝の2016年3月期上期の業績は904億円の営業赤字と、6年ぶりの上期赤字に沈んだ。 旧経営陣の苦しみはこれから だがこれで幕引きとなったわけではない。 「被告にならなかった役員には、株主代表訴訟を提起することも検討する」と金弁護士は予告する。 いくら東芝が逃げても、室町社長を含めた現旧役員に対して、株主が代表訴訟を起こす可能性は残っている。さらには冒頭の巨額の証券訴訟も待ち構える。東芝の評価を貶(おとし)めた旧経営陣の苦しみはこれからだ。 (「週刊東洋経済」2015年11月21日号<16>「核心リポート01」を転載) 引用元。 16> |
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