2010年1月4日月曜日

地球と生命/その進化  その8


8) 人類の祖先とその歩み

幾度もの大陸の離合、地殻変動と地下のマントルブルーム(火山噴火)の発生は地表の環境に急激な変動を与えてきた。そして、それは地表に住む生物の生存競争を生み、絶滅と進化を繰り返させた。このような過程を経て、約500万年前にアフリカで立ち上がったとされるヒト科の類人猿(猿人){注11}は、
チンパンジーとの共通祖先から分かれて以来、幾多(~20種)のヒト祖先・猿人が枝分かれしながら登場しては絶滅していったと言われる。
その存在はアフリカでの多数の化石で証明され、アウストラロピテックス属として分類される猿人達である。特に重要なものはタンザニアで発見された360万年前の二足歩行の足跡である。

250~200万年前、更に進化したホモ・ハビリスが最初の道具(石器)を使ったことが判っている。
このハビリス原人は前述アウストラロピテックス属とその後に現れるヒト祖先・ホモ属の中間的存在とされる。この時期、ホモ属にあたるホモ・エルガスターとアウストラロピテックス・エチオピクスやパラントロプス・ロプストスらのヒト祖先が並存した。もともとの遠いヒト祖先は樹木生活者で主食は果実であったが、サバンナで主食の変更を余儀なくされたとき、ホモ・エルガスターは肉食を本格化させたのに対して、エチオピクスやロブストスは植物の地下茎・根を主食として採った。

この食物の違いは両者の体型や知能に大きな差を作らせる結果となったと言われる。つまり、人類の脳が巨大化した理由には肉という高カロリーの食料が寄与しているという説がある。即ち、脳は体重の2%しかないのに拘らず、20%のエネルギーを消費する。高カロリーの肉食は結果として脳を発達させるのに役立ったと考えられる。

脳を発達させるその他の要因としては、ホモ属の特徴である拇指対向性に基づく精密把握がもたらす文化(精密石器など)、行動の複雑化、更に言語の発達による脳への刺激が挙げられている。脳容積は猿人の時代での400~450mlから250万年のハビリス原人600~800mlへ、そして、170万年前エレクトス原人の850~1000ml、更に50万年前には1250mlにまで発達している。

人類の重要な進化は脳だけではない。アフリカからヨーロッパ大陸、西アジアへ渡って広く分布していたネアンデルタール人{注12}の脳は1325mlあり、同じアフリカ生まれのホモ・サピエンス{注13}の脳容積とほぼ同じであった。両者は一時期併存したが、ネアンデルタール人は約3万年前に絶滅した。

この両者が明暗を分けた理由は言語能力の差であったとする説がある。即ち、我々の祖先に当たるホモ・サピエンスは声帯の位置が喉の奥の方に発達し、気道が長くなって、喉の中で微妙な振動が出せるようになった。それにより、言葉が色々話せ、コミューニケーシヨンが容易になり、経験や知識を次世代へ伝えることによって効率的な食料の確保が出来るようになったとされる。ホモ・サピエンスは約16万年前にアフリカに生まれ、10万年前に西アジアに入り、4~3万年前から次第に世界全土へ拡散、今日の地球人類を構成しているとする説が最も有力である。

人類祖先の歩みを簡単に記すと以下のようになる。

約500万年前 チンパンジーからヒト科類人猿(猿人)が分岐。(ラミダス猿人)

250~200万年前 ホモ・ハビリス、最初に道具(石器)を使う。

170万年前 人類直系祖先・ホモ・エレクトス(原人)出現。脳の容積は現代人の2/3まで発達(850~1000ml)。火を使う。成人男性の身長は180~150cm

100万年前 エレクトス原人アフリカ脱出。ジャワ原人、北京原人となる。

16万年前  エチオピアで新人(ホモ・サピエンス)の誕生(化石発見)。

10万年前  新人、中東に達し、ネグロイドからコーカソイドが分かれる。

35,000年前 クロマニオン人(新人)、ヨーロッパ大陸に進出。ヨーロッパに先住のネアンデルタール人を滅ぼす。新人、インドに入って、インド人の祖先となる。新人、北へ入ってモンゴロイド、東南アからオーストラリア原住民。

20,000年前 最初の文化、南フランスに。(クロマニオン人の色彩動物壁画)

13,000年前 モンゴロイド、アメリカ大陸へ進出。(氷河期ベーリング海経由)

12,000年前 その一行から、南アメリカ最南端へ到達。 (世界人口約500万)この時期から間氷期に入り温暖化。農耕進み、人口激増始まる。

5000年前  世界4箇所で文明開化。 世界人口約5億で推移。

400~300年前 産業革命、大航海時代。人口再増加始まる。

現在~未来 現在の人口65.7億。21世紀半ばに100億へ。食料不足、資源枯渇、温暖化など大型哺乳類絶滅の危機?

{注11}:ヒト科の類人猿: “猿人”ともいう。完全二足歩行、脳容量400~450mlから進化始まる。

{注12}:ネアンデルタール人:20万年以上前からヨーロッパ、西アジアに存在が確認されているホモ属であるが、現人類の直系祖先であるホモ・サピエンスとの繋がりは否定されている。旧人とも言われて区別される。

{注13}:ホモ・サピエンス:骨は薄く細い、脳は1300ml以上、前頭葉大。現人類の直系祖先で新人と呼ばれる。その前のハイデルベルゲンシスやネアンデルタール人は旧人と言われる。

主な画像はこちらから引用しました

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