2010年1月4日月曜日

地球と生命/その進化  その6



<地球と生命/その進化>    荒木泰治

6) 大陸の離合集散と生物の進化

地球の地殻はマルチプレートで構成され、それぞれのプレートはコア部の熱対流によって絶えず移動し、離合集散を繰り返してきた。そういう地殻の活動が生命の進化に大きな役割を果たすのである。

5.5億年前から始まるカンブリア紀にはゴンドワナ超大陸と呼ばれる大陸が赤道付近から南半球に存在した。当時の生物は海洋性無脊椎動物で三葉虫のような眼、硬い殻、骨格を持つ動物が化石として残っている。

5.1~4.4億年前のオルドヴィス紀では、アパラチア造山帯(カナダ~イギリス~スカンジナビア半島)が北側に、ゴンドワナ大陸は南半球に形成され、生物は無脊椎動物で甲冑魚、床板サンゴ、コケムシ、有孔虫などが生息した。又、この時期は酸素濃度の上昇が進み、紫外線を遮るオゾン層が形成されて、コケ類などの生物が陸上進出した時期でもある。

次のシルル紀(4.4~4.1億年前)の末期に海生の脊椎動物が現れ、空気呼吸をする最初の節足動物(大型はサソリ類、小型はダニまで)や、顎のある魚(カブトガニなど)が発見されているが、これらは次のデボン紀で発展する。

4.1~3.5億年前のデボン紀は巨大大陸・ローラシア(アジアとヨーロッパにあたる部分)が形成された時代であった。こういう大陸形成過程では大陸同士の衝突が巨大山脈の形成をもたらし、山脈の形成は雲の流れをさえぎることで、その斜面に雨を降らせ、川を作ってそこに淡水の世界を生み出した。

一方、大陸の巨大化は海岸線を減らし、浅海の減少をもたらす。生物は光合成が可能な浅海に生息していたため、浅海地域の減少は、生物間の生存競争を激化させることになった。

ローラシア大陸形成時には板皮類という魚が浅海の支配者となり、人類の遠い祖先である硬骨魚(ユーステノプテロン)は浅海を離れ、当時に出来た巨大山脈(カレドニア山脈)の麓の淡水世界へ進出した。この進出を支えたのがこの時代に出来た地球最初の樹木・アーキオプテリス(高さ最大20m)などの森林である。

この森林により、その周囲の気温と土壌が安定し、大量の落葉の分解で栄養分の高いエサを生物(魚)に供給した。その反面、落葉の分解は水中の酸素を減少させたため、多くの魚はその環境に耐えるために肺を進化させた。

この淡水域においても生存競争が次第に激しくなり、大型化で生き延びようとする肉食魚(5m超)も生まれた。人類の遠い祖先でもあるユーステノプテロンが進化したアカンソステガと呼ばれる魚は木の枝などが堆積する劣悪な環境に逃げ込むことにより生き延びた。

そこでは早く泳ぐことより、木の枝を掻き分けて移動することが必要で、それが出来るように、前ヒレが進化した手(前肢)を持つようになった。そして、この進化は我々祖先が大陸へ上陸する決め手となった。即ち、陸に上がって最初の脊椎動物である両生類(サンショウウオ、イモリ、カエル等)が生まれる。また、節足動物からは昆虫が生まれた。

3.5~2.9億年前の石炭紀といわれる時期は現在のアメリカ、ヨーロッパが赤道の直ぐ北にあり、広大な森林が形成され、裸子植物が栄えた。その温湿な気候が石炭、石油、天然ガスを生み出したとされる。この時期には陸生動物の痕跡が認められている。即ち、巨大トンボ、ゴキブリ、クモ、サソリなどの化石が発見され、爬虫類はこの時期に生まれたと考えられている。

2.9~2.25億年前の時代はベルム紀(二畳紀)と呼ばれ、全ての大陸が一つになって超大陸パンゲアを創った。南アメリカ、アフリカ、南極、オーストラリア、インドは南極点の近くにあった。このような海陸の配置の変化により生物の生息環境が変化し、浅い多島海で繁殖していた無脊椎動物(三葉虫、サンゴ、コケムシ等)は史上最大規模の絶滅状態となる。
両生類は減少し、爬虫類が繁栄した。爬虫類には後に恐竜を生み出す双弓類と、一部が哺乳類に進化する哺乳類型爬虫類とがあった。植物では胞子で繁殖するシダ類から、種子を持つシダ類(イチョウ、ソテツなど)に進化する。

このベルム紀末期に95%もの生物種が絶滅するという大事件(P/T境界事変)が起こった。その原因はスーパープルームによる火山大噴火だと言われる。{注7}

{注7}:スーパープルーム(スーパープリューンともいう)とは地核から地表に向かう巨大なマントルの上昇気流のこと。
生物絶滅の原因についてはバンゲア形成に絡んだ種々の原因の重なり合いとする説もある。

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