○ 「豊かな日本」の終わり 一部引用・・ 1980年代には、石油危機のあと「脱・石油」の旗印のもと、原発が推進されました。民放のローカルニュースにはたいてい電力会社がスポンサーになっていたため、反原発の番組はほとんどなく、新聞も同じでした。特に朝日新聞は、科学部の木村繁部長と大熊由紀子記者が激しい原発推進キャンペーンを繰り広げていました。社会部の記者はみんな反対派でしたが。そんな中でスポンサーのないNHKは、反原発のリーダー的存在で、私も伊方原発訴訟の一審と二審を取材して、国と反対派の討論番組をつくりました。当時は、原発をテレビで取り上げること自体がタブーで、四国電力の社長が記者会見で「NHKの番組は偏向している」と名指しで批判したこともあります。 当時も今も、原発の問題点は変わりません。原さんもいうように、軽水炉の技術的な限界による炉心溶融の可能性は否定できず、放射性廃棄物の処理と保管は数百年もかかる終わりのない作業です。NHKも「原子力」というシリーズを何回もやりましたが、結論はいつも同じで、原発事故は論理的には起こりうるが、日本の原発の安全設計は世界一なので現実的にはそのリスクは小さいということでした。 全文はこちら ○日本は「核なき世界」の先導者になるべきだ 一部引用・・ 我々一般人には何をすることもできない福島の事態が、現場作業員と自衛隊・警察の命を顧みない献身的な活動によって制御に成功するよう祈るしかない。が、成功したとしても、そして成功しなければなおさら、日本人の誰もが、世界の地震の2割がここで起こるというこの列島に54基もの原発を並べた中で暮らしていこうとは思わないだろう。 推進側の論理は、まず「絶対安全」で、それで事故や異常が起これば「想定外」と言う。しかしシェルが言うとおり、自然も、その一部である太陽エネルギーも、所詮は人間にはすべて「想定外」であって、「絶対安全」など哲学的レベルから言ってあり得ない。そのような根源的な疑念を抱く人々に向かって推進側が繰り出す最近流行の搦め手は、「原発はCO2を出さず究極のクリーン・エネルギーだ」というものだ。結構じゃないか、放射能を吸い込むくらいならCO2などいくらでも吸ってやる。 もう1つのやや旧式な搦め手は、「そんなことを言っても、原発は日本人が使う電力の4分の1から3分の1近くを賄っていて、今の便利で快適な文明生活には不可欠だ」というものだ。結構じゃないか、原発を全部止めて貰って、その是非を1万2000年間じっくり研究することにして、取り敢えずは電力消費を4分の1か3分の1減らそうではないか。 06年度の総発電量は1兆1611億万kWhで、そのうち原発が3034億、26%を占めている。原発分を引くと、8592億で、これは1990年の総発電量8573億とほぼ同じ。何も困ることはないのではないか。もちろん、90年当時になかったか、もしくは余り普及していなくて、今は不可欠、もしくはあれば便利という電動器具はたくさんあって、携帯電話、インターネット、IHヒーター、床暖房、温水洗浄便器、電気自動車など様々だが、その中には本当は要らないもの、他に代替可能なもの、別のエネルギー源で賄えば済むものもたくさんあるだろうし、また技術的発達で急激に電力使用量を低減させつつあるものもある。と言っても、電力を使うのは主に家庭用である民生用が3分の1で、44%が産業用、24%が運輸用。運輸用は電車や新幹線など公共交通機関だから減らすのは難しいし減らさないほうがいい。とすると、家庭と産業で使用量を4分の1減らせば、ほぼ原発なしの暮らしが実現する。 全文はこちら] |
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福島県の放射線健康リスク管理アドバイザーに就任した 長崎大学教授山下俊一氏が外国特派員協会で記者会見を行った。参考記事長崎大教授「健康リスクない」 福島市の空間放射線量 2011年3月21日 19時56分 福島第1原発の事故を受け、福島県が「放射線健康リスク管理アドバイザー」に委嘱した長崎大の山下俊一教授(被ばく医療学)と高村昇教授(放射線疫学)が21日、福島市内で約500人の市民を前に講演。高村教授は「福島市の現時点の空間放射線量で、健康上のリスクは全く考えられない」と語った。 山下教授は質疑応答で「洗濯物は屋内に干して」と呼び掛け、福島県産の原乳や一部の野菜の出荷制限について「政府の責任で安全宣言を出すまで待っていてほしい」と理解を求めた。 さらに「酪農は続けられるのか」との質問に「必ずできるようになる。乗り越えてください」と励ました。 質問した市内の酪農業黒沢美枝子さん(55)は「乳牛を守るため、乳を搾って捨てている。経済的不安はなくならないが、来て良かった」と、少しほっとした様子。 市内の会社員佐藤久美さん(32)も「福島出身ということで、結婚や就職で差別されるのではと心配。教授らの言葉を信じたい」と話した。 (共同) http://www.ustream.tv/recorded/13489249 |
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写真のキャプションは「こんな日が来るとは思わなかった」 web上でぱっと見たときは冗談かと思った・・。そうではないらしい。 「狂歌」ならぬ「狂フォト」? 給料日に月給が振り込まれない「日銭商売のアキナイ」は、停電で売り上げが落ちる中で、生活のためには使えるものはなんでも使うしかない。 |
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2011年03月22日(火)
読んでこれは専門家として覚悟を決めて発表した文書だと感じました。判断のためには、全文を読まれることをお勧めします。なぜこの結論を導いたかについてその理路が述べられています。 Ver.0 2011年3月20日「最悪シナリオ」はどこまで最悪か ~楽観はできないがチェルノブイリ級の破滅的事象はない見込み~ 環境エネルギー政策研究所 所長 飯田哲也 結論部分を引用・・ 【暫定的なまとめ】 ・ 使用済み核燃料プールで燃料が溶融し,そこで原子炉臨界状態が出現するという再臨界現象はおそらくは起こらないであろう(ホウ素投入はないと安全側に仮定しても)。 ・ 再臨界状態が起こるとすれば、その可能性は圧力容器内部の方が相対的に高い。ホウ素投入の効果はあるが、再臨界を抑止できると保障することはできない。 ・ 仮に再臨界が起きても、核爆発のように連鎖的・爆発的に広がるのではなく、せいぜいスパイク(瞬間的な臨界超過状態)を何度か繰り返す程度ではないか。 ・ その場合、周辺の放射線量(中性子、ガンマ線)は東海村JCO臨界事故のように瞬間的に高くはなっても、核爆発のように甚大な爆発被害が広がることはありそうもない。 ・ 再臨界の有無に拘わらず、使用済み核燃料プールでの燃料溶融や圧力容器・格納容器における水蒸気爆発によって、これまでのベント(意図的な圧力開放)をはるかに超える放射能(核分裂生成物)の外部放出の可能性は否定できない。 ・ ただし、圧力容器・格納容器の大爆発ではなく、構造上の弱い箇所の破損による瞬時放出に留まると推定される。そのため、黒鉛火災が何日も続いて放射能を大量放出したチェルノブイリ事故とは異なり、瞬時的な放出に留まると推定されるため、深刻な汚染地帯はチェルノブイリ事故よりも限定的に留まるものと推定される。 ・ したがって、首都圏や仙台などの大都市の避難勧告のような事態は、おそらく避けることができるものと判断できるのではないか。 ・ ただし、最悪シナリオが生じた場合に放出される放射能は、これまで一時的に放出された放射能よりも桁違いに多い可能性があるため、状況の推移によっては、現状の避難範囲(避難20km、屋内退避30km)の再検討やヨウ素剤の配布計画、広範な地域で被曝を最小限に抑えるためのマニュアルの周知徹底などが必要と考える。 全文はこちら ●飯田哲也 NPO法人:環境エネルギー政策研究所(ISEP)所長。ルンド大学(スウェーデン)客員研究員。1959年山口県生まれ。自然エネルギーや原子力などの環境エネルギー政策専門家。『21世紀のための再生可能エネルギー政策ネットワークREN21』理事など国際ネットワークも豊富。温暖化ファンドやグリーン電力などを生み出すなど、社会イノベータとしても知られる。中央環境審議会、東京都環境審議会などを歴任、2009年11月には、新政権の25%削減タスクフォース有識者委員、および行政刷新会議ワーキンググループの事業仕分け人に任命された。著書に「自然エネルギー市場」(菊地書館)、「北欧のエネルギーデモクラシー」(新評論)、「自然エネルギー市場」(菊地書館)、「グリーン・ニューディールー環境投資は世界経済を救えるか」(NHK出版)、「日本版グリーン革命で経済・雇用を立て直す」(洋泉社新書)など |
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阪神淡路大震災が起きたとき、中井久夫先生は心療内科・精神科の臨床医として多くの弟子筋の医者を糾合し、被害者の誰もが多かれ少なかれ持った心の傷の治療に向かい合った。 先生と共に現地の避難所や病院で被害者の治療にあたり、たくさんの人を救った先生の仲間の中には、そのときの疲労の蓄積からか数年を経ずして若くして亡くなった医者や看護師がいる。 彼らに対する先生の鎮魂の痛切な文章は今も忘れられない。 今回の東日本大地震に関し、神戸新聞の求めに応じて書かれた文章が 掲載された。画像を2段階にクリックすると拡大します。 阪神淡路大震災が起きたとき先生は、神戸大学医学部付属病院におられた。当時私も話を聞いて頂いたことがあり、大学病院で先生の教え子に一年間カウンセリングを受けた。 |
♪ 被災者と同じ思いの若い人たちの活動。メディアはこういうエピソードを拾ってほしい。読んで本当にありがとうと思った。 毎日新聞 3月21日(月)11時19分配信 「思い出が詰まった大切な写真を持ち主に返したい」 300世帯以上が津波被害を受け、30人が犠牲になった岩手県野田村で、地震後に帰省した大学院生らが20日、がれきの中にあったアルバムや写真を持ち主に引き渡すボランティアを始めた。泥だらけのアルバムをめくって「うちのだ」と喜ぶ被災者もおり、周囲は笑顔に包まれた。 【被災地のために】いま何ができる? わかりやすく解説 村出身の千葉大大学院生、小田洋介さん(25)らが発案した。小田さんは地震後の14日に車で村に戻った。両親や祖父母は無事だったが、自宅は1階部分が津波で激しく壊された。写真が趣味の小田さんがまず部屋から取り出したのはアルバムだったという。近所の人のアルバムを見つけて届けたところ、とても喜ばれた。道端に多くの写真が落ちているのを見た小田さんは「思い出までなくなるのは悲しい」と、中学の同級生と5人で拾い集めることに決めた。 19日に村を歩き、がれきの中からアルバムを見つけて回った。20日は村内の路上で段ボールの上にアルバムや写真を広げ、「一時保管しています」と住民に知らせた。自宅に流れついた他人のアルバムを持ち寄る人も現れ、行方不明者の捜索にあたる消防隊員も、見つけたアルバムを「お願いします」と置いていくようになった。 孫の写真を見つけた建設業、晴山克身さん(61)は「本当に良かった」と笑顔。小田さんは「写真を見つけた人が元気になってくれて、村が活気づいてくれたらうれしい」と話す。【堀江拓哉】 |
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2011年03月21日(月)
♪中露の反対で国連安全保障委員会が静観していた「リビア革命」。 フランスとイギリスがカダフィ政権軍へ空爆を開始した。 この動きの底には「日本の原子力発電所事故」がある、という冷泉分析。 一部引用・・ 3月19日米国東部時間午後にフランス、英国、米国の三カ国は、リビアのカダフィ政権に対して、戦闘機とトマホークなどの巡航ミサイル約110発による空爆を開始しました。日本は、去る3月11日に発生した東日本大震災と東電福島第一発電所の事故という危機がまだまだ続いていますが、今回の空爆に関しては世界の政治経済にとって大きな問題ですので、この時点で要点を整理しておくことにします。 今回の空爆ですが、次のような経緯を取りました。まず2月中旬からのリビア反政府運動の高揚ということがあり、国軍や外交官を含む多くの人間がカダフィ政権に離反したのに続いて、東部の油田地帯であり第二の首都と言って良いベンガジを反政府側が制圧、程なくして首都トリポリ以外の国土のほとんどを制圧しました。ですが、カダフィ政権側はこれに全く屈することなく、残った兵力を使用して反攻に出ています。 具体的にカダフィは2月22日以降、航空兵力を利用した反政府側市街地への空爆、油田設備への空爆を開始しつつ、一般市民と石油産業を人質に取る構えを見せ、同時に陸上兵力を使ってジワジワと勢力の反転を図っています。反政府勢力は、リーダーの不在、装備の劣勢ということもあって、これに対抗できていないのです。 ・・中略・・ そのような複雑な連立方程式の中での今回の空爆ですが、大きな背景はやはり「福島原発の事故によるエネルギー論争の中で油田爆撃を匂わせたカダフィ」を国際社会が許さなかったということだと思います。その点では、日本の情勢は世界情勢と密接に関連していることは否定できません。 2011年3月20日発行 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ JMM [Japan Mail Media] No.627 Saturday Edition-2 「リビア空爆と原発事故の関係をどう理解したら良いのか?」 3月19日米国東部時間午後にフランス、英国、米国の三カ国は、リビアのカダフィ政権に対して、戦闘機とトマホークなどの巡航ミサイル約110発による空爆を開始しました。日本は、去る3月11日に発生した東日本大震災と東電福島第一発電所の事故という危機がまだまだ続いていますが、今回の空爆に関しては世界の政治経済にとって大きな問題ですので、この時点で要点を整理しておくことにします。 今回の空爆ですが、次のような経緯を取りました。まず2月中旬からのリビア反政府運動の高揚ということがあり、国軍や外交官を含む多くの人間がカダフィ政権に離反したのに続いて、東部の油田地帯であり第二の首都と言って良いベンガジを反政府側が制圧、程なくして首都トリポリ以外の国土のほとんどを制圧しました。ですが、カダフィ政権側はこれに全く屈することなく、残った兵力を使用して反攻に出ていま す。 具体的にカダフィは2月22日以降、航空兵力を利用した反政府側市街地への空爆、油田設備への空爆を開始しつつ、一般市民と石油産業を人質に取る構えを見せ、同時に陸上兵力を使ってジワジワと勢力の反転を図っています。反政府勢力は、リーダーの不在、装備の劣勢ということもあって、これに対抗できていないのです。 これに対して、オバマ政権はリビア全域に「NFZ(ノー・フライ・ゾーン=飛行禁止区域)」の設定を検討しました。ですが、これは当初は二つのグループから反対を受けました。一つは中ロの2カ国です。米国の覇権につながる問題には、とりあえずブレーキをかけるというのがこの2カ国の「デフォルト」姿勢であるわけで、それ以上でも以下でもないと思いますが、拒否権を持つ2カ国の反対で国連安保理の決議は難航しました。 もう一つは、他でもない国内のそれも軍部の反対です。反対の理由は、巨額の財政赤字を抱えるアメリカとしては「軍事費を聖域化せず」という大規模な歳出カットを行っており、それを前提とすると「今リビアとの戦争は不可能」という姿勢です。ゲイツ国防長官はそうした前提に基づいてNFZの設定にも消極的でした。 では、どうして今回はそうした抵抗があるにも関わらず、空爆という事態に至ったのでしょうか、その背景には日本の東日本大震災と福島第一の事故があると思います。 といっても、日本の責任で戦争が始まったのではありません。基本的には次のような四つの要素があると思います。 まず日本の原発事故を契機とした反原発の世論の高揚により、世界的なエネルギー問題の総見直しが始まっているのは事実ですが、その渦中においても尚、カダフィ政権は「反政府派の徹底弾圧」を叫び、「大油田ベンガジの空爆も辞さない」という姿勢を改めるどころか、攻勢を強めているという問題があります。 これを受けて、3月17日の国連安保理ではリビアへの「NFZ」設定が中ロを含む10カ国の全会一致で採択されています。これはエネルギー危機の中で油田を人質に、というカダフィの姿勢を見て、万が一実際に油田爆撃があった場合に、このままでは原油価格の急騰は避けられないという危機感の現れだと思います。ロシアは石油輸出国で実は原油高騰にはメリットもあるのですが、大統領選を控えた中で「国際社会への道義的な貢献」を見せる必要があったと見るべきでしょう。スーザン・ライス米国連大使の根回しも相当なものだったようです。 問題はこの「NFZ」です。どうして2月の時点ではペンタゴンは消極的だったのかというと、「リビア上空は飛行禁止」という宣言は「制空権」を取らないと「全くの空疎な文言」になってしまうからです。そして制空権を取るというのは、相手の航空兵力を打倒するか、あるいはジッと構えておいて「違反したら即撃墜」とすることになるわけで、即戦争を意味するからです。 では、どうやってこの「NFZ実施イコール即戦争」という抵抗感を乗り越えたのかというと、三つ目の要素になりますが、米国が正面に立つのではなくフランス、英国、そして有志連合としてアメリカという形で、米国が全面的に責任とコストを負うのでは「ない」スキームができたからです。フランスのサルコジ大統領は、来年2012年に二期目の選挙を控えています。ここで国際社会における存在感を見せるということは政治的に十分なメリットがあるわけです。 オバマとしても、議会や共和党から「財政再建はどうした?」と言われてもフランスが先頭に立ったのを黙って見過ごすわけにはいかないわけで、国民に理解を訴える演説を行って有志連合に加わっています。その方法ですが、「宣言して様子をみる」曖昧な姿勢、あるいは「航空兵力を打倒する」といった乱暴な手法ではなく、「カダフィ側のレーダー施設やミサイル施設、滑走路など航空インフラの破壊」という教科書通りの手法が取られました。 フランスを先頭に立たせた背景には、もう一つ「アメリカがアラブでの戦闘の先頭に立たない」方が得策という計算があります。アラブで何かに関与すれば、アルカイダ的なグループが怒ってテロ活動を活発化するのが怖いということ、あるいはその危険を増大させたとして国内保守派から攻撃されることなど、政治的な理由が大きいと思います。英国のキャメロン政権も、ブレア政権の「ブッシュの戦争」へのコミットに反対する世論に乗った政権ですから、アメリカ主導よりフランス主導のほうが同調しやすいということもあります。 ちなみに、この件ではヒラリー・クリント国務長官が相当に周到な工作をしたようです。攻撃開始時点で彼女はまだパリにいました。そして実際の攻撃も、戦闘機は仏軍と英軍のみ、米国は英国と一緒に艦船から発射の巡航ミサイル攻撃を担当するという布陣をとっています。水面下で周到な準備がされていたのだと思いますが、恐らくは相当な効果があったのではないかと思われます。以降は、陸上戦闘に移行するのではなく、この空爆の効果を見極めつつ、カダフィ政権の自壊を待つことになるのではと思います。 というわけで、現時点では「国民と石油を人質に取った凶悪犯の武器だけを破壊に成功」という理解が基本だと思います。当面はボールはカダフィの方に投げられた形です。ですから、震災の復興にあたり、東日本に展開している米軍に対して「新たに戦争を始めた血塗られた軍隊」というイメージを持つことも、震災で人命の尊さが改めて問題になっている一方で、壮大な人殺しが始まったという印象を持つことは、現時点では必要のないことだと思います。 では、善玉の仏英米軍がこのまま悪漢カダフィを追い詰めるのを安心して見ていて良いのでしょうか? そう簡単ではありません。一つは、カダフィは本当に何でもやる危険があるということです。つまり仏英米軍に「地上戦闘の覚悟なし」と見透かして、地上で残虐なことをやるという危険です。その場合については、全く予断を許しません。一方で、カダフィ側では国連決議を受け入れて停戦に応じようとした矢先の攻撃だと主張、舌戦の方も複雑化しています。 もう一つは、「民衆革命」の問題はリビアだけではないという点です。現時点で親米政権のバーレーンとイエメンが「流血の弾圧」を続けており、リビアとは別の展開となっています。別というのは、特にイエメンの場合は政権側が「親米・反アルカイダ」であることが批判の理由であり、アメリカとして革命側を100%支持できないこと、バーレーンも万が一湾岸ドミノなどが発生してサウジが動揺すると大変なことになるからです。 ですからオバマとしてはエジプトやリビアの「善なる民衆革命」を支持しつつ、後は沈静化をというやや虫のいいことを考えているわけで予断を許しません。一方で、ここのところ人気凋落の甚だしいペイリンは、イスラエルを訪問してネタニヤフ首相と会談して、米国とイスラエルの結束をアピール、暗に「オバマの民衆革命支持は米国益に反する」というメッセージを出しているのです。 そのような複雑な連立方程式の中での今回の空爆ですが、大きな背景はやはり「福島原発の事故によるエネルギー論争の中で油田爆撃を匂わせたカダフィ」を国際社会が許さなかったということだと思います。その点では、日本の情勢は世界情勢と密接に関連していることは否定できません。 ---------------------------------------------------------------------------- 冷泉彰彦(れいぜい・あきひこ) 作家。ニュージャージー州在住。1959年東京生まれ。東京大学文学部、コロンビア大学大学院(修士)卒。著書に『9・11 あの日らアメリカ人の心はどう変わったか』『「関係の空気」「場の空気」』『民主党のアメリカ 共和党のアメリカ』などがある。最新刊『アメリカは本当に「貧困大国」なのか?』(阪急コミュニケーションズ) ○「 多国籍軍、爆撃を続行=カダフィ大佐は徹底抗戦」 2011年 3月 21日 10:02 JST こちら |
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阪神大震災を体験した1995年には、震災情報や行政の支援体制などはテレビ/ラジオと新聞を通じて知るしかなかった。 16年後に起こった今回の大陸プレートのズレによる大災害では、情報伝達の手段方法が格段に多様化した。 それらのツールにのって流れる情報量は膨大だが、二つの課題が見える。 一つは大半のクニタミには当たり前でも、情報のやりとりから漏れている高齢者や、ツールを持たない階層のデジタルデバイド。 もう一つはまき散らされる情報の真偽を見分ける「自分の物差し」を持っているかどうか、あるいは持つようにトライしているかどうか。 何が正しくて何がデマかをその時点で仕分けるのは難しい。 しかし出来る限り自分で読み取るしかない。自分の友人・知人とも連携しながら。 今自分が一つのヒントにしているのは、その記事が一次情報なのか 加工(編集)情報つまり伝聞情報なのか。 流している人や組織が「寄らしむべし知らせるべからず」の官庁系かどうか。 官僚上がりの政治家や評論家のブログを読んでいると、政府を巧妙に攻撃しながらも、官僚や中央官庁の「この期におよんでの不作為」については、官邸主導のため手も足も出ないなどとさりげなく弁護している人が多い。読んで行ってあれっ奇妙な話の展開だと思い、その場で検索すると前歴がすぐわかるのがネット時代の有難さだ。 今回の災害は地震と津波の被害をもたらしただけでなく、破損した原子力発電所による放射能被害という初めての事態を招いた。 それらの情報、状況は前には共有されていなかった、携帯やツイッターなどのソーシャルメディアで瞬時に世界に伝わっている。 【ソーシャルメディアが果たす機能 Twitterを含むソーシャルメディアは今回、以下の4点の役割を果たしたと思います。 1. 情報共有 中央発表だけでない多元的で多面的な情報の共有 2. 権力監視 政府、関係機関、放送局に対する国民監視のプレッシャー 3. 国際発信 世界に対するリアルタイムの情報発信 4. 気分の醸成 国難に立ち向かう国民全体の一体感の創出】・・引用元こちら 地球上がこういうメディア状況になっているということに一番疎いのが、東京電力であり、中央官僚だ。そして情報流通業である日本の大手新聞社とテレビ局だ。 今回の大災害は彼らに一番大きな変化を求めているが、かっての歴史を見ても、中からの改革というのはあったためしがない。 あるとすれば、これからソーシャルメディアが持つ機能がフルに動き出し、外から大変革を迫れるかどうかしかない。 いずれにせよどんな状況になっても、糸井重里が言うように【「じぶんのリーダーは、じぶん」ですから、危険をともなうことについても、最後はじぶんがジャッジしてください。】ということは変わらない。 どこかに凄い親分さんがいてはって、私のような三下奴にああせえこうせい言うてくれはるのが一番楽でええんやが・・。難しい渡世になってしもたもんや。 ☆10:57追記 こんなエントリーがあった。 「原発事故報道に見た日本のマスコミの姿勢」こちら 「関東大震災は新聞業界を大きく変えた。今回も変わるだろう」 こちら |
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2011年03月20日(日)
口ごもることなく、きびきびと、しかも聞き取りやすい音量で喋る人物がテレビ画面に映っていた。 字幕を見ると、福島原発の3号機の放水作業の総指揮を執った 「佐藤康雄東京消防庁警防部長」だった。 彼の部下が実行した作業を時系列に沿って、開始から終了まで丁寧に 目に見えるように説明していく。実に小気味がいい。 実務に精通している人だけが自然に醸し出す自信と余裕。 今度の原発事故関係でテレビに現れた日本人の中で、瞠目すべき人が 初めて現れたような気がした。こんな指揮官が日本にはまだいるのだと、 おおげさかもしれないが何かジーンときながら説明を聞いた。 事故が起きた時点で、今回出動した放射能火災に備えた特別チームに 必ず出動命令あるべしと想定したこと。 出動が確定する前に、すでに河川敷で特殊車両の3方式について、それぞれ実地訓練を行っていたこと。 机上計画を立てたうえで、現地での臨機応変対応あるべしの心構えで臨んだこと。事実、実際の作業は想定外のことが起こったこと。すなわち津波で構内道路が荒れていて、特殊ポンプ車もホースも想定ルートを通すことが出来ず、屋外の人手の作業が増えてしまったこと。 たんたんと語っている中に、部下が全身に浴びる放射能を、規定の範囲以下で作業をさせるかに、いかに腐心したかを浮かび上がらせていく。 下手をしたらこの二つの隊の精鋭40名の生命を危険に晒す・・。 両サイドに座った二人の隊長の話も聞きながら、 「職務に対する責任感、使命感」「組織の規律」「隊員の士気」 という抽象語を具現化、体現化している人たちが、今まさに目の前にいるんだと強く、強く思った。 彼らの全身が発する雰囲気は、いざ火災現場に出れば、消防隊員は常に生と死が隣り合わせの職場ということから来るのだろうか? まことに見事な職業人がいることを教えてもらった。 我が命令を部下に一切の疑点なく周知徹底する。それが出来ないことには火消しのカシラにはなれないしなってはいけない。そうでなければ火事を消すことは出来ないし、部下を殺すかもしれない。 彼らの会見場における、あの見事な挙措はこの会見だけのものではなく、そういう職場の職業人が自ずと24時間身につけているのだろうと感じた。 佐藤総指揮官は朝家を出て勤務についてから、福島への出動命令を受けたので、(二人の隊長も部下たちも)奥さんには「福島へ出動することになった」とメールで連絡したそうだ。 奥さんからの返事がまたいい。「日本の救世主になってね」と。 最悪のケースを常に想定して家から旦那を送り出す奥さんたちがいる 職業。あまり気が付かなかったが、そういう職業は結構あるのだと思った。 胸がいっぱいになりながら説明を聞いたが、記者会見の最後が最悪だった。 記者クラブの記者の質問 「あのぅ・・、今のお気持ちを教えてください」 「今ぁ、何が一番したいか教えてください」 ガクっと倒れこみそうになった。 坊やたちの腑抜けた質問に怒りもせず、真面目に答える3人の消防署の大人たち。 質問力に報道記者の存在価値がかかっている。 こんな記者たちはもういらない。 余談ながら、大手メディア業界には40代、50代のベテラン記者と言うのはいないのだろうか。世間の会社なら部課長クラスがビジネスの前面に出ている。その分野の経験と勉強に裏付けられた突っ込みのある質問をして欲しい。20代、30代の薄くてステレオタイプの質問では、とてもじゃないが、読者の知りたいことを聞き出すことは出来ない。 ホント、質問の相手は真央ちゃんでも石川クンでもないんですが・・・ |
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♪村木訴訟で冤罪を作っても懲りない大阪地方検察所。それに反して本来のあるべき裁判所の機能を果たしている大阪地方裁判所。大阪地裁の担当判事は法曹ムラでの自分の地位に関し、もうとっくに出世を諦めた?から怖いものがないらしい。おそらく現在の判事の80%はこういうまともな判断をする判事だろうと思う(思いたい。) 警官暴言被害者の勾留請求を却下 大阪地裁 2011.3.15 19:46 MSN産経ニュース 大阪府警東署警部補、高橋和也被告(35)=脅迫罪で公判中=から任意の取り調べで暴言を受けたとされる会社員、岡本和真容疑者(35)=強要未遂容疑で再逮捕=について、大阪地裁(遠藤邦彦裁判長)は15日、「本来の目的を逸脱し、不当に拘束しようという疑いがある」として、検察側の勾留請求を却下する決定をした。 岡本容疑者は10日に強要未遂容疑で再逮捕される前に窃盗罪で起訴されていたため、弁護人は15日、地裁に保釈を請求。決定に対し「妥当な判断」とコメントした。 決定理由で遠藤裁判長は、在宅起訴にとどまった高橋被告との対応の違いや、高橋被告の初公判翌日に最初の逮捕があったことにも触れ「本件での勾留は不利益が大きく、相当ではない」と指摘した。 再逮捕容疑は平成21年12月11日~翌年2月21日、財布をなくした府内の20代の女性に面会を迫るメールを5回送ったとしている。 「こうなるまでに、 大阪地検(より正確に言うと大阪区検)が、暴言警察官を脅迫罪で略式命令請求 大阪簡裁が、略式不相当と判断し、大阪地裁へ移送 大阪地裁で暴言警察官の第1回公判が行われ、その当日に、被害者が逮捕(窃盗罪) 被害者の起訴後、今度は強要未遂罪で逮捕、勾留 という経過をたどっていて、その上で、この勾留却下決定ですから、異例づくめの特異な経過をたどる事件と言えるでしょう。 被害者側が問われている、窃盗罪、強要未遂罪が、どこまで実態のあるものなのか、証拠を見ていないので何とも言えませんが、大阪地裁は、上記の記事にあるように、暴言警察官の初公判当日に当初の逮捕が行われていることや、あれだけの暴言を吐きまくりながら警察官は在宅捜査、「被害者」側は逮捕、勾留を繰り返しているという偏頗な取り扱いに、よほど腹を据えかねたものと見えます。通常、裁判所が、こういった理由で勾留を認めないことは、まずないだけに、捜査機関の捜査の進め方に、裁判所がかなりの不信感を持っていることは間違いないでしょう。 大阪地検については、貧すれば鈍する、という言葉を思い出しました。健全な知恵が出なくなり、ますます追い込まれつつあるということでしょう。」 括弧内はこちらから引用。 |
2011年3月20日 | 記事へ | コメント(0) | トラックバック(0) |
| 新聞・テレビ・雑誌から / 可視化・検察・警察 |
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2011年03月19日(土)
♪糸井重里のブログで頭の整理が出来ました。 一部引用・・ いまのぼくの個人的な傾向としては、 「脱原発の立場なのだけれど、恐怖を煽らない」 という考え方の人と、 「異なった立場の人を攻撃しない」 というような姿勢の人の意見を重視しています。 「ほらみたことか!」という人の意見については、 あとでその人の言う通りになったとしても、 ぼくは選びません。 こういうときには、今回一貫してとっている 「右往左往するのではなく、右往で判断を止める」 という考え方です。 ですから、もちろん、 「わたしは納得できない」「おおいに反対です」 という考えがあることも承知しています。 何度も言っているように、 「じぶんのリーダーは、じぶん」ですから、 危険をともなうことについても、 最後はじぶんがジャッジしてください。 全文はこちら |
2011年3月19日 | 記事へ | コメント(0) | トラックバック(0) |
| 今日の気になるネット情報 / 東日本大震災・原発 |
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☆NHKや朝日新聞など大手メディアの報道とは真っ向から食い違う。東京のオフィスにいる大手メディアの「正義の味方」であるデスクたちにとって、連日の災害報道の中で、この出来事がいかに毛色の変わったおいしい食材だったかが透けて見える。 地震と津波と東京電力に蹂躙され、双葉病院のスタッフは大手新聞とテレビに存在の最後の止めを刺されそうだ。 こんな報道をするくらいなら東京電力の会長社長とロングインタビューをして、この事態をどう解決する積りかを聞き、それを掲載・報道したらどうかと思う。 また、報道するネタがないなら、こんな時だから新聞の一部が白紙のまま、テレビの画面がざーっと白く流れていいのではないだろうか。 医師・看護師は患者を見捨てたりしていなかった。 福島県大熊町の「双葉病院」で、医師・看護師が患者を見捨てて逃げていた、という報道がなされていたが、実際には現場の状況は大きく異なることがわかった。これは、病院関係者の家族によるツイートもあり、また後発の報道でも(見出しは悪意あるものの)内容的には「患者を置き去りにして職員だけが逃げた」というような悪評を完全に否定するものとなっている。 現地での直接取材はかなわないが、当事者のツイートなどを「Togetter - 「福島・双葉病院「患者置き去り」報道に関する情報」」にもまとめてみた。若い人なので表現が至らないところもあるようだが、その趣旨を酌んで以下、簡潔に状況をまとめてみたい。 少なくともマスメディアは名誉回復を全力で行なうべきだと思う。 •asahi.com(朝日新聞社):患者避難、医師ら付き添わず 21人死亡の双葉病院 - 社会 •東日本大震災:福島・避難の高齢者14人死亡 救助時、患者のみ82人--入院の病院 - 毎日jp(毎日新聞)「医師、職員らは不在」 もともと福島県による発表を受けて横並びの報道がなされたものだが、福島県の訂正発表を受けて、一部の報道は現在削除されている。 •時事ドットコム:「避難時に院長いた」=福島県が訂正発表 しかし、訂正後も病院関係者を非難する論調が残っているものが多い。読売の報道では、本文で事実が明らかになっているものの、タイトルが名誉を損なうものとなっている。また、河北新報は古い情報のまま、非難口調をさらに強めている。 •福島・双葉病院、患者だけ残される : 医療ニュース : yomiDr./ヨミドクター(読売新聞) •河北新報 東北のニュース/院内に高齢者128人 医師ら置き去り?避難指示の双葉病院:3月18日の訂正後の報道にも関わらず「県の担当者は「なぜ入院患者だけがいたか、現段階では分からない。避難する中で混乱が起きることはあるが、もし高齢者だけを置いて避難したとしたら許せない」と話している」とさらに煽る文章となっている。 このような状況の中、最初の報道をそのまま受けて双葉病院の職員が逃げたかのように思ったままの人も少なくないと思われるので、簡潔にまとめておきたい。 双葉病院で起こったことのタイムライン 以上、報道ならびに関係者のツイートに基づくまとめにすぎないことはご了承いただきたい。(@supergirl5jrhさんの追加ツイートに基づき15:50追加・修正あり) •2011年3月11日14時46分:大地震発生。 ◦福島県大熊町・双葉町にある福島第一原発が緊急停止。 ◦福島県大熊町の双葉病院と介護老人保健施設ドーヴィル双葉で患者・職員が孤立。福島第一原発から約3キロ離れている。 •3月12日5時44分:福島第一原発の避難指示の区域を、これまでの半径10キロメートルに拡大。双葉病院・ドーヴィル双葉が避難区域に含まれることとなった。 ◦午前:大熊町役場まで双葉病院スタッフが患者を搬送したが10分後には双葉病院に戻された(理由は不明)。 ◦昼休み:外出した双葉病院スタッフが、防護服を着た誘導者に対して「なぜ双葉病院は誘導しないのか」ときいたところ、「いやもう誘導したはずです」と回答。そこで初めて双葉病院の患者が避難していないことが判明した。そこで急遽バスが派遣されることとなった。 ◦14時すぎ:大熊町役場が福島交通の大型バス5台を派遣したが、患者・搬送者・護送者を乗せることができなかった。また、救援に来たバスは普通の大型バスであったため、車いすや寝たきりの患者は搬送できなかった。 ◦15時36分:福島第一原発第1号機で水素爆発。残された人たちは被爆した。 •3月14日昼前:自衛隊が同病院への救助に到着。患者・施設入所者130人を救出。その他、自力で脱出した人もいた。患者98人と院長ら職員4名、警察官が残り、自衛隊が再び救援に来るのを待つ。 ◦二度目に自衛隊が来るという時間になっても来なかった。 •3月15日午前1時ごろ:一緒に残っていた警察官から避難するよう求められ、院長ら職員4人は患者を置いて、警察官とともに隣の川内村に避難した。そこで合流した自衛隊と共に病院に向かおうとしたが、避難指示の対象地域のため、自衛隊だけで向かうことになった。院長は「日付が変わり、警察官から避難を求められた。どうすることもできなかった」と述べている。 ◦午前7時:中野寛成国家公安委員長は15日の閣議後会見で、午前7時現在「(退避指示が出されている)20キロ圏内では、15日午前7時現在で、病院にいる96人を除いてほとんど完了している」と述べた。 防衛省によると、陸上自衛隊が陸路で96人をいわき市の避難所に移送する予定。(人数が食い違っているが報道ママ) ◦午前から午後:自衛隊が残された患者を搬送(第2回・第3回)。この際「病院関係者の付き添いはなかった」と福島県が発表し、「患者を見捨てて置き去りにして逃げた」という趣旨の報道が流れる原因となる(各報道機関横並びで福島県発表のみを報道)。搬送中・搬送後に計21人の患者が亡くなった。 •3月17日:双葉病院主任が父だという@supergirl5jrhさんがツイッターで報道に反論するツイートを開始。夜、福島県が「避難時に院長いた」と訂正発表。 •3月18日:院長への取材内容が報道され始める。 (報道の数字が混乱していて、合計数がなかなか合わないが、これらは追って整理されるものと思う) 以上の流れをもう少し簡単にまとめると、「自衛隊が来るが、寝たきりや車いすの患者が搬送できず、一旦戻る」→「2度目の救援が来ない」→「一緒に残っていた警察の指示で職員が川内村に避難」→「自衛隊と一緒に病院に戻ろうとする」→「避難地域なので一緒に行けない」→「自衛隊だけが救援に」→「2・3回目の搬送の際、病院関係者は誰も現場に居なかった」→「職員が患者置き去りで逃げたと報道」という流れになる。 これでは「職員が患者を見捨てて逃げた」とは絶対に言えない(警察の指示でやむなく避難させられたのであって、再び)。こんな報道をされたら、一生懸命がんばっていた職員に対する名誉毀損にしかならないと思う。 このような報道被害が繰り返されないよう強く願う。 本文はこちらから引用。 |
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長塚智広:競輪選手・アテネオリンピック銀メダリスト 東日本大地震から1週間が経ちました。被災者の皆さまには心からお見舞いを申し上げます。 東北地方の被害状況はとてつもないものであり、メディアでも沢山報道されています。しかし、福島県に隣接する茨城県北部の情報はほとんど報じられていません。知り合いから、県北がひどい状況である事を聞き、何とか状態を知りたいと、県北の市議に地震直後から連絡を試みていました。17日になって、やっと高萩市議に連絡が通じ、街の状況を知ることができました。議員の名前は伏せます。 高萩市はいわき市から約50キロ南下したところにあり、福島との県境は北茨城市、その下が高萩市です。 被災直後の高萩市の避難民は5000人いましたが、大勢は家に戻り現在では500人まで減っているそうです。 避難所では市の手厚い保護で食料等は足りているものの、自宅に待機している人には食料、水、燃料が全く供給されない状態です。 北茨城に公立病院はあるものの、かねてよりの医者不足もあり、患者が殺到して医者には疲労の色が濃く見えるそうです。 特にインスリンと、透析の設備がないために、患者は遠く離れた日立、水戸まで行かなくてはならないとの事でした。しかし、街では燃料が枯渇しています。日立までは20キロ、水戸までは50キロもあり、そこまで歩いていくことは困難です。「町のガソリンスタンドにガソリンが入った!」の情報が流れても、あっという間に売り切れ、店まで行ったものの帰るガソリンがなく車を捨てて帰る人もいるらしいです。 国にも支援を要請しているものの、茨城県北の情報が少ないために、市議から情報を上げてほしいと言われ、上げても進展がないとのことです。道路が寸断され、燃料がなく公用車も動かないから、町の情報を知らせることが出来ません。ホームページは更新できるものの、高齢者でネットを使える人は多くありません。町には自衛隊も来ているそうですが、町の情報を流してくれないので、住民は今どういう状態にあるのか? 今後の展望はどうなるのか? ということについて何も分からず絶望の中にいます。自衛隊もどういう状況にあるのか把握できていないのかもしれません。 高萩市には、いわき市や北茨城市からも避難民が来ているようですが、受け入れ態勢は整っていません。茨城県の避難所はつくば市にある洞峰公園ですが、県北から100キロ以上離れています。 携帯電話はソフトバンクが1日前に復旧。ドコモ、AUも移動車が来るので間もなく復旧するそうです。 住民は、「とにかく燃料と水が欲しい」と言うそうです。電気は復旧しているので電気を使う暖房器具のある家庭は何とかなっているようですが、石油ストーブしかいない家庭はこの寒さで大変です。高齢者は特に大変です。 町の商店は昨日でほぼ在庫がなくなり、営業もできず、商品がいつ入るかも分からないそうです。 市では緊急災害用の備蓄食料を今配ろうか、数日あけて配ろうかを検討中だそうです。それが切れたら食料もなくなります。。。 茨城にも避難民がいることを皆さんに知っていただきたい。少しでも早く支援の手が差し伸べられることを心から願っています。 from MRIC 2012年3月19日発行 JMM [Japan Mail Media] No.627 Extra-Edition6 から引用。 |
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